映画『ラジオ・コバニ』初日イベントに戦場ジャーナリスト桜木武史さんが登壇、当時のコバニの状況などを解説

ラジオ・コバニ

「イスラム国」(IS)との戦闘により瓦礫と化したシリア北部の街コバニでラジオ局を開設し、番組「おはようコバニ」でDJを務めた20歳の大学生ディロバンを追ったドキュメンタリー映画『ラジオ・コバニ』が5月12日(土)よりアップリンク渋谷、ポレポレ東中野ほか絶賛公開中。
公開初日の12日、ポレポレ東中野にて公開記念のトークイベントが行われ、「クレイジージャーニー」でお馴染みの戦場ジャーナリストの桜木武史氏がイベントに登壇、実際にコバニで撮影した写真や動画をスクリーンに映しながら当時の街の状況など解説した。

映画『ラジオ・コバニ』公開初日イベント概要

日時:2018年5月12日(土)12:40の回上映後
会場: ポレポレ東中野( 東京都中野区東中野4丁目4-1 )
ゲスト: 桜木武史さん(ジャーナリスト)

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映画が撮影されていた時期と同時期でもある、2015年の4月にコバニに訪れた桜木氏。「イスラム国」(IS)が街を撤退したその2か月後にあたる。
「ちょうど復興がはじまりだした時期に僕は訪れたので、今日また改めて映画を観て、復興への道のりの険しさ、それを乗り越えようと奮闘する人々の姿に胸を打たれ、励みになりました」と感想を述べた。

続けて当時の状況について「アメリカの空爆、「イスラム国」(IS)の自爆テロ、激しい市街戦でコバニは街の70%が全半壊していました。人が戻ってきてもいいように、食べ物などの工場が再開していましたが、資材や食料、ガソリンやガスなどの燃料は全て密輸に頼っていました」と解説。

映画に登場するクルド女性防衛部隊(YPJ)の活躍について桜木氏は「コバニでは当たり前のように女性が活躍しています。それは ” 男女平等”という考えかたからで、女性も銃を持ちます。家事をする男性もいれば、武器を握る女性もいます」と説明する。最後に、何故シリアについて興味を持ったのかの問いに桜木氏は「2012年の春にダマスカスに訪れてからです。命をかけても守りたい自由や、尊厳。そして、人が無差別に殺されすぎているのを見て、伝えたいと思ったのがきっかけです」と熱く語った。

桜木武史(ジャーナリスト)

1978年、岐阜県高山市生まれ。東海大学文学部広報メディア学科を卒業後、フリーランスのジャーナリストとして、主に南アジアの国々に取材に出掛ける。取材先はインド、パキスタン、アフガニスタンがある。2010年末から中東で起きた「アラブの春」に関心を持ち、2012年3月から2015年4月まで計5
度に渡り、シリアに足を運ぶ。2005年11月、インドのカシミールで戦闘に巻き込まれ、重傷を負う。その体験をまとめた著書、『戦場ジャーナリストへの道―カシミールで見た「戦闘」と「報道」の真実』(彩流社)がある。最新刊は『増補版シリア戦場からの声』(アルファベータブックス)。

ISとの戦闘で瓦礫と化したシリア北部の街・コバニで
手作りのラジオ局をはじめる大学生のディロバン。
ラジオから聞こえる彼女の「おはよう」が、今日も街に復興の息吹を届ける―。

トルコとの国境に近いシリア北部のクルド人街コバニは、2014年9月から過激派組織「イスラム国」(IS)の占領下となるも、クルド人民防衛隊(YPG)による激しい迎撃と連合軍の空爆支援により、2015年1月に解放された。人々はコバニに戻って来たが、数カ月にわたる戦闘で街の大半が瓦礫と化してしまった。
そんな中、20歳の大学生ディロバンは、友人とラジオ局を立ち上げ、ラジオ番組「おはよう コバニ」の放送をはじめる。生き残った人々や、戦士、詩人などの声を届ける彼女の番組は、街を再建して未来を築こうとする人々に希望と連帯感をもたらす。監督は、自身もクルド人のラベー・ドスキー。
地雷や戦車を越えコバニに赴き戦地での撮影を敢行、クルド人兵士によるIS兵士の尋問にも立ち会った。本作を、戦死したクルド人兵士の姉に捧げている。

作品タイトル:『ラジオ・コバニ』
監督・脚本:ラベー・ドスキー
(2016年/オランダ/69分/クルド語/2.39:1/カラー/ステレオ/DCP)
字幕翻訳:額賀深雪
字幕監修:ワッカス・チョーラク
配給:アップリンク

アップリンク渋谷、ポレポレ東中野ほか絶賛公開中

記事提供:映画・ドラマニュース

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