『海辺の家族たち』ロベール・ゲディギャン監督インタビュー到着「難民について語ることなしに映画を作ることはできない」

〈フランスのケン・ローチ〉と称えられる名匠 ロベール・ゲディギャン監督『海辺の家族たち』が、5月14日(金)よりkino cinéma横浜みなとみらい、kino cinéma立川髙島屋S.C.館、kino cinéma天神ほか全国順次公開となる。

空と海を一望できる美しい入り江沿いにあり、かつては別荘地として賑わったが、今ではすっかり寂れた町で、過去にとらわれて絆を見失い、明日へと踏み出せない家族たち。だが、彼らが〈人生を変える新しい出会い〉を受け入れたことで、再び未来が輝き始める。本作は、こんな時代だからこそ、人と人の繋がりが何よりも大切だと教えてくれる作品だ。

自身が生まれ育ったマルセイユを舞台に、労働者階級や移民など社会的に弱い立場の人々の人生を温かな眼差しで見つめ続けるロベール・ゲディギャン監督。本国で半年以上のロングラン上映を成し遂げた大ヒット作『マルセイユの恋』や『幼なじみ』、『キリマンジャロの雪』などで高く評価され、ベルリン国際映画祭や、ヴェネチア国際映画祭、審査員も務めたカンヌ国際映画祭の常連でもある名匠が、映画人生40年の集大成となる傑作を完成させた。

海辺の家族たち

ロベール・ゲディギャン監督オフィシャルインタビュー

この映画の登場人物、ジョゼフとアルマンドとアンジェラの3兄妹について「彼らの全員が、過ぎ去りゆく時代、変わりゆく世界を敏感に察知する、そんな人生の時期にある。彼らが切り開いてきた道が、徐々に閉ざされてゆく。それらの道は絶えず維持してゆかなければならない…あるいは新たな道を切り開く必要がある」と語り、そんな兄妹たちが未来を切り開くきっかけとなったのが、難破したボートから逃れ生き延びた難民の子どもたちとの出会いであり、子どもたちを引き取ったことで兄妹たちが仲間意識を取り戻すことができたという。

さらに監督は「私はこの出会いを信じる。“グローバリゼーション”には、必然的に未来とつながる何かがある。大げさな言い方になるが、今日、難民について語ることなしに映画を作ることはできない、と私は考える。私はあえて、“難民”という言葉を選んだ。原因が気候変動だろうと、他の理由だろうと、あるいは戦争のせいだろうとかまわない。彼らは安全、住まいを求めてやってきている。3人の子どもたちがやってきたことで、もしかしたら入り江は蘇るのではないか。アンジェラ、ジョゼフ、アルマンドは3人の子どもたちを育てるためにそこに留まり、レストランと山腹のコミュニティと自分たちの世界観を生きながらえさせる努力をするつもりだ。そして何人かの人々のつながりを保ち、それにより平和を保とうと」と、この映画の中で何を描きたかったのかを明らかにした。

ストーリー
パリに暮らす人気女優のアンジェルは、20年ぶりにマルセイユ近郊の故郷へと帰って来る。家業である小さなレストランを継いだ上の兄のアルマンと、最近リストラされて若い婚約者に捨てられそうな下の兄のジョゼフが迎えてくれる。兄妹3人が集まったのは、父が突然、倒れたからだ。意識はあるもののコミュニケーションが取れなくなった父と、家族の思い出の詰まった海辺の家をどうするのか、話し合うべきことはたくさんあった。だが、それぞれが胸に秘めた過去が、ひとつひとつあらわになっていく。昔なじみの町の人々も巻き込んで、家族の絆が崩れそうになったその時、兄妹は入り江に漂着した3人の難民の子供たちを発見する──。

作品タイトル:『海辺の家族たち』
出演:アリアンヌ・アスカリッド、ジャン=ピエール・ダルッサン、ジェラール・メイラン、ジャック・ブーデ、アナイス・ドゥムースティエ、ロバンソン・ステヴナン
監督:ロベール・ゲディギャン
2016年|フランス|フランス語|カラー|ビスタ|DCP|5.1ch|107分|原題:La Villa|英題:The House by the Sea|レイティング:G|字幕翻訳:宮坂愛
提供:木下グループ
配給:キノシネマ

公式サイト:https://movie.kinocinema.jp/works/lavilla
コピーライト:(C) AGAT FILMS & CIE – France 3 CINEMA – 2016

5月14日(金) キノシネマみなとみらい・立川・天神 ほか全国順次公開

 

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