【レポート】映画『山歌(サンカ)』杉田雷麟、小向なる、渋川清彦、笹谷遼平監督登壇 ―公開前先行試写会イベント開催

映画『山歌(サンカ)』(4月22日(金)公開) の公開前先行試写会イベントが、4月15日(金)に東京都写真美術館ホールにて開催された。
本作は、かつて日本の山々に実在した流浪の民・山窩(サンカ)を描く物語。山から山へ旅の生活を続け、社会制度に縛られることなく、自然の摂理に従って生きた日本のノマド、サンカ。
トークイベントでは、日本の失われつつある文化を追い続けてきた笹谷遼平監督と、サンカの一家と交流する都会の少年・則夫を演じた杉田雷麟、野性味あふれる心優しいサンカの娘・ハナ役を演じた小向なる、その父親で流浪の民サンカ一家の長・省三を演じた渋川清彦が登壇した。

渋川から「監督はなぜサンカをテーマにしたんですか?」と聞かれた笹谷監督は「サンカというのは、山から山へ放浪する不定住の人々なのですが、そんな生き方に憧れがあったんです。高校生くらいの時、映画を作りたいなと思い始めたきっかけが、フランスのジプシーを描いた映画を観たことだったんです。定住していない人の力強さに魅せられて、こんな世界観の映画を作りたいと思い始めて、その後日本にもサンカという人々がいたことを知ったんです」と、映画化に至った経緯を明かした。

『山歌(サンカ)』場面写真


「撮影で印象に残っていることは?」との質問には、悪天候と大自然ゆえの様々なトラブルに見舞われたエピソードが次々と飛び出す。杉田は「撮影時期は7月だったのですが、毎日のように雨が降って、とにかく寒くて。雨の中で銃を構えて父親と対峙する重要なシーンでは、演技ではなくてリアルに震えていました。」と当時の苦労話を話すと、小向は「サンカの娘を演じるにあたって、トレイルランを習ったんです。自分との違いをなくすために、わらじに似た靴を履いて毎日歩いたり、岩場を走ったりしていました。撮影では草むらの中を何度も走ったのですが。山に生えている草は都会と違って、触っただけで肌が切れるくらい鋭利なんです。走ったあとは血だらけになっていましたけど、不思議と痛みは感じませんでした」と、身も心もサンカの娘になりきったエピソードを明かした。

渋川が「忘れられない思い出といえば、撮影現場の山の中に蛭(ヒル)がたくさんいて…。ヒルは人間に張り付くと麻酔のような成分を出して、延々と血を吸い続けるんです」と語ると、杉田は「撮影の最後の最後で、僕もやられてしまって。気がついたら足が血だらけになっていました」と当時を振り返った。

最後に、笹谷監督から、この作品に出合ってから何か変化はあったか?感じたことなどを教えて欲しいと問いかけられ、杉田は「自然の大きさ、どうしてもあらがえない事、魚を生きている時に焼いて食べる。など当たり前のことですけどすごく頑張って生きている。これまで生きてきて、そこまで考えたことが無かったけれど、この作品を通して、改めて、命や自然の偉大さを思い知ることが出来ました」と語った。

『山歌(サンカ)』場面写真

小向は「子供のころは虫と戯れたり、花が綺麗だと感じたり、自然が身近にあったが、大人になるにつれて無くなってくる。でも、この作品に出合うことが出来て、生きていることは素晴らしい、また、生きている事って当たり前じゃないとも、改めて実感できました。機会を与えてくれた監督に感謝します」と告げると監督は嬉しそうにその言葉を受けとめた。

渋川に対して、笹谷監督は「クランクアップの日に印象的な言葉を頂いて。渋川さんに『今までの作品で一番大変だった!』というお言葉を頂いたのですが、改めて振り返っていかがですか?」と問いかけると、渋川は「そう(笑)?」と覚えていない様子。「うん、大変だったよね。でも監督の初期衝動でもある一番最初の劇映画第1目の作品に出演出来たことは幸せなことですよ。これに懲りずに、また、面白いテーマの劇映画を撮って欲しいです」とエールを送った。

笹谷監督は最後に「撮影も大変だったのですが、その後にコロナ禍があり、大変な中でこうして公開が出来ることを嬉しく思っています。自然の一部として生きてきたサンカの人々の世界を撮りたい、という思いで実現した本作の撮影は、自然の中で撮っている、というよりは、撮らせてもらっている、恵みを頂いているという感覚を強くもつことができました。スタッフ、キャスト、関わってくれた全ての人が200%以上の力を出し切ってくれたので何とか成立し、ここまでの映画になったと本当に感謝しています」と映画に携わった人々への謝意の言葉で締めた。

作品タイトル:『山歌(サンカ)』
出演:杉田雷麟 小向なる 
飯田基祐 蘭妖子 内田春菊 / 渋川清彦
白石優愛 五十嵐美紀 星野恵亮 渡邉純一 若松俐歩 増田敦
監督・脚本・プロデューサー:笹谷遼平
音楽 茂野雅道│撮影 上野彰吾(JSC)│照明 浅川周│美術 小澤秀高│録音 小川武│衣装 金子澄世 廣田繭子│
メイク 塚原ひろの│編集 菊池智美│助監督 葛西純│制作 橋本光生│アソシエイトプロデューサー 松岡周作
協力:伊参スタジオ映画祭実行委員会
製作:六字映画機構
2022年/日本/カラー/1.85:1/5.1ch/77分  
配給:マジックアワー

公式サイト:https://www.sanka-film.com/
公式Twitter:@sanka_film
コピーライト:(C)六字映画機構

2022年4月22日(金)テアトル新宿、アップリンク吉祥寺
ほか全国順次公開

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