映画『しびれ』の完成披露舞台挨拶が8月30日にTOHOシネマズ 六本木ヒルズで実施され、北村匠海、宮沢りえ、内山拓也監督が登壇した。

内山が監督・原案・脚本を手掛けた本作は、故郷の冬の新潟を舞台に、居場所とアイデンティティを模索する少年の物語を描いた自伝的作品。
母に対しての愛と憎しみ、相反する感情に揺れる主人公・大地の青年期を演じた北村は、満員御礼の会場を前に「やっとこの日を迎えられたなという気持ちです。映画を観てくださったばかりの皆様が作り出したこの会場の空気感を感じるだけで、涙が出てしまいそうです。今日は最後まで楽しんでいってください」と挨拶した。


大地に孤独を抱かせるような生活を送るものの、細部に息子への確かな慈愛が滲む母・亜樹を演じた宮沢は、「私も皆様同様、映画を見るのが大好きで、映画館に行って日常から離れて作品に集中する時間が大好きです。映画にはいつも考えるきっかけをもらったり、たくさんのことを感じたりして、人生の豊かさをもらっていると思っています。この作品が皆様の何かのきっかけになることを心から願っております」と挨拶。

内山監督は、「僕は普段、あまり緊張しないタイプなんですけど、『今日は緊張するね』と、この舞台挨拶が始まる前に皆で話していました。ネットでは、本上映の時間帯のことで、『朝早っ』て書いてある投稿を見て、それに対して『そうか、みんなそんなに朝早くに起きて、頑張ってるってことだね』って書いてくれている人もいて、改めて、今こうやって皆が集まる、皆の時間を合わせるのが、この1日の朝8時50分の上映回しかなくて、それがどんなに大変なことなのか、というのを実感しています。そう考えると、僕たちが撮影していたあの期間にずっと一緒にいれたっていうことは、本当に宝物のような日々だったんだなっていうのを実感してます」と出演者の2人と一緒に登壇できたことに喜びを見せていた。

内山監督から「この作品と心中してほしい」と熱烈なオファーを受けて本作に参加したという北村は、「内山監督からお話をいただいたのは、かなり前の話でした。監督からは、『これまで見たことのない、初めて見る北村匠海を撮りたいんだ』とも言っていただき、映画の内容は、監督の人生が描かれている自伝的な話でもある、ということだったので、その覚悟が自分にあるのか、と自問する時もありました。でも、そんな中、内山監督と会話を重ねていくなかで、監督から『心中してほしい』って言ってくれて、そこで全てが決まった気がします」と本作に参加しようと思った経緯を語る。
また、セリフが一切ない役を演じたことについて触れられると「言葉で今起きている事を説明しないからこそ、目に見えてる景色だったりとか降っている雪だったりとか、人の心の温かさや冷たさに対してすごく敏感になれた、というのが僕の感覚です。「言葉の制約」ということではなく、可能性が無限に広がった自由度の高い役だと思いました」と演じた大地という役について分析。

今作で初共演となった北村と宮沢。演じたキャラクターの設定上、北村は撮影中、宮沢とあまり言葉を交わしていなかったことも明かし「宮沢さんの撮影最終日の後にポスター撮影があったんですけど、その時になんて明るい人なんだろう!って思いました。現場では亜樹と大地、母と息子としての距離感があったんですけど、ポスター撮影の時には『私、怖くないからね』って言われて、一気に打ち解けた記憶があります」と話すと宮沢は、「私が北村さんと共演したときは、幼少期、そして少年期の大地との時間を経た後だったので、彼らと共にした時間や想いが私の中に詰まっている状態でした。大人になった大地の北村君と対峙したシーンでは、これまでの感情が解き放たれて、思う存分大地を抱きしめたい、という気持ちでしたし、振り返るとあの時はとても幸せな時間でした」と述懐。
本作は、主人公・大地の20年間を描いている作品であると共に、大地の母・亜樹の20年間を描いている作品でもある。宮沢は、北村含め、大地を演じた4人と共演しているわけだが、そのことについて話が及ぶと宮沢は「北村君含めて全員が本当にその役として現場にいてくれました。私は彼らがきちんと存在していることを大事にしていたし、驚いたことに、4人の瞳がみんな似ていたんです。同じ目をしている、と思いました。そこには、もちろん監督の演出もあったんだと思いますけど、私にとってすごくそれが衝撃的でした」と、大地を演じた4人を絶賛した。

イベント後半には、上映後のイベントということもあり、ラストシーンについても少し言及。映画のタイトル『しびれ』にちなんで「最近、“しびれた”こと」を聞かれた内山監督は「クランクアップ前日に僕が脚本へ書き込んだ1行のラストシーンの演出と、翌日北村さんから返ってきた言葉が寸分違わず一致したことがありました」というエピソードも紹介し、それを聞いていた北村も「その時のことは、鳥肌が立つぐらい覚えています」と振り返った。
『しびれ』は、9月25日より公開。
『しびれ』
出演:北村匠海 宮沢りえ 榎本司 加藤庵次 穐本陽月 赤間麻里子 永瀬正敏
監督・原案・脚本:内山拓也
企画・制作:カラーバード
製作幹事・制作プロダクション:RIKIプロジェクト
配給:NAKACHIKA
(C)2025「しびれ」製作委員会
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9月25日(金)TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国公開