【レポート】舘ひろしが語る、歳を重ねた男のかわいらしさとは!?イーストウッド主演『運び屋』イベントにサプライズ登壇

アカデミー賞受賞監督クリント・イーストウッド監督・主演最新作。『アメリカン・スナイパー』、『ハドソン川の奇跡』に続く、全米興収1億ドル突破の大ヒット作『運び屋』。
俳優クリント・イーストウッドが自身の監督作としては『グラン・トリノ』(09)以来、10年ぶりの主演作としてスクリーンに帰ってきた。「今のハリウッドには自分が演じられる作品がない」と宣言し、一時は俳優引退もほのめかしたこともある名優の心を動かしたのは、前代未聞の“アウトロー”の実話。巨大な麻薬組織で、一度に最大300キロ、13億もの巨額のドラッグを運ぶ“伝説の運び屋”の正体は、90歳の老人だった。

名優イーストウッドが演じるのは、仕事一筋で家庭をないがしろにした挙げ句、事業の失敗で家財の一切を失ってしまった孤独な老人アール・ストーン。撮影時、実在の人物レオ・シャープと同じ87歳。イーストウッドが自身の人生に通ずる主人公の我が道を行く生き様を魅力的に演じる。
主人公を追い詰めていく捜査官ベイツ役にはイーストウッドの後継者と言われ、イーストウッド監督作『アメリカン・スナイパー』では主演を、イーストウッドから譲り受けた『アリー/スター誕生』では初監督・主演を務め、アカデミー賞でも絶賛されたブラッドリー・クーパー。実話サスペンスの傑作『運び屋』が3月8日(金)より全国ロードショーとなる。

このたび、下記概要にて特別試写会が実施された。登壇は、映画『終わった人』(18)でモントリオール映画祭で最優秀男優賞受賞、本年度日本アカデミー賞主演男優賞にノミネートされている俳優として常に第一線に立つ日本映画界の“レジェンド”舘ひろし。自らが主演していない映画作品での舞台挨拶は初めてとなる。

『運び屋』公開記念 舘ひろし登壇イベント
■日程:2月28日(木)
■会場:よみうりホール (東京都千代田区有楽町1-11-1 読売会館7階)
■登場ゲスト(敬称略):舘 ひろし ※敬称略

当日は会場でイベント付き試写会であることが来場者に伝えられ、完全サプライズの登場となった。MCの呼び込みで「西部警察」のBGMがかかったとたん、会場は大きな拍手と大歓声の渦に。登壇後、「こんばんは、舘ひろしです。」と一声発すると、その低い声に再び客席は歓声に包まれた。

すでに作品を観ているという舘は「素晴らしい作品でした。イーストウッドは大好きな俳優の一人ですが、今までにない表情を見せてくれます。本当に素晴らしかったです。」と大絶賛。
「実話を基にしているという点がまず驚きです。ドラッグの運び屋というのはもちろん犯罪ではありますが、この主人公は自由気ままでどこか憎めない、とても面白いキャラクターだと思いました。心にグッとくるセリフも数多くありましたが、一番好きなのは主人公の娘が最後に彼に言うセリフです。」とネタバレに配慮しながらコメント。イーストウッド作品では『ミリオンダラー・ベイビー』や監督作では『ミスティックリバー』が印象的だったと語った。

また、イーストウッド本人については「今と違って、昔のスターはお芝居があまり変わらない俳優が多かったと思います。そういう意味では石原裕次郎のような…(笑)。でもそれが良いのかなという気がします。様々なキャラクターになりきって演じるのももちろん良いのですが、何をやっても同じというのもスターの条件だったのかなと思っています。」と、ベテラン俳優ならではの意見も。

「西部警察」と『ダーティハリー』の意外な共通点として、「ドラマで寺尾聰が持っていた長い拳銃はハリーのマグナムを意識したものだったんですよ。それから『ダーティハリー』の1作目でハリーが歩道橋から黄色いスクールバスに飛び乗る場面があるのですが、僕はあれと同じことをやらされました。ギャラはだいぶ違いましたが(笑)」と、笑いを交えながら貴重なエピソードを披露。観客からは驚きの声が上がった。

さらに、『終わった人』で演じた人物像と本作の主人公との共通点について「定年になっても自分はまだやれる、必要とされたいと思う人は多いですよね。本作の主人公はドラッグの運び屋として“必要とされている自分”を見つけて、そこに喜びを見出してしまいます。犯罪者ではありますが、イーストウッドがとてもかわいらしくチャーミングに演じていて素晴らしかったです。それに自由気ままな生き方というのは、僕も割と似ているので…、これはこれで結構つらいものがありますが共感してしまいました。もちろん僕は運び屋はやっていませんが(笑)」と語った。

また、ブラッドリー・クーパーとイーストウッドの関係になぞらえて、人生を変えてくれた人物に話が及ぶと、「デビューしてからずっと僕は芝居に自信が持てませんでした。ところが「西部警察」で渡哲也さんに出会い、『芝居なんか上手くなくていい。お前には華がある。』と言ってもらえたんです。その言葉を頼りに今までやって来られました。おかげでずっと芝居は下手なままですが(笑)」と心温まる秘話を披露した。

前代未聞の実話である本作のように、仰天エピソードを求められると「映画『終わった人』で、モントリオール世界映画祭の最優秀男優賞、そしてブルーリボン賞では主演男優賞をいただきました。僕がそんな賞をいただけるなんて、それがまさに前代未聞ではないでしょうか」とあくまで謙虚。
ところが次第に「昔はろくにセリフを覚えずあちこちにカンペを貼ってばかりいました。ドラマ「あぶない刑事」でサングラスをかけていたのは、こっそりカンペを見るためだったんです。あとは「さらばあぶない刑事」の最終回で、柴田恭兵さんと二人で大きなコンテナの陰から銃を撃つ場面がありましたが、NGを出してしまって…。そのままコンテナが倒れてしまったため、全て積みなおして最初から撮りなおしたこともありました。表参道で仲間とオートバイに乗っていたら警察に追われてしまったことも。逃げるために仲間が歩道橋に(バイクで)上がって逃げる方向を確認したり…」と、控えめな口ぶりで次々に仰天エピソードが飛び出し、会場はどよめきに包まれた。

最後に本作について「本当に面白い映画です。イーストウッドが年齢を重ねた分だけチャーミングでかわいらしい、それだけでも楽しめるはずです。ゆっくりご覧ください。」と観客にメッセージを送り、イベントを締めくくった。

ストーリー
アール・ストーン(クリント・イーストウッド)は家族とも疎遠で、孤独な90歳の男。商売に失敗し、自宅も差し押さえられかけたとき、車の運転さえすればいいという仕事を持ちかけられるが、それが実は巨大麻薬組織の「運び屋」だった…。

作品タイトル:『運び屋』
出演:クリント・イーストウッド「許されざる者」(1992)「ミリオンダラー・ベイビー」(2004)アカデミー賞監督、作品賞受賞
ブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーン、マイケル・ペーニャ、ダイアン・ウィ―スト、アンディ・ガルシア、アリソン・イーストウッド、タイッサ・ファーミガ他
監督:クリント・イーストウッド
原題:The MULE(原題:ラバ、運び屋、頑固者)
脚本:ニック・シェンク(「グラン・トリノ」)
公開:US=2018年12月14日(金)、公開
上映時間:1時間56分
配給:ワーナー・ブラザース映画

公式サイト:www.hakobiyamovie.jp #運び屋
コピーライト:(c)2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

その男、伝説の運び屋。3月8日(金)全国ロードショー

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