【レポート】『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』トークイベントに映画ライター・高橋諭治さんが登壇!

パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女

『パラサイト 半地下の家族』のパク・ソダム主演作『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』(2023年1月20日(金)公開)の一般試写会が12月22日(木)都内にて行われ、上映後のトークイベントにライターの高橋諭治さん、映画ジャーナリストの立田敦子さんが登壇した。

はじめに、「カー・アクション映画は大きく3つに分かれる」と語る高橋さんは「1つ目は『ワイルドスピード』(01)のような派手なアクション重視のもの、2つ目は『ベイビー・ドライバー』(17)のような作家性を重視したもの。3つ目は『ブリット』(68)や『フレンチ・コネクション』(71)のようなリアル志向のもの。本作は3つ目に該当すると思います」と分析。

冒頭のカーチェイスシーンに言及すると「路地やトンネル、踏切などのありふれたロケーションを使いつつも、敵の車を巻くために、縦列駐車した後にヘッドライトを消して身を隠したり、ギアをニュートラルに入れ坂を下るなど、現実可能な技術の中で工夫しつつ、最高に面白いものに仕上がっている」とリアリティを追求した本作のカー・アクションを絶賛した。

本作のロケ地として選ばれたのは港町として有名な釜山。「釜山は海に面しており坂も多いので、車で走っているだけで様々な表情を撮影できる街なんです。『ブラックパンサー』(18)でも釜山を舞台にカーチェイスが繰り広げられましたね。それだけ車と相性が良く、画になる街なんです」と世界の映画人に愛される釜山の魅力について、聞き手を務めた立田さんが解説。

さらに高橋さんは「“運び屋”というのはつまり“逃がし屋”。ウナが逃がす人たちは基本的に犯罪者です。彼らは飛行機が使えないので、船で高飛びをするんですよね。だから港町が舞台設定というのがぴったりなんです」と語った。

通常の配送業者が運べないワケあり荷物を運ぶ“運び屋”を描いた映画の中でも、エポックメイキングな作品としてウォルター・ヒル監督の『ザ・ドライバー』(78)、そして世界的に有名な作品として『トランスポーター』シリーズ(02~15)を挙げた高橋さん。「運び屋映画の歴史は脈々と続いていますが、これまで主人公はほぼ全員男性でした。本作では女性主人公で運び屋映画をつくった。そこが新しいと思いました」と本作が運び屋映画の新たな方向性を打ち出したと述べた。

本作は『パラサイト 半地下の家族』(19)で家庭教師と教え子を演じていたパク・ソダムチョン・ヒョンジュンの再タッグが話題だが、キャスティングの際、『パラサイト』で2人が共演することを監督はまだ知らなかったという驚きの裏話も。

同作で世界的ブレイクを果たした女優パク・ソダムについて「単に美しいだけではなくハードボイルドな雰囲気をまとっているところが魅力」と語る高橋さん。「ウナの本業は“運び屋”なので、ボディアクションに関しては特殊な戦闘力を持たず、必ず知恵を絞り出して難局を乗り切るんです。敵が車で追いかけてくるシーンではヘッドライトをハイビームに切り替えて目をくらませたり、片方のドアをわざとふっ飛ばして相手の車にぶつけるなど、とっさの機転を利かせた描写の数々には痺れました」と、主人公ウナが繰り出すアクションやディティールまでこだわったキャラクター設定を絶賛した。

昨今の韓国エンタメの質の高さは世界的に注目が集まっているが、本作も「アクションとドラマのバランスが最高!」と語る高橋さんは、「本作は冒頭と中盤にしっかりと“カー・アクション”の見せ場がありますが、クライマックスはドロドロの肉弾戦。また、中盤にはウナとソウォンが車で移動する過程で、ふたりの心の距離がだんだん縮まっていく様子も描かれていて、一種のロードムービーでもある。それらの要素を取り入れるバランス感覚に優れているのに、バイオレンス描写だけ明らかに過剰なのはさすが韓国映画ですね(笑)」と笑いを誘った。

最後に高橋さんは、邦題にもある“ドライバー”について持論を展開。劇中で“マイナスドライバー”を駆使して車のドアロックを解除するだけでなく、終盤の肉弾戦でも“マイナスドライバー”が大活躍することに言及し、「『パーフェクト・ドライバー(原題:特送)』という邦題がまた素晴らしい!映画会社の方はダブルミーニングで名付けたんでしょうか?」と投げかけると客席は笑いに包まれ(※ダブルミーニングは偶然とのこと)、大盛り上がりの中トークイベントは幕を引いた。映画を見れば、邦題にも納得できそうな『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』は1月20日公開。

パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女

作品タイトル:『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』
出演:パク・ソダム、ソン・セビョク、キム・ウィソン、チョン・ヒョンジュン、ヨン・ウジン、ヨム・ヘラン、ハン・ヒョンミン
監督・脚本:パク・デミン
2022年/韓国/109分/カラー/シネスコ/5.1ch/原題:특송/英題:Special Delivery
提供:カルチュア・エンタテインメント、テレビ東京
配給:カルチュア・パブリッシャーズ

公式サイト:https://perfectdriver-movie.com/
公式Twitter:https://twitter.com/PERFECTDRIVERJP
コピーライト:(C) 2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & M PICTURES. All Rights Reserved.

1月20日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

関連記事:
『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』パク・ソダムの天才的ドライブテクニックに注目!カーチェイスシーン解禁
『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』女運び屋は小さな依頼人を守りぬけるのか…!? 90秒予告解禁
『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』凄腕の女運び屋に託されたのは大金を抱えた子供?! 本編映像解禁!
『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』命がけのカーチェイスに息を呑む30秒予告&場面写真解禁!

↑上に戻る