【レポート】『いのちの停車場』待望の全国公開!観客の前で吉永小百合、広瀬すず、田中 泯、成島出監督が想いを語る

いのちの停車場

公開初週末の新作映画・興行収入・動員数で初登場1位を獲得した『いのちの停車場』(上映中)。この度、緊急事態宣言による休業要請のあった一部地域の映画館の営業が再開され、全国公開となったことを記念して、劇場に観客を迎えて【祝!全国公開記念舞台挨拶】が開催され、主演の吉永小百合広瀬すず田中 泯、そして本作のメガホンを取った成島出監督が登壇した。

『いのちの停車場』祝!全国公開記念舞台挨拶 概要

日時:6月1日(火) 15:30~16:00
登壇者(※敬称略):吉永小百合、松坂桃李、広瀬すず、田中 泯、成島出監督
場所:丸の内TOEI①

本作では初めて、観客の前で行う舞台挨拶ということで、まず吉永が「今日はいのちの停車場の東京の初日に来てくださり、本当にありがとうございます。(緊急事態宣言の期限予定だった5月11日以降の)5月12日から20日間、なんとかして、劇場を開けていただけないか、映画館で映画を観ていただくことができないだろうかと思い悩んでおりました。スクリーンからは飛沫は飛びません。来場されたお客様同士でお話しをするということも、ほとんどなくなっています。そういう中で、映画の製作者の方たち、私たち現場で作る側、そして興行主の方たちが、声を揃えて、なんとか映画館を開場して欲しいという声を上げました。マスコミの方たちも応援してくださり、映画ファンの皆様も、待ってるよとおっしゃってくれました。今日このような形で映画を観ていただけますこと、東京と大阪がオープンしたこと、本当に、本当に嬉しく思っております」と今の心境を交え、挨拶した。

続いて、広瀬が「お客様の前に立たせてもらえて、映画を届けられたということが肌で実感できる、今この瞬間がすごく嬉しいです。すごく、嬉しいです」と喜びを噛み締めてコメント。また、田中が「映画は本当に素晴らしいと思います。映画は作られたものですが、おそらく皆さんの前では絶対にLIVEなものだと信じています。皆さんの身体と共に、人生と日常が劇場にやってくるわけです。それがこの画面と合流するという、素晴らしい時間だと思います。ついに東京でも実現するということで、本当に嬉しい限りです」と、そして成島監督が「東京と大阪で幕が開いて、劇場に皆さんが来ていただいて、本当に感無量です。映画は劇場でお客様に見ていただいて、初めて完成するという活動屋の言葉があります。丸の内TOEIで皆さんに観ていただけて、本当に嬉しく思います」と観客を前に喜びの思いを語った。

また、この日は上映後の舞台挨拶ということで、劇中シーンについて話題が及ぶと、成島監督は製作総指揮の故・東映グループ会長・岡田裕介氏を偲び、「桃李くんが、萌ちゃん(小児がんを患う寝たきりの少女)を背負って沖へ行くシーンがあるんですが、これは会長の発案なんです。僕は、波打ち際にいないと、医療の観点からも正誤性が取れずに難しいと思ったんですが、会長は『僕が子供の頃、溺れそうな妹を背中で背負ってゴールまでたどり着いたんだ。だから松坂も行くんだ』と言うんです。全く理屈は通っていないんですが、完成したシーンを観て、”泳ぐ”というダイナミックさに、本作の”いのちが未来に向かう”というテーマが描かれていると思いました。あの時は喧嘩になりかけましたが、会長のそのまなざしが、この映画の支えだと思いました。先ほど、吉永さんとも『(会長は)きっとこの会場のどこかにいる』と話していたんです。この丸の内TOEIで公開できたことを本当に感謝しています」と続けた。

本作は、長年、東京の救命救急の現場で働いていたが、とある事件をきっかけに、在宅医療専門医として故郷・金沢の「まほろば診療所」で働き始めることとなった白石咲和子(吉永)が主人公。彼女は、今までの“いのちを救う”現場とは異なり、患者たちと身体の治療だけではなく、支える家族や患者たちの心と向き合うことの大切さに次第に気づいていく。

また、咲和子に出会い、医師になることに向き合い始めた青年の野呂聖二(松坂桃李)、ある過去から歩みを始めた看護師の星野麻世(広瀬)、彼らを見守る「まほろば診療所」の院長・仙川徹(西田敏行)が咲和子と共に患者に寄りそい、前に向かって歩みを初めていく。そんな中、咲和子の父(田中)が病に倒れ、どうすることもできない痛みに苦しむ彼は、あることを咲和子に頼もうとする…というストーリー。

ここで、本イベントが公開から12日目ということで、既に鑑賞した人からの言葉を発表することに。吉永は「今までにない感じ方をなさった方が多いですね。ご家族の中でご病気の方がいらっしゃったり、ご両親のこととか、お子さんのこととか、全部お手紙に書いてくださって、この映画を観て元気になりましたという言葉をいただいております。本当に、今までと違う反応で驚いています。この時期ですから、みなさんが色々、いのちのことや、生きるということを考えてくださっていると感じます」という温かいコメントを披露した。

広瀬は「STATIONのシーンは、同業者の方から『どうやって撮っているの?』、『どこまでがアドリブなの?』とよく言われました。台本と現実の区別がつかなかったと言われて嬉しいなと思います。東京に住んでいる友人が多いので、観に行けるようになったらいくねという声が多かったので、映画が公開されてそんなことを言われたのは初めての体験だなあ思いながら、感染対策に気をつけていただきながら、早く感想を聞きたいなという気持ちです」と、俳優仲間から褒められたと明かした。

一方、田中は「沈黙が届いております」と語り、場に笑いが起こる。「本当に辛い役でして、とにかく身体の痛みを四六時中抱えて生きている人物です。カメラの前だけ痛みを感じるというのは、不器用な自分には不可能で、(撮影時は)撮影所に向かう途中から身体が痛くなる状況でした。全国にいらっしゃる同じ病を抱えている方々が、この作品をもしご覧になった時に、お芝居だね、と言われたくないなと思っていました。僕がダンサーを50年以上やってきた経験に、すがるようなつもりで演じていました。長い時間をかけた友人たちは分かってくれていると思います。皆さんも沈黙で構いませんので、時間をかけて感想を心に保っていただけると嬉しいです」と、難しい役へ真摯に向き合った田中の言葉に、会場からは自然と拍手が沸き起こった。

また、コロナ禍で大変な状況の中、様々な地域で宣伝活動を行ってきたことを振り返り吉永は「随分色々なところに行きました。すずちゃんも来てくれて、それぞれの箇所で、観られた方のご感想をいただきました。最後に行ったのは岡山と広島で、感染者が多くなっている状況でしたが、みなさんそれぞれ映画から想いを受け止めてくださって、本当にありがたかったです。ただ一つ心残りなのは、すずちゃんと一度もご飯を食べられなかったことです」と思いを明かした。

それを受けて、「私は金沢に一緒に行かせていただいたんですが、取材と舞台挨拶をしてその日に東京に帰ることもありました。お仕事以外で一緒に過ごせるということが、他のキャストの方も含めなかったので…」と返事をするも言葉に詰まる広瀬に対し、「今度いつかね」と明るく声をかける吉永広瀬も「ぜひ!」と笑顔で明るく返答し、ふたりの仲の良さをうかがわせた。

映画のラストシーンは、咲和子の父が、咲和子にある”願い”を託し、彼女がその”願い”を叶えたのかの答えを観客に考えさせるような構成となっている。本編でも印象に残る本シーンを演じた時の感情について聞かれると、吉永は「とても難しいシーンでした。脚本を作っている間にコロナの状況にになりました。そして、多くの方が亡くなっていくという中で、監督とお話しさせていただいて、今日のような形になりました。演じていても本当に苦しかったですが、お父さんの苦しみを取ってあげたいという想いだけは、娘として出さなければという気持ちだけはありました。あのシーンは、演じたというより、あの場所にいました」と振り返る。

成島監督は「実は最初の段階では、岡田会長と吉永さんと一緒に、『吉永さんはここのところ柔らかい役が多いので、そうではない役をやってもらおう。安楽死に切り込む、エッジの効いたストーリーラインでいこう』と話していたんです。ですが、コロナ禍になり、我々が想像した尖った物語より、現実が上をいってしまったんです。その時に、『(このままエッジの効いた話でいくのは)どうかしら?』とおっしゃったのが吉永さんでした。吉永さんは命を本当に大事に考えていらっしゃるんです。そこから、『ではこの物語の答えはどこにあるんだろうか?』という長い旅になりましたが、最後まで分からないということになりました。ですが、監督として思うのは、吉永さんはあのシーンで本当に真っ白なんです。すごいなと思いました。どっちかの答えに寄っていくなどはなく、ただ感情がふわっとしている。また、同じ場面で泯さんが目を閉じたまま『綺麗だ』とおっしゃったことにも感動しました。これは私の演出ではありません。お二人の真っ白なハーモニーを撮れたことが幸せでした」と語り、吉永と田中の表現力を称賛した。

最後に、吉永は「今日、私たちは東京と大阪で初日を迎えました、とても幸せです。ですが、他の職業では、まだまだ苦しい思いをしていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるいると思います。様々なお仕事の中で、本当に苦労していらっしゃるということを、見聞きしております。一日も早く、こういう状況から、いい状況になれますようにと願っています。私が映画の中ですずちゃんを思いっきりハグしたように、みんなが抱き合ったり、握手したりと、そういうことができますようにと祈りながら、今日の舞台挨拶を終わらせていただきます」と挨拶。

続けて、成島監督も「ようやく東京の映画館が開きました。我々は、本当にいのちを削って作りました。スタートから、コロナなど色々なこともありましたが、皆さんに頑張っていただいて、ロングランを目指してまいります。まだまだ映画館は半分の席での上映ですが、映画が終わる頃には、満席のスクリーンを見たいなと思っております」と挨拶し、晴れやかな空気の中、イベントは締め括られた。

いのちの停車場

ストーリー
東京の救命救急センターで働いていた、医師・白石咲和子(吉永小百合)は、ある事件の責任をとって退職し、実家の金沢に帰郷する。これまでひたむきに仕事に取り組んできた咲和子にとっては人生の分岐点。久々に再会した父(田中泯)と暮らし、触れあいながら「まほろば診療所」で在宅医として再出発をする。「まほろば」で出会った院長の仙川徹(西田敏行)はいつも陽気な人柄で患者たちから慕われており、訪問看護師の星野麻世(広瀬すず)は、亡くなった姉の子を育てながら、自分を救ってくれた仙川の元下で働いている。ふたりは、近隣に住むたった5名の患者を中心に、患者の生き方を尊重する治療を行っており、これまで「命を救う」現場で戦ってきた咲和子は考え方の違いに困惑する。そこへ東京から咲和子を追いかけてきた医大卒業生の野呂聖二(松坂桃李)も加わり「まほろば」のメンバーに。野呂は医師になるか悩んでおり、そして麻世もまた、あるトラウマに苦しんでいた。様々な事情から在宅医療を選択し、治療が困難な患者たちと出会っていく中で、咲和子は「まほろば」の一員として、その人らしい生き方を、患者やその家族とともに考えるようになってゆく。野呂や麻世も「まほろば」を通じて自分の夢や希望を見つけ、歩みはじめた。
生きる力を照らし出す「まほろば」で自分の居場所を見つけた咲和子。その時、父が病に倒れ…。父はどうすることもできない痛みに苦しみ、あることを咲和子に頼もうとしていた―。

作品タイトル:『いのちの停車場』
出演:吉永小百合
松坂桃李 広瀬すず
南野陽子 柳葉敏郎 小池栄子 みなみらんぼう 泉谷しげる
石田ゆり子 田中 泯 西田敏行
監督:成島出
脚本:平松恵美子
原作:南杏子「いのちの停車場」(幻冬舎)
配給:東映

公式サイト:https://teisha-ba.jp/
公式Twitter:@Teishaba_movie
公式Instagram:@inochi_teishaba_movie #いのちの停車場
コピーライト:(C)2021「いのちの停車場」製作委員会

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