海外ドラマ「ブラックリスト シーズン7」日本人サウンド・エディター石川孝子さんが語る本シリーズの魅力とは?

ジェームズ・スペイダー主演、全⽶での放送開始以来、⾼視聴率を獲得し続けているアクション・サスペンス超大作「ブラックリスト」(原題︓THE BLACKLIST)の最新シーズンであり、全⽶NBCネットワークにて昨年10⽉より放送開始されたばかりの「ブラックリスト シーズン7」が、『スーパー!ドラマTV』にて毎週火曜夜10時ほか、独占日本初放送中だ。

シーズン7では、死んだと思われていたエリザベスの母親カタリーナ・ロストヴァの登場によって波乱の展開が待ち受ける。なぜカタリーナはレッドを拉致したのか?彼女の目的とは?そしてレッドがエリザベスに対して守り通してきた秘密が、徐々に明らかになっていく。

本国アメリカでの好調な成績により、すでにシーズン8の製作も決定している大人気の海外ドラマシリーズだが、そんな「ブラックリスト」に長年携わる日本人スタッフがいる。2004年には海外ドラマ『デッドウッド~銃とSEXとワイルドタウン』にて第56回エミー賞の音響編集賞を受賞し、現在もハリウッドでサウンド・エディターとして活躍中の石川孝子さんだ。

この度、「ブラックリスト シーズン7」の独占日本初放送を記念して、石川孝子さんへのオフィシャルインタビューが公開された。

ブラックリスト シーズン7

石川孝子さん

初めに、サウンドエディターという仕事について聞くと、

「サウンド・エディターは、テレビや映画の全ての音作りの責任を担う仕事で、最終的にミキサーが音をミックスダウンできるようにするために音を準備する人たちです。通常、サウンド・エディティングでは専門的な仕事に分かれていて、ダイアログ(セリフ)、サウンド・エフェクト(効果音)、フォーリー、それとミュージックに分かれています。ちなみに、サウンド・デザインというのもサウンド・エフェクトに含まれます」

と、音に携わる分野だけでもかなりの種類があることを解説してくれた。

『ブラックリスト』で石川さんはサウンドエフェクトのバックグラウンドを担当している。石川さんはサウンド・エフェクトの中でバックグラウンドの重要性について、

「バックグラウンドの大切さはすごくあるんですが、サウンド・エディターの中でもないがしろにしてしまう人がいるんです。でも、私はバックグラウンドが基本と言いますか、人間の精神とかそういうところに関わっていると思うんです。ここは外国なんだとか、室内にいるけど外は雨が降っているんだとか、そこが異様な場所なんだとか、例えば、地下のシーンでもそんなに怖くない地下があったり、怖い地下があったりと、それはバックグラウンドだけでなく役者さんたちの演技もあるんですけど、視聴者の目や耳という五感ですよね。そういうのを自分はいじっているんじゃないかと思っています。だから、バックグラウンドというのは地味ではあるんですけどね、影響力が実はあると思っています(笑)」

と笑顔で語ってくれた。実際にはセットなどで撮影されている映像にバックグラウンド音がつけられることによって、ドラマの中のリアルな雰囲気が作られているそうだ。

ブラックリスト シーズン7

石川孝子さん スタジオ写真

「ブラックリスト」をパイロット版から全シリーズ担当している石川さんだが、その中で難しかった作業を聞いてみると、

「『ブラックリスト』は今までやってきたテレビドラマの中で一番バックグラウンドを入れるのに大変ですね。毎回、登場人物たちが世界中のいろんな場所に行くので。エリザベスたちの本部である「郵便局」がありますけど、あれは毎回同じような音が使えるんですが、『ブラックリスト』はどんどん場所が変わるんですよ。私が知らないような国に行かれたりすると、地図を見ながら「ここはどこ?」なんて思ったりしていました(笑)。」

「特に難しかったのは、シーズン1で、ブラックリスターの一人であるベルリンの乗った飛行機が墜落するエピソードですね。シーンのカットがあっちの飛行機になったり、こっちの飛行機になったりとかあって、とにかくカットが多くて難しかったです。ブラックリストはとにかく違う場所へのカットが異常に多いので、時間がかかります」

と様々な国を行き来する「ブラックリスト」では、その国に合った雰囲気の音をつける必要があるため、苦労が多いことを明かしてくれた。

ブラックリスト シーズン7

石川孝子さん スタジオ写真

続いて、話題は石川さんがどのようにハリウッドで働くようになったかの経緯についてのトークに。長年ハリウッドで活躍する石川さんだが、渡米したきかっけは音楽だったそうで、

「渡米後、英語の勉強をしながら音楽のレコーディング・ミキサーになりたいと思うようになって、バークリー・カレッジ・オブ・ミュージックという音楽大学で勉強を始めたんです。」

「そこを卒業する頃に、アメリカでしばらく働いて経験を積みたいと思ったんですけど、外国人なので就労ビザがないために音楽スタジオへの就職が難しかったんですね。それで、バークリー時代に2年ほど無償でインターンをしていたんですけど、そこで知り合ったミキサーの方が、ロサンゼルスにある音楽スタジオを紹介してくれて、西海岸のほうが私の探しているような業界に入りやすいという情報も聞いたので、ロサンゼルスに来たんです。でも、レコーディング・スタジオで働くにはインターンからまた始めないといけなかったんですよ。そうなってくると、外国人にとってはビザの関係とかでアメリカに残るのは難しいんですね。」

「そんなことがあって、いろんなスタジオに電話していたら、サウンド・エディターという職業があるということがだんだん分かってきたんです。それで、最初に思っていた音楽のスタジオではないんですが、アメリカで経験がしたいし、学校で勉強したことを無駄にしたくないという思いもありましたし、自分の学んでいたことがサウンド・エディターという仕事に使えると分かったので、そういう会社も範囲に入れて電話をしたり、履歴書を送ったりして雇ってもらったのがスタートでした」

と、現在のサウンド・エディターという仕事を始めるきっかけを教えてくれた。

ブラックリスト シーズン7

そんな石川さんに、「ブラックリスト」シリーズの魅力を聞くと、

「映画とかテレビドラマ作りの教科書みたいなお決まりの展開があんまりないことですね。余計なシーンがあんまりないのも好きなところです。いつまでも一つの話が続かなくて、何エピソードかするとすぐ解決するんですけど、その後ろにまた話が入り組んでいて、さらに話が進んでいくので、ズルズルと一つの話で持って行かれないというのも好きですね。」

「それから、意外に登場人物たち全員が真面目なんだけど、パーフェクトじゃないところですかね。それにレイモンドが突然くだらない話をするところです(笑)。シリアスなシーンなのに、全然関係ない話をするでしょ。そういうのは個人的に大好きですね、笑いながら何度も見たりしています(笑)。あと、陸運局のグレンのような変なキャラクターが出てくるのが楽しいですね。アメリカに住んでいると分かるんですけど、陸運局は本当にドラマみたいに混んでいるんですよ(笑)。」

「それに、レイモンドに頼まれていつも拷問するミスター・ブリムリーですね。いつも何の拷問をしているのか分からないのが面白い(笑)。ああいう人たちが出てくるとうれしいですね。長い間やっている中で、そういう人たちが同じような感じで出てきて、つながっている感じがあって好きです。」

「それと、個人的に登場人物の中ではデンベが一番好きです。レイモンドへの忠実さがいいですよね。ところが彼もいろいろ悩んだりしていて、真面目なんだけどパーフェクトじゃないというようなのがあって好きです」

と、全シリーズに関わっているからこその、思い入れの強さを見せた。

最後に、いよいよ独占日本初放送が開始となったシーズン7を、

「『ブラックリスト』が始まってから、みんなエリザベスのお母さんであるカタリーナのことがずっと気になっていると思うんですよ。だからシーズン7の見どころは、彼女はいったいどういう人なんだろうかというところですね。ただ、それをここで言っちゃうとネタばれになってしまうので、そこはお楽しみです(笑)。カタリーナというのは、みんなが思っているような人なのか、それとも違うのかというところですね。みんな、想像を膨らませていたと思うんですよ。エリザベスもカタリーナは自分のお母さんですから、会いたかったんだけど、さてどうなるのかという感じです」

と日本のファンに向けてアピールした。シーズン7を視聴する際は、ぜひ今まで以上に”音”にも注目して見てほしい。

「ブラックリスト シーズン7」は、スーパー!ドラマTVにて毎週火曜夜10時ほか独占日本初放送中。

ブラックリスト シーズン7【石川孝子さん プロフィール】
サウンド・デザイン&エフェクト・エディター
東京都出身。高校卒業後、渡米し、バークリー音楽大学にてミュージックプロダクション&エンジニアリング科とミュージックシンセシス科を2学部を専攻、卒業。後、1997年、ロサンゼルスのポストプロダクション会社「デジタルサウンド・アンド・ピクチャーズ」に、SFXエディターとして入社。2000年から、「ソニー・ピクチャーズ・エンターティメント」に入社。2004年、HBO製作の『デッドウッド~銃とSEXとワイルドタウン』で第56回、サウンドエディティング部門では日本人初のエミー賞受賞。ソニーでの、現在の主な作品は『ブラックリスト』『エンパイア~成功の代償』その傍ら、時間の許す限り、フリーランスとして活躍中。

ストーリー
世界中の犯罪者たちと裏取引をし、犯罪コンシェルジュと呼ばれる最重要指名手配犯レイモンド・“レッド”・レディントン。彼はFBI捜査官エリザベス・“リズ”・キーンを指名し、⾃分の持つ“ブラックリスト”からの情報提供を申し出る。エリザベスは⾯識の無いレッドから指名されたことに⼾惑うが、紆余曲折を経て、エリザベスの⺟親カタリーナ・ロストヴァが生きていること、そしてエリザベスを守るため、カタリーナの幼馴染であったイリア・コズロフがレッドになりすましたことを知る。
真実を知ったエリザベスは、レッドが⾃分や娘のアグネスに危害を加える人間ではないとわかったが、KGBがいまだにカタリーナを追っていることが判明する。エリザベスからそのことを聞いたレッドは、エリザベスと娘アグネスを守るため、カタリーナに接触することを決意。パリでカタリーナと再会したレッドだったが、再会直後カタリーナとその仲間たちに拉致されてしまい――。

作品データ
●原題︓THE BLACKLIST
●データ︓2013年〜現在全⽶放送中(シーズン7は2019年〜)/アメリカ/二カ国語&字幕・5.1chサラウンド/60分/HD 作品
●製作総指揮︓ジョン・ボーケンキャンプ、ジョン・アイゼンドレイス、ジョン・デイヴィス、ジョン・フォックス、ジェームズ・スペイダー、ルーカス・ライター、J・R・オーチー、ローラ・ベンソン
●キャスト︓
レイモンド・“レッド”・レディントン︓ジェームズ・スペイダー(『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』)/声︓⼤塚芳忠
エリザベス・“リズ”・キーン︓メーガン・ブーン(「LAW & ORDER: LA」)/声︓甲斐田裕子
ドナルド・レスラー︓ディエゴ・クラテンホフ(「HOMELAND」)/声︓宮内敦士
ハロルド・クーパー︓ハリー・レニックス(『マン・オブ・スティール』「24」)/声︓山野井仁
アラム・モジタバイ︓ アミール・アリソン(「GIRLS/ガールズ」)/声︓志賀麻登佳
デンベ︓ヒシャム・タウフィーク(『デッドマン・ダウン』)/声︓竹田雅則

「ブラックリスト シーズン7」
海外ドラマ専門チャンネル スーパー!ドラマTV にて
毎週火曜 独占日本初放送中

【二カ国語版】毎週火曜 22:00 ほか
【字幕版】毎週火曜 24:00 ほか

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