『存在のない子供たち』難民だった彼らの実体験が描かれる“物語の強さ”主人公の少年ゼインが語る特別映像が解禁-7/20公開

是枝裕和監督作『万引き家族』とともにカンヌ国際映画祭を震わせ、コンペティション部門〈審査員賞〉〈エキュメニカル審査員賞〉を受賞、本年度ゴールデン・グローブ賞ならびにアカデミー賞(R)映画賞〉にノミネートされたナディーン・ラバキー監督最新作『存在のない子供たち』が7月20日(土)よりシネスイッチ銀座ほかにて全国公開される。この度、主人公の少年ゼインが語る特別映像が解禁となった。

主人公を演じたゼイン・アル=ラフィーアは、ナディーン・ラバキー監督と共に昨年のカンヌ国際映画祭上映で鳴りやまぬ喝采と称賛の声で観客へ受け入れられた。本名と同じ役名でもあったゼインは、国内情勢の悪化によりレバノンへ逃れたシリア難民であり、ベイルートの住宅地にいた子供の集団の中でキャスティングディレクターに見出された。撮影後に国連難民機関の助けを得て、家族と共にノルウェーへ移住。ラバキー監督は「初めて会った時ヒーローになると思った。彼の目には特別な悲しみがあった」と振り返る。<学校に通いたかった、撮影スタッフは人間らしく接してくれた>と当たり前が当たり前でない状況を生きてきたゼインの言葉が印象的だ。

主人公ゼインを始め出演者のほとんどは、演じる役柄によく似た境遇にある素人が集められた。 ゼインが家を飛び出した際に一緒に暮らし始めるエチオピア人の幼い赤ちゃんヨナス役のボルワティエフ・トレジャー・バンコレは、アフリカ系不法移民であるため住居を転々としており、本作の撮影中にも両親が逮捕されてしまうという事件が起きた。撮影スタッフの尽力により釈放はされるも国外退去させられ、母親とトレジャーはケニア、父親はナイジェリアへおり家族は今も離れ離れになっている。

劇中で自身も苦しい生活の中でありながらゼインを保護したラヒル役のヨルダノス・シフェラウは、自分の歳も分からず幼少期は難民キャンプで過ごしていた。映画の物語と同様に撮影中に不法移民として逮捕、拘束されてしまうが、のちにラバキー監督が保証人となり釈放された。妹役のサハル役のシドラ・イザームもゼインと同じくシリア難民であり道端でチューインガムを売って家計を助けていた。

ラバキー監督は3年間のリサーチ期間を設け、その間に自身で見聞きし体験したことを本作へ盛り込んでいる。こんな重い人生を背負いながら生きている人たちを役者が演じるのは難しい、感情を「ありのまま」に出して自分自身を生きてもらい、彼らが体験する出来事を演出した結果、リアリティを突き詰めながらも、ドキュメンタリーとは異なる唯一無二の“物語の強さ”を本作で生み出すことが実現したのである。

「両親を告訴する。こんな世の中に僕を産んだから。」両親を告訴するという衝撃的なオープニングから心を鷲づかみ、物語をひと息に過去へと遡らせ、その理由と経緯をつぶさに描き出し、世界を揺るがした衝撃作。
まだ幼い少年が切に発した言葉の真意とは何だったのか―。
今も全世界へと広がり続けている絶賛の波が、ついに日本へも押し寄せる。

ストーリー
わずか12歳で、裁判を起こしたゼイン。訴えた相手は、自分の両親だ。裁判長から、「何の罪で?」と聞かれたゼインは、まっすぐ前を見つめて「僕を産んだ罪」と答えた。中東の貧民窟に生まれたゼインは、両親が出生届を出さなかったために、自分の誕生日も知らないし、法的には社会に存在すらしていない。学校へ通うこともなく、兄妹たちと路上で物を売るなど、朝から晩まで両親に働かされている。
唯一の支えだった大切な妹が11歳で強制結婚させられ、怒りと悲しみから家を飛び出したゼインを待っていたのは、大人たちが作ったさらに過酷な“現実”だった──。

作品タイトル:『存在のない子供たち』
出演:ゼイン・アル・ハッジ、ヨルダノス・シフェラウ、ボルワティフ・トレジャー・バンコレ
監督・脚本・出演:ナディーン・ラバキー 『キャラメル』
2018/レバノン、フランス/カラー/アラビア語/125分/シネマスコープ/5.1ch/PG12
字幕翻訳:高部義之
配給:キノフィルムズ/木下グループ

コピーライト:(C)2018MoozFilms

7/20(土)、シネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国公開


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