【インタビュー】『キーパー ある兵士の奇跡』デヴィッド・クロス「スポーツは国をつなぐ、素晴らしい力を持っている」

キーパー ある兵士の奇跡2019年にドイツのバイエルン映画祭で最優秀作品賞に輝き、世界各国の映画祭で数々の観客賞を贈られた『キーパー ある兵士の奇跡』が10月23日(金)新宿ピカデリーほか全国公開となる

本作は、第二次世界大戦で捕虜としてイギリスの収容所に送り込まれたナチスの兵士バート・トラウトマンが、終戦後に名門クラブ、マンチェスター・シティFCで活躍し、イギリスとドイツを結ぶ平和の架け橋となり、やがて国民的ヒーローとして敬愛されたという驚くべき実話から生まれた物語。

トラウトマンには『愛を読むひと』のデヴィッド・クロス、妻のマーガレットには『サンシャイン/歌声が響く街』のフレイア・メーバー。監督は、ドイツ国内で数々の賞を受賞してきたマルクス・H・ローゼンミュラー。はじめは〈敵〉として嫌悪していたトラウトマンを〈人〉として愛し始め、やがて固い絆で結ばれていく二人の姿には、誰もが心を深く揺さぶられるはずだ。

主演のデヴィッド・クロスは『愛を読むひと』(08)で世界で数々の賞を受賞し、一躍ブレイクを果たしたドイツ出身の俳優。その後も巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督の『戦火の馬』(11)をはじめ、『栄光のランナー/1936ベルリン』(16)、『バルーン 奇蹟の脱出飛行』(18)とスクリーンで次々と活躍し、着実にキャリアを積み重ねていく。そんな『愛を読むひと』の“あの少年”から、大きく飛躍を遂げたクロスの成長ぶりには、映画ファンからも「あの子も30歳か!」「大人になりましたね」「青年時代を演じてたあの人が…」と、感慨深い声があがっている。奇しくも本日10月22日は、彼が演じたマンチェスター・シティFC伝説のゴールキーパー、トラウトマンの生誕日であるとともに、いよいよ明日10月23日は本作が公開となる。

キーパー ある兵士の奇跡

Photo by Jeanne Degraa

クロスはまず初めて脚本を読んだ時のトラウトマンの印象について尋ねられると、「これまで名前を全く聞いたことがなかったから、まずとても驚いた。でも、すぐにこれは映画にしたら素晴らしい物語になると思ったよ。」と振り返る。トラウトマンのキャラクター像については、「正義感が強く、野心もあり、謙虚で真っ直ぐな人。弱気なところが全くないんだ。そして、妻となるマーガレットとのラブストーリーを通じて、彼が戦争に巻き込まれてしまった過程も学ぶことができたよ。」と分析。

プレーの場面では、ゴール前のジャンプでボールを力強く弾き、掴み、まるで経験者であるかのような高い身体能力を発揮するクロス。サッカーの経験については、「若い頃はサッカー選手か俳優になりたいと思っていたんだ。サッカーもやったことはあるけど、ゴールキーパーは一度もやったことがないから、0から学んだよ。でも、練習通りやっているうちに、自然と動きが身についていったんだ。」と吸収力の高さをみせる。また、youtubeでトラウトマンの数少ない映像から、彼のプレーを学んだことを振り返り、「1956年のFAカッフ゜決勝戦で彼が首の骨を骨折した時の映像などを見て、彼の全てを真似て再現しようとしたよ。」と振り返る。痛みをリアルに表現しながらも、強い精神力でゴールを死守する劇中のクロスの姿は見所のひとつだ。

妻のマーガレットを演じたフレイア・メーバーについては、「とても才能ある女優だよ。これからもスクリーンで素晴らしい演技をたくさん見せてくれると思う。なかでも劇中の終盤でかかる歌「Abide with me」は彼女が歌っていたと聞いて、とても感動したよ。」と彼女の多才な才能について話した。

キーパー ある兵士の奇跡

最後に本作から学んだことについて、「スポーツは国をつなぐ、素晴らしい力を持っていると思う。チーム・スピリットが、政治的な違いを超えるものだと教えてくれ、連帯感をもたらしてくれる。トラウトマンは英国において“平和の大使”のような存在となったんだ。スポーツはとてもパワフルなものだと思うよ。」と語った。

国や人種を超え、スポーツの持つ力が平和へと導いた、まさに奇跡のような実話である本作。トラウトマンがいかにして国民的ヒーローとなったのか、その波乱万丈な人生がいよいよスクリーンで明かされる。

ストーリー
1945年、ナチスの兵士だったトラウトマンはイギリスの捕虜となる。収容所でサッカーをしていた時、地元チームの監督の目に留まり、ゴールキーパーとしてスカウトされ、名門サッカークラブ「マンチェスター・シティFC」に入団。ユダヤ人が多く住む街で、想像を絶する誹謗中傷を浴びながらも、トラウトマンはゴールを守り抜いた。やがて彼の活躍によって、世界で最も歴史ある大会でチームを優勝へ導き、トラウトマンは国民的英雄となる。だが、彼は誰にも打ち明けられない〈秘密の過去〉を抱えていた。そしてその秘密が、思わぬ運命を引き寄せてしまう──。

作品タイトル:『キーパー ある兵士の奇跡』
出演:デヴィッド・クロス『愛を読むひと』、フレイア・メーバー『ベロニカとの記憶』、ジョン・ヘンショウ『天使の分け前』、デイヴ・ジョーンズ『わたしは、ダニエル・ブレイク』
監督:マルクス・H・ローゼンミュラー
2018年/イギリス・ドイツ/英語・ドイツ語/119分/スコープ/カラー/5.1ch/英題:The Keeper/日本語字幕:牧野琴子
配給:松竹

公式サイト:movies.shochiku.co.jp/keeper/
コピーライト:(c)2018 Lieblingsfilm & Zephyr Films Trautmann

10月23日(金)新宿ピカデリーほか全国公開

 

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