劇場アニメ『パリに咲くエトワール』の完成披露試写会が2月26日に実施され、當真あみ、嵐莉菜、早乙女太一、尾上松也、名塚佳織、谷口悟朗監督が登壇した。

本作は、20世紀初頭、「ベル・エポック」と呼ばれるパリが文化的に栄華を誇った時代が舞台。そこで日本からやってきた少女2人が異国の空の下、夢を追いかける姿を描く。

映画館を埋め尽くす観客から大きな拍手で迎えられた谷口悟朗監督は「ようやく皆さんにお見せできるこの日を迎えることができてとても嬉しいです」と感無量。
画家を夢見るフジコを演じた當真は、台本を読んだ時のことを振り返り「私が演じるフジコという女の子がすごくかっこいいなとまず思いました。活発で明るくて、本人が持つエネルギーが周りを取り込んでいくような力を持った女の子だったので、私の近くにもこんな女の子がいたらいいなと思いながら読んでいました。完成した映画は莉菜ちゃんと一緒に観ていたんですけど、アフレコしている時は途中の段階だったので、実際完成した映画を大きなスクリーンで素敵な映像と皆さんが吹き込んだ登場人物たちの声が聞けて、最初の方で涙が出そうになるくらい感動しました。そこから作品の中に取り込まれてすごく楽しく観ることができました」と噛み締めるように語った。嵐とは本作をきっかけにドラマでも共演が続き、今は連絡をとったり一緒に遊んだりする仲になったのだという。

なぎなたの名手ながらバレエに心惹かれる少女・千鶴を演じた嵐は「千鶴は一見物静かで落ち着いた性格なんですけど、なぎなたをやる時は人が変わったかのようにかっこいい姿が見えて、そういったギャップ、元から持っている芯の強さにすごく魅了されて。(バレエという)夢を追い求める姿にもすごく心打たれましたし、フジコと千鶴の友情が台本を読んでいても伝わるくらい胸に響くものがあって、これからこの二人はどういうふうに友情を構築していくのかなと演じるのがすごく楽しみになりました。完成したのを見た時、最初は初めてでどういうふうに自分の声が聞こえるかとか気になってはいたんですけど、素晴らしい映像を見ているとどんどんのめり込んでいっている自分がいて。自分が入れた声がキャラクターの命になり、命を吹き込む瞬間に立ち会えるにはなかなかないことなので本当に嬉しかったです」とはにかみながら語る姿が印象的だった。

フジコと千鶴を陰ながら支える作曲家志望の青年・ルスランを演じた早乙女は台本について「非常に勇気づけられる作品だなと思いました。僕自身も自分のチャレンジしたいという気持ち、その一歩を後押ししてくれるような作品だなと思いました」とコメント。

フジコの叔父でパリで画廊を経営する若林を演じた松也は「やりたいことがあるということは素敵だなとすごく感じましたし、自分も今も夢をずっと追い続けているんですけれども、若い頃夢中になった気持ちを思い出しました。完成したものを見ると声優陣の皆さん素晴らしくて、その世界観に引き込まれましたし、少女たちの夢を追いかける姿を描くだけではなくて、その当時の海外における東洋人に対する扱いだとか、世界情勢だとかもしっかり入っています。それでいて映像もすごくきれいで、自分が声優として関わっていることをすっかり忘れてあっという間に時間が過ぎてました」としみじみと語った。

フジコの暮らすアパルトマンの住人・ジャンヌを演じた名塚佳織は完成した作品を見ての感想を聞かれ、「フジコと千鶴の二人が可愛らしくて、こっちも顔が綻んでいる瞬間がいくつもあって素直に“頑張ってほしい”という気持ちになりますし、自分も子どもがいるので今は親目線で見るような気持ちが強くて、自分の子どもたちもこうやってやりたいことを見つけて夢に向かって懸命に走っていってくれたら嬉しいなと、そんなことをいっぱい感じさせてくれた作品でした」と述べた。

さらに、名塚は當真・嵐の演技に「本当に素晴らしいです!」と手放しの絶賛。「自分の最初のアフレコの頃を思い出すとこんなに上手にできなかったので、本当に素敵だなと思いました」と語った。
また谷口監督の演出方法について「監督はとっても細かくて(笑)とにかく設定・資料をたくさんくださるんですよ。だから世界観がよく伝わってきて、毎回ご一緒するときにイメージしやすい。アフレコするときは必ずしも完成した状態ではなかったり、音が入っていないという状態なのでイメージの中だけでアフレコすることが多いんです。そういったところも空間をしっかり伝えてくださるので自分がその世界に入ったような気持ちで演じることができる」と谷口作品の制作現場の一端を明かした。

続いて、キャストそれぞれの本作での“推しキャラクター”を聞いたところ、當真があげたのはフジコの叔父の若林。
「フジコの叔父らしく、自分の意思にまっすぐ向かう人で、フジコがパリですごく振り回されることもあるんですけどそれでも憎めない。好きだなと思ってしまうキャラクター。推しです!」と語ると、若林を演じた松也は「あざっす!めちゃくちゃ嬉しいです(笑)」とホクホク。「フジコにとってはきっかけになる感じなので、ポジティブさを全面に出していきたいなと思って、監督にもアドバイスしていただきながらでした。チャーミングさは・・・出ちゃった感じ!?(笑)」と語ると会場からも笑いが起きていた。
嵐は「私が好きなのは門脇さん演じるルスランの母でもあり、千鶴のバレエの先生でもあるオルガ先生。私も幼少期バレエを習っていたので、バレエの先生特有の怖さをしっかりと出されていて。でもルスランの前だと母親らしい姿も出したりとか。すごく女性として魅力的なキャラクター」と推しを語った。

早乙女が挙げたのはチンピラ3人組。実は名前があるのだが、本編では名前を呼ばれていないのだと監督は明かす。
「名前を言わせようと思ったのですが、人の名前が次々に出てきちゃって、お客様が見た時に名前を覚えられる限界数を超えちゃうなと思ったので、この三人は設定としては名前はあるけれど出すのはやめたんですよね」とエピソードを語った。推しポイントを聞かれた早乙女は「見ていただければわかると思うんですけど、いい仕事してるんです」というと監督も「すごいいい味出してると思います!」とプッシュした。
松也は「フジコと千鶴、二人が夢を追いかける姿はもちろん見ていただきたいんですが、僕は太一くんが演じるルスラン。もーう上手くて!太一くんがやってるって途中まで気づかなかったです」と驚き。
ルスランは10代後半の設定だが、早乙女の実年齢は34歳。それを聞いた松也は「10代後半に聞こえるんですよね。上手いなぁ?と思って。悔しいなぁ?、教えて欲しいなと思いました」と会場の笑いも誘っていた。
名塚は「フジコと千鶴の両親が私はとっても好きです。彼女たちは全然違う家庭環境で育っていて、でも同じように夢を持っていて。でも親も葛藤しているのでそんなところも注目してもらえたら」と注目ポイントを挙げた。
また、作品の内容になぞらえ、夢を叶えるためだったり、欲しいものを手に入れるために“自分の中で思い切ったこと”を聞かれた當真は、「今まで沖縄に住んで沖縄から出たことがないような生活だったのが、東京に出てきて、いろんな違いや変わっていることを知って。もっといろんな都道府県に行ってみたいと思って、去年から一人旅をするようになりました。移動や泊まる場所とかどうしたらいいんだろうと思うこともあったんですけど、いざ踏み出してみたらすごく楽しくて、あの時ちゃんと動いてよかったなと思っています」と明かした。
嵐は「この作品のオーディションを受けたこと」。「アニメは好きだったですけど、いつか声の仕事をしてみたいというのは外に出したこともない夢だったので、それが叶う、このチャンスを逃したらきっと次はないと感じていました。オーディション本番では今までにないくらい手が震えてしまって、台本を持てないくらい・・・反対の手で台本を持つ手を押さえるくらい、その時は大変だったんですけど、今思えばこの作品に出会わせていただいて、この役をいただけたのはすごく光栄で今日すごく楽しみで嬉しい気持ちでいっぱいです」と感謝を述べた。
早乙女は、フィンランドでの撮影の裏側での出来事を回想。「僕サウナが大好きで、フィンランドはサウナの本場だからいろんな場所に行きたいなと思って、自分で調べてバスに乗って行こうとしたら、バス停で待ってるんですけど、バスは来るのに止まらない。何本も何本も行き過ぎるのに止まらなくて。手をあげないと止まらないらしいんです。30分くらいして地元の人が来てパッと手を挙げたら止まってたから、“あー、そうだったんだ”と。みなさんフィンランドに行ったら気をつけてください!」と注意喚起と共にチャレンジを明かした。それ以来、バスに乗って色々な本場サウナを楽しんだそうだ。
また、松也は「41歳にして初めて自分で米を炊いたこと」と発表。「ある取材で米の炊き方を教えてもらったので、思い切って土鍋を先に買いまして。41歳にして初めて米を炊くという夢を叶えました!」と熱く語る。楽しくて「早く帰って炊きたい」のだという。
そんな松也を「毎日米を炊いている“母”の身からすると、めんどくさいなと思いながら炊いてたから初心に戻らねば!」とみていたという名塚は「12人くらいの友達、半分以上が母となって子どもが産まれ母親になって、旅行もよくいく仲だけどかなり大家族になりまして。小さい子もいるので移動も大変だなということで、去年の夏大型バスを借りてバスで行く旅をやってみました!」と語ると場内からもどよめきが起きていた。「小さい子どもたちが大変だからイオンモールや牧場など遊び場を巡りながらで結構楽しかったのでこれからはみんな頑張って働いて、夏にバスを借りて旅行に行こう!という計画を立ててます!」と明かしてくれた。
谷口監督は「バレエ、なぎなたなどの所作、服部さんを中心としたチームで頑張ってくれた音楽はもちろんですが、この映画の企画の当初から劇場オリジナル作品として作っていこうとした時に、最終的に行き着いたのは“普通のことを普通にやろう、真っ当に作ったものにしかない何かがあるはずだ、それを信じよう”と。音楽と映像が一体化して、各キャストの皆さんの声によるサポートであったり、スタッフの皆さんの頑張りであったり、アニメーションならではの集団作業としての一体感は、映画館で一番いい状態で届けられる。普通のことをやれば普通に届くんだということを証明したくて作ったところがあります。やっと完成してよかったなと思ってます。當真さんの声を撮らせていただいたのが一番最初だったのかな。あの時最終的にどうなっていくのか見えていないところもあったんです、正直いうと。ひとまず當真さんの声を撮らせていただいて、それを基に音響設計を全部やり直そうとか、そうして組んでいったので最終的に完成して皆さんに感謝の想いしかありません」と本作に携わったスタッフ・キャストへの深い感謝を述べた。
そして最後に當真は「見るひとに勇気を与えてくれるような作品だと思っています。完成した作品を見て、自分が出演している作品なのに何回涙が出たかわからないくらいグッと心を掴まれる瞬間があって、そんな登場人物一人一人の姿を見ると皆さんにもそんなエネルギーをもたらしてくれると思いますので、ぜひそれを楽しんでいただけたらと思います」と観客へメッセージを送った。
