出口夏希、蒔田彩珠、是枝裕和監督ら登壇 実写映画『ルックバック』完成報告イベント

実写映画『ルックバック』の完成報告イベントが8月20日に丸の内ピカデリーで行われ、出口夏希、蒔田彩珠、七瀬ふうり、岡田六花、是枝裕和監督が登壇した。

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左から是枝裕和監督、蒔田彩珠、出口夏希、七瀬ふうり、岡田六花

原作は、藤本タツキによるコミック「ルックバック」。2024年に劇場アニメ化され、第48回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞した。なお本作は、藤本作品として初の実写映画化となる。

イベント冒頭、藤野を演じた出口は「みんなが心を込めて作り上げてきた『ルックバック』が完成し、こうして皆さんの前でご報告できることをとても嬉しく思っています」と喜びをあらわに。京本役の蒔田は「1年という贅沢な期間をかけて丁寧に作った作品の完成報告ができるのがすごく嬉しいです」とコメントした。

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子供時代の藤野役を務めた七瀬は「今日はお集まりいただきありがとうございます」、子供時代の京本役の岡田も「残暑厳しい中、足を運んでいただきありがとうございます」と感謝を伝えた。是枝監督は「一緒に映画を作ったキャストと集まることができて懐かしいですね。撮影の時の楽しい記憶が蘇って良い時間を過ごしています」と笑顔を見せた。

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昨年2025年2月から各季節ごとに1年以上にわたって撮影を行い、完成した本編を観た感想を問われると、出口は「私たちが観ていた景色がそのまま映し出されていて、自分が出ていることも忘れるくらい見入ってしまいました」と回想。

蒔田は「現場ではお二人(七瀬と岡田)の演技を見られなかったので、始まったら本当にあのふうりちゃん?ってくらいちゃんと役を演じていて。六花ちゃんが出てきたときも『かわいい!』ってなっていました。現場で頑張っていたのを知っていたからこその感動がありました」と振り返った。

これを受け、七瀬は「自分の演技を見る機会があまりなくて最初は恥ずかしくて目を瞑っていたんですが、演技の先輩たちの芝居を見て本当に感動しましたし勉強になりました」とコメント。

岡田も「にかほ市の景色がものすごく綺麗で、なにより皆さんの演技がとてつもなくお上手で…」と話すと、キャストから照れ混じりのツッコミが入るなど、和気あいあいとしたやり取りを見せた。

是枝監督は「素晴らしい原作に出会ったところからスタートし、撮りながら原作に応えなければと考えていましたが、撮影が始まると天気や自然に恵まれて、特別な時間が映画の中で撮れている実感がありました。登場人物と風景が祝福されている感じを共有できたらいいなと思います」と手応えをのぞかせた。

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出演オファーを受けた当時を振り返り、出口は「たくさんの方に愛されている作品が自分に来たので、嬉しいよりも怖いほうが勝っていました。是枝さんとは『舞妓さんちのまかないさん』以来4年ぶりだったので、成長していなかったらどうしようと泣いていました(笑)」と告白。

蒔田も「原作が発売された時に監督から漫画を頂いたんです。それから4、5年経って、ついに実現したという気持ちが大きかったです。私も4年ぶりに監督とご一緒だったので、ちょっと恥ずかしかったです」と当時の心境を明かした。

脚本の第一印象について、出口は「読み込んでいくと、言葉に表せないけど胸がキュッとなる感覚があって、どう演じていこうか悩む日々でした」と振り返り、蒔田は「原作がそのまま文字になっているような脚本ですが、監督が撮ったら台本に書かれていないセリフ以外の部分で是枝監督らしい作品になっていくんだろうなと楽しみでした」と期待を寄せた。

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オーディションで選ばれた七瀬と岡田は、合格時のエピソードも披露。七瀬は「嬉しすぎてびっくりして、家の中で叫んでぴょんぴょん飛び跳ねました。自分に決まると思ってなかったので本当に嬉しかったです」と振り返ると、是枝監督は「一次オーディションで立ち会ったスタッフ全員が『藤野だ』と思った」と満場一致だった抜擢理由を明かした。

岡田は「学校から帰ってきた時にお母さんから『決まったよ』と言われて、信じられなくて夢だと思いました。そこから1、2週間は実感が湧かないままボーッとして過ごしていました」と回想。

現場での是枝監督の印象を聞かれると、七瀬は「監督自体がほっこりしていて優しくて、この人だったらみんなに愛されるよねって。『大きいくまちゃん』みたいな」と表現し、会場の笑いを誘った。

また、是枝監督は七瀬に台本を渡さず、セリフを口頭で伝えてその場で演じてもらう手法をとったという。その際、七瀬から「分かった、じゃあ後で自分でやるから出来上がるまで監督は出て行って」とセットから追い出されたというまさかのエピソードも。監督は「セット出てくれと言われたのははじめてです(笑)」と苦笑い。岡田は「監督は一言で言えば人格者みたいな人(笑)。スタッフさんもお菓子を分け合ってくれたり、人見知りの私にも喋りかけてくれて本当に優しい現場でした」と振り返った。

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劇中で描かれる「漫画を描くシーン」へのこだわりについて、是枝監督は「原作者の藤本さんにお会いした際、ベテランのアシスタントの方が描くペンの音、迷いのない勢いのある『シャッ』という音がすごくかっこいいという話が出て。音の変化で成長を描くことを最初から考えていました。1つの音が2人になり、音が変わり、1人になり、デジタルの音になり…という音の変化で成長を描くのが狙いでした」と説明した。

これに伴い、キャスト陣もクランクイン前から漫画を描く練習を重ねた。出口は「まずは手が痛い!監督からの要望で(描く)音とかっこいい線を書いてほしいと言われていて、そこに時間がかかりました。ひたすら描いて手にマメができるくらい練習しました」と苦労を明かした。

蒔田も「撮影に入る4ヶ月前くらいから練習していて、他の作品の撮影の合間にも練習に行っていました。課題をたくさんもらって次までにやっていくのが学生時代を思い出して大変でした。1枚描くのに1時間くらいかかって、それを1日8枚くらいやって、徹夜しないと間に合わないくらいでした」と過酷な練習の日々を振り返った。

七瀬は「全身やポーズを描くのが難しくて、バランスを考えながら描くのがすごく大変でした。この作品のおかげで絵を描くのにハマり出しました」と笑顔を見せ、岡田も「背景を描いたことがなかったので毎日毎日描いて、家にスケッチブックが溜まったり大変でしたが、この作品のおかげで絵を描くのが好きになって、今は美術部に入って背景や自然を描いています」と、作品をきっかけに生まれた変化を明かした。

秋田県にかほ市を中心に行われたロケの思い出について、出口は「雪や海、四季すべてを秋田で楽しんだんですが、一番はにかほ市の方たちと友達みたいになれたこと。夏休みや冬休みに親戚の家に帰ったような感覚で、みんなでたくさんご飯を食べたのが思い出です」とニッコリ。蒔田は「みんなでスイカ割りをしたこと。夏休みの思い出みたいで楽しかったです」と振り返り、スイカ割りで勝者となった七瀬が無邪気に喜ぶ場面も見られた。

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さらに、本作が第83回ベネチア国際映画祭コンペティション部門へ正式出品されることについて、是枝監督は「思い出深い映画祭ですし、ワールドプレミアでこのキャストと一緒に参加できるのは感慨深いです」と感慨を述べた。

現地で楽しみにしていることを聞かれた出口は「美味しいご飯が食べたいです。監督に教えてもらおうと思ってます」と期待を寄せると、蒔田、七瀬、岡田も口を揃えて「ご飯!」と回答。本場のピッツァやティラミス、パスタなど、楽しみにしていることを無邪気に語り合い、是枝監督は「リサーチしておきます(笑)」と笑顔を見せた。

イベント終盤には、是枝監督と原作者・藤本とのやり取りも明かされた。実写化にあたり、原作にはなかった京本の下の名前「奏(かなで)」がつけられた経緯について、是枝監督は「実写化する上で原作で省かれている部分をどうプラスするか提案していく中で、奏という名前がでました。京本の描く漫画が音を連れてくるという形で藤野の漫画との違いを強調し、描く音も大事になっていくことを踏まえて『奏でる』という文字になり、お互いに話し合う中で出た名前です」と説明した。

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そして、藤本から寄せられた作品の感想コメントが代読された(※コメントは本記事下に記載)。
これを受け、是枝監督は「本当に嬉しいですね。こだわって描いた部分を褒めていただけてホッとしました」と安堵。出口も「世に出るまでは緊張と不安な日々なので、そう言っていただけただけで少しだけホッとしました」、蒔田も「役者本人の仕草を取り入れて是枝監督っぽくなっているのを一度見て分かっていただけるのがすごく嬉しいです」と、それぞれ胸をなで下ろした。

またイベント内では、本作を彩る豪華クリエイター陣の参加も一挙に発表された。
「シャークキック・ギター(友情演奏)」として米津玄師、劇中曲ボーカルに三浦透子が参加。演出の一部には、実写映像をもとにアニメーションを制作する“ロトスコープ”技法が採用され、ロトスコープアニメーション監督を久野遥子、制作を『化け猫あんずちゃん』のシンエイ動画が担当している。さらに背景美術にはスタジオジブリに所属する西川洋一、劇中の絵画には『となりのトトロ』の男鹿和雄や『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の串田達也など、日本アニメーション界を支えるクリエイターたちが参加していることも明らかになった。

豪華クリエイター陣との制作を振り返り、是枝監督は「坂東(音楽)さんと話している時に『ギター、米ちゃん(米津)に頼みたいんですよね』と言っていたのが実現して。米津さんも(劇中Vocalの)三浦(透子)さんのときも録音に立ち会えたこと自体がとても贅沢な時間でした。アニメーションパートは4人を実写で撮ったものをベースに描かれていくロトスコープの仕上がっていくプロセスを目の当たりにできたのも良い経験でした」と語った。

最後に出口は「キャストやスタッフ、にかほ市の皆さんなど本当にたくさんの方の思いが込められた作品となっています。すごく綺麗な景色と音と、私たちが目で見たすべてが映し出されているので、ぜひそれを皆さんに感じていただけたら嬉しいです」とコメント。

蒔田は「私はこの作品を通して、京本が『藤野ちゃんはなんで絵描いてるの?』と言ったように、『私はなんでお芝居してるんだろう』と考えるきっかけになりました。多分京本と一緒で好きだからなんですが、深く考えずにここまでやってこられたのはひたむきにやってきたからなんだなと気づかせてもらえました。この作品を見た人が自分の好きなことや好きな人に対して何か考えるきっかけになる作品だと思っているので、たくさんの方に観ていただけたらと思います」と作品への思いを伝えた。

是枝監督は「藤野が文房具屋さんで買ってきたスケッチブックに初めてシャーペンを置いて1本の線を恐る恐る描き始める場面があるんですが、なんか涙が出ちゃうんですよ。悲しいわけではないんですが、人が一生懸命になっている眼差しや背中って、それだけで感動できるんだなと改めて気づかされる、そんな映画になったんじゃないかと思います」と作品に込めた思いを語り、イベントを締めくくった。

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藤本タツキ 感想コメント

漫画の実写映画化などで漫画のセリフや演技がそのまま実写になると、リアリティのないものになる事があると思います。
ルックバックの実写映画化ではそこを是枝監督映画特有の俳優が持つ所作やカメラの動きで、原作のテイストを崩さずに原作が持っていた雰囲気をリアリティを持って出す事でできていたのでとても嬉しかったです。
映画内での漫画のアナログ道具の使いっぷりや、ペンを入れる特有の気持ちのいい音、家の経年劣化具合や小道具が魅せる生活感は、そこに藤野と京本が本当に生きている証拠のように見えて映る度に感動していました。
原作は僕の漫画ですが、以上の点からしっかり是枝監督作品になっていたので初めて見る作品の様にとてもとても楽しめました!
ただ、地元にかほ市が出てくる場面ではどうしても当時を思い出してしまい、映画に集中できませんでした!

実写映画『ルックバック』
出演:出口夏希 蒔田彩珠 七瀬ふうり 岡田六花 野呂佳代 池田良 佐々木みゆ 山田真歩 宮藤官九郎 菅田将暉
監督・脚本・編集:是枝裕和
原作:藤本タツキ「ルックバック」(集英社ジャンプコミックス刊)
音楽:坂東祐大
シャークキック・ギター(友情演奏):米津玄師
劇中曲Vocal:三浦透子 
ロトスコープアニメーション監督:久野遥子
企画・プロデューサー:小出大樹
配給:K2 Pictures
(C)藤本タツキ/集英社 (C)2026 K2 Pictures・集英社
https://k2pic.com/film/lb/

9月11日(金)公開

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