【レポート】映画『ベン・イズ・バック』最強ママ北斗晶×総合内科専門医・作家おおたわ史絵、濃密トークイベント開催!

ベン・イズ・バック

アカデミー賞(R)主演女優賞受賞のジュリア・ロバーツ主演、アカデミー賞(R)助演男優賞ノミネートの若手実力派No.1俳優ルーカス・ヘッジズが共演し、第13回ローマ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した『ベン・イズ・バック』が、5月24日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国公開となる。

この度、日本を代表する最強のママ・北斗晶さん、母親のオピオイド依存に数十年悩まされたという経験を持つ総合内科専門医・作家のおおたわ史絵さんが登壇する本作のトークイベントが実施された。

ドラッグ依存症の療養施設から抜け出してきた息子ベンと、彼を全力で守る母親ホリーの愛をサスペンスフルに描いた本作。ホリー役を熱演したジュリア・ロバーツの「キャリアの頂点」とも評される演技に注目が集まっているが、公開を今週末に控え実施されたこのイベントでは、ジュリアと同い年、そして、ともに育児とお仕事を両立されていることなど、共通点も多い北斗さんが実体験を交えながら作品テーマの母子愛について語ったほか、おおたわさんが本作が描く薬物問題や、家族が依存症に陥った際の向き合い方について語るなど、濃密なトークが繰り広げられた。

『ベン・イズ・バック』公開直前トークイベント詳細

日時:5月21日(火)13:50~14:20
登壇者:北斗晶(タレント)、おおたわ史絵(総合内科専門医・作家)
場所
:シネアーツ試写室

あいにくの大雨と強風にも関わらず満席となった本作の試写会にて、上映後に公開記念トークイベントが行われた。ゲストとしてジュリア・ロバーツ演じる母ホリーに優るとも劣らない、日本の理想の強い母親として北斗晶さんが登場。「本日はお足元の悪い中、お越しいただきありがとうございます。本日はよろしくお願いします!」と明るく挨拶した。

今回ゲストとして登壇した理由である、ジュリア・ロバーツが演じる強い母親像ぴったりなことにも「ただ力が強いだけなんですけどね(笑)」と謙虚な姿勢を見せつつも、最初に映画の感想を聞かれた北斗さんは「正直自分だったらこんなお母さんでいられるのかなっていう風に思ったのが本当に素直な感想でした。私には20歳の息子と16歳の息子がいるんですが、どんなお母さんでも自分の息子は大丈夫なんだろうか。そういうことに巻き込まれないだろうかと、日本にいても常に考えなきゃいけないなと思っているんです。そんな時母としてどうするべきかと考えても答えって出ないですよ。お母さんだから気持ちが分かるだろうと言われますが、悲しみとか苦しみはそうなってみなきゃわからないですよね。映画を観て思ったのが、どんな状況でも息子を守りたいと思う母もいる一方で、本当にこういう困難な状況になって命がけで助けることが出来るのか、自分の心が折れてしまうのではないかと考えてしまいます。映画を観終わった後切ない気持ちになりましたし、さらには本当に苦しんで戦っているのは息子本人なんじゃないかなと母親の気持ちになりました。ベンはお母さんに会いたかったのかな?と思った瞬間に涙が出ましたよね。」と熱く語った。

さらにジュリア・ロバーツと北斗さんはプライベートで同じく80年代から活躍し現在母親であることに加え、同い年という多くの共通点が。北斗さんは「ジュリア・ロバーツさんの代表作は『プリティ・ウーマン』だと思うのですが、私が一番凄いなと思ったのが『エリン・ブロコビッチ』。私がちょうど小さな子どもを抱えて、仕事に奮闘しているときだったのでとても共感できました。つい最近では、『ワンダー きみは太陽』という障がいを持たれたお子さんを支える映画を観ましたし、彼女の映画は結構観ているんですよ!」とまさにジュリアと同世代であることを明かした。

また、過去のケガの治療のための鎮痛剤の過剰投与により不運にもドラッグ依存症に陥ってしまう「オピオイド問題」に苦しむ息子・ベンの姿が描かれる本作。その内容にちなみ、劇中のベンと同い年くらいの長男が現在カナダに留学している北斗さんに、カナダではオピオイド問題がとても深刻で、2016年から3年間でこの問題によって亡くなった方が8000人を超え、アメリカでは2017年に28,000人以上がなくなっていることが告げられると、その事実に驚きつつも「海外へ行かせるときに、より安全なところが良いと親としては思うんですけど、どこにでも色々な誘惑があり、日本だって常に安全だって思うのは間違いだって思うんですよ。ただ、親元を離れて寮生活を送る中でどんな誘惑があるかわからないから気をつけなさいよ、という話はしました。それでもやっぱり、実際大丈夫なのかなって心配になったりしますよね。」と不安そうに語った。

ベン・イズ・バック

そこで、息子さんを心配される北斗さんに、この深刻なオピオイド問題について解説するゲストとして総合内科専門医・作家のおおたわ史絵さんが登場。

まず、おおたわさんは「私は実の母親がオピオイド依存症で何十年も戦ったという経験を持っていまして、最終的にそこから脱却させてあげることが出来ないまま(母を)亡くしているんです。ですからこの映画を観た時に、(母子の)関係は逆転しているものの、他人事だとは思えなくて、今日ここで北斗さんと一緒にお話が出来ればと思って来ました」と挨拶。

そして、現在医師としての業務のかたわら、刑務所で薬物依存の受刑者を診察する活動をしているおおたわさんは「依存症と犯罪というのはどこか断ち切れない深いつながりがあるんだと思います。刑務所の中の医療を行うことで、もしかしたら依存症の未来が変わるかなと思っていたので去年からやるようになりました。だから私に診察してほしかったら刑務所に入らなきゃ観てもらえないんですよ(笑)」と軽く冗談を交えつつ、依存症患者への真剣な姿勢を語った。

その話を聞いていた北斗さんも「この映画一番の切ないところは、ベンがそういう悪いことをしようとして依存症になったわけではない、というところなんじゃないかなと思います。私も今まで骨折したり、仕事柄殴ったり殴られたりしましたから、そういう日常的にある鎮痛剤を飲むということをきっかけで薬物に手を染めてしまうことがあるということを本作で初めて知って衝撃だったんです。」と本作を観たときの衝撃を明かす一幕も。

さらにおおたわさんは、オピオイド問題に関して「オピオイドというのは麻薬類似薬品で、麻薬に似たものを英語にするとオピオイドになるんです。手術後で痛いとか、胆石で痛いとか、そういう痛みに対して使うものですが、私の母親も痛みに対して使い始めたことがきっかけなんです。まさに劇中のベンと一緒なんですよね。でも病院でくれる薬って使い良いもののはずなのに、なんで依存症になってしまうのかというと、脳に働いて鎮痛効果を狙うものだからそれだけ脳が依存しやすいんですね。逆に違法薬物よりも精密にできていて、脳にダイレクトに来るから効き目が高いんです。だから違法薬物よりも依存症になりやすくて辞めにくいと医学の世界では有名なんです。我々医者もそれを分かったうえで正しく投与していかなければいけないんです。私は鎮痛剤をあまり出さないから人気がないんです(笑)」と笑いを誘いながら、医師の観点からの詳しい解説で北斗さんも「そのお話を聞いてやっぱり日常的にあるんだなと思いました!」とより深く理解できた様子。

続いて北斗さんが、「この映画を観て思ったのが、誰かが自分のそばにいてくれる、誰かが自分を理解してくれる、誰かが黙って話を聞いてくれるっていうのがそれだけで救われるんだなって思いました。母親って偉大だなと思いつつも、そんな母親でいられるのかなと。ホリーと同じような立場で観ていて、息子が何かを話したときに「でもさ」とか口を挟むのは良くないなって思いました。何も話さなくなっちゃうでしょ?だから、どんな向き合い方をするのが正解なのかなと多分この映画を観た人はみんな考えちゃうと思う。もしかしたら問題にあたって、ギブアップしてしまうお母さんもいるかもしれない。でもその中でも、息子を助けたい、何とかしたいと思うんだろうけど果たして私にそれが出来るのかとかいろいろ考えてしまいますよね」と母親目線のコメント。

一方のおおたわさんは、「私も母親がこんな状況になって正直恨んでいる位でした。でも、実際心臓が止まったのを最初に目撃したのは私だったのですが、あんなに憎んで死んでくれればいいのにとまで何度も思った人なのに、(心臓が止まった母を見て)心臓マッサージをしたんです。やっぱり家族って最終的にはそういうものなんだなって思いました。好きだから嫌いだからとかケンカするとか憎むとかじゃなくて、家族だからこそ憎み合うとかもあると思うんです。やっぱり最後の最後に救おうとしたのは血なのかなって」と自身の経験を振り返り語った。

そして、依存症に陥った息子を捜索するため母ホリーが危険な夜を捜索するハラハラの展開について、「どうしていいかわからない、それこそパニックになると思います。やっぱり私でも行きづらいような場所だったらどうしようって悩むと思います。それこそ警察に頼っちゃうかな。それだけでなく、私だったらどうするんだろうと色んなシーンで考えてしまいますよね」と対応方法に悩む北斗さんに、おおたわさんは「正解がないんですよ。家族の中だけでどうにかしようというのには限界がありますし、それは私も身をもって感じています。だから警察でもいいですし、自助グループに相談するのもいいし、薬物依存患者の家族会っていうのもあります。そういった自分たちの仲間につながるというのが大事で、状況は変わらないかもしれないけどそういったことが次の大きな一歩につながるんです。自分たちのなかで隠そうとするので、そうではなく、風通しが良い方が解放につながるんですね」と鋭いアドバイス。

最後にこれからご覧になる方に向けたメッセ―ジとして、おおたわさんは「本作は他人事ではないと思うんです。どんな家庭もどんな人も色んな人生があって、多かれ少なかれ悩みがあると思うんです。自分に照らし合わせて、ベンの立場で考えるのもいいですし、ホリーの立場で考えるのもいいですし、あとはお父さんの立場、妹の立場など、色んな立場になってみることで、自分だったら何が出来るかなと考えながら観ていただける映画だと思いますし、日本でも薬物犯罪は1.2を争う多い犯罪なので、日本での再犯率を抑えるためにもそういったことを考える一端になればいいなと思います」、北斗さんは「私は、母として同じくらいの息子を持つ立場としてみましたが、こういう犯罪に巻き込まれていくことは誰にでもあることなんだなと改めて思います。そして、こういう時に傍に誰かが居てくれるだけで救われるんじゃないかなって思います。今後映画を観てくださる方には、誰にでもあり得ることですと伝えたいですし、その時あなたならどうしますか?と、これほど答えのない映画は珍しいと思いますし、本作を観て母は偉大だなと思っていただければ」と熱弁し、約30分間の濃密なトークイベントは幕を閉じた。

ストーリー
息子を全力で守ろうとする母の決して諦めない愛と、家族の絆をサスペンスフルに描く衝撃と感動の物語
クリスマス・イヴの朝、19歳のベンは実家に突然戻り家族を驚かせる。薬物依存症の治療施設を抜け出し帰ってきたのだ。久しぶりの再会に母ホリーは喜び、温かく迎え入れた。一方、疑い深い妹アイヴィーと良識ある継父のニールは、過去の経緯から、ベンが何か問題を起こして自分たちの生活を脅かすのではと不安に駆られる。両親はベンに、24時間のホリーの監視を条件に、一日だけ家族と一緒に過ごすことを許した。その夜、一家が教会でのクリスマスの催しから戻ると、家の中が荒らされ、愛犬が消えていた。これはベンの過去の報いに違いない。誰か分からないが昔の仲間の仕業だ。凍てつくような夜、ベンは犬を取り戻しに飛び出す。それを追うホリー。ベンが過去を清算しようとする中で、息子の人生を食い荒らす恐ろしい事実を知るホリーは、ベンを救うことが出来るのは自分だけであることに気づき、全力で守ることを決意する。だがベンはホリーの前から姿を消してしまう・・・。

作品タイトル:『ベン・イズ・バック』
出演:ジュリア・ロバーツ、ルーカス・ヘッジズ、キャスリン・ニュートン、コートニー・B・ヴァンス
監督・製作・脚本:ピーター・ヘッジズ
全米公開:2018年12月7日
原題:Ben Is Back
提供:カルチュア・パブリッシャーズ、東宝東和、テレビ東京
配給:東和ピクチャーズ

公式サイト:benisback.jp
公式Twitter:@Benisback_JP
公式FB:http://www.facebook.com/BenisbackMovie.JP
コピーライト:(c)2018- BBP WEST BIB, LLC

5月24日(金)TOHOシネマズ シャンテほか 全国ロードショー!


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