【レポート】映画『ひかりの歌』初日舞台挨拶で杉田協士監督が涙、撮影時のエピソードや公開初日をむかえた心境を語る

ひかりの歌

杉田協士監督7年ぶりの長編映画『ひかりの歌』が1月12日(土)ユーロスペースにて公開となり、満席立ち見の中初日舞台挨拶が行われ、出演者の北村美岬、伊東茄那、日髙啓介、金子岳憲、松本勝、西田夏奈子、渡辺拓真、杉田協士監督が登壇した。

『ひかりの歌』初日舞台挨拶 概要

場所:ユーロスペース
登壇者(敬称略):北村美岬、伊東茄那、日髙啓介、金子岳憲、松本勝、西田夏奈子、渡辺拓真、杉田協士監督

公開初日を迎えたキャスト陣は、「『ひかりの歌』は(自分が出演する)第1章を撮影後、それ以外の短編を1本ずつていねいに作っていきました。だから4本揃った時からすでに嬉しくて。でも公開を迎えた今は、さらに嬉しいです」(北村)、「3年前に撮影した時は、この日を迎えられるとは思ってもみなかった」(金子)と、初日を迎えたそれぞれの心境を語った。
10代から監督と知り合いだという伊東は「これまで一緒に過ごしてきた中で、監督に話したことがセリフに反映されていたりもした。そうして出来上がっていった今日子が、映画の中で生きていたことが嬉しい」とコメント。
普段は劇団”FUKAIPRODUCE羽衣”に所属し、劇中で西田とのライブシーンで歌唱を披露している日高は「今日、こうして作品がお客様に触れる機会を共有できることが幸せ」と万感の表情。西田は「ライブがあったおかげで、撮影だということを忘れてリラックスできた。お客さんが実際に楽しんでいる顔を見ながらの撮影で楽しかったですね」と撮影の裏話を明かした。
杉田監督とは20年近い付き合いだという金子は、杉田監督の前作『ひとつの歌』にも出演しており、「杉田監督の変わらないところは、時間を使ってゆったり撮影をするところ。お昼も弁当ではなく、必ずどこかの定食屋でゆっくり食べて、そこでミーティングや無駄話をしながら撮影に入っていくんです。それが今回の映画の“空気”として表れていると思う」と分析した。
第4章に出演した松本は、東京国際映画祭や全州国際映画祭に杉田監督と参加したことを述懐。「東京国際映画祭では、海外のバイヤーの方々が熱心に質問をしてくださったのが印象的。全州は、街全体が映画祭を盛り上げようという空気に満ちていました」と松本が明かすと、杉田監督も「みなさん、本当に熱心で。感想を伝えながら泣いてくれる方もいて、とてもありがたい時間でした」と振り返った。

最後に登壇者を代表して、杉田監督が挨拶。撮影から公開までの時間を振り返り、「今まで映画を続けてきて、ひとつ分かったことがあります」と話し始め「撮影の間、カメラの横にいて、心が動くことがあります。でもそこで泣いてしまってはだめで。自分が真っ先にその場面に出会い、心が揺れてしまったら、監督としての判断が弱まってしまうからです。だから『ひかりの歌』を撮影している間は、グッとこらえてきました」とコメント。そして満席の会場を見渡しながら、「挨拶用に考えていた構成が全部ふっ飛んでしまいました…」と声を詰まらせるひと幕も。続けて、監督は「今日でようやく、作品をみなさんにお渡しできることが本当に嬉しいです」と締めくくり、会場からは温かい拍手が送られた。

ユーロスペースにて、初日舞台挨拶&公開記念連日アフタートーク開催決定!

1/13(日)ゲスト:清原惟さん(映画監督)
1/14(月)ゲスト: 歌川たいじさん(小説家・漫画家)
1/15(火)ゲスト:林あまりさん(歌人)、東直子さん(歌人)
1/16(水)ゲスト:樋口泰人さん(boid)
1/17(木)ゲスト:山中瑶子さん(映画監督)
1/18(金)ゲスト:矢田部吉彦さん(東京国際映画祭プログラミング・ディレクター)
1/19(土)ゲスト:高橋久美子さん(作家・作詞家)
1/20(日)ゲスト:文月悠光さん(詩人)
1/21(月)ゲスト:西原孝至さん(映画監督)
1/22(火)ゲスト:佐々木敦さん(批評家)

※連日19:00の回上映後/すべての回に杉田協士監督も登壇致します。

公開劇場

1/26(土)~
【愛知】名古屋シネマテーク(連日19:25の回)
※1/26(土)初日、杉田協士監督による舞台挨拶を予定。

2/1(金)~
【大阪】シネ・リーブル梅田

2/23(土)~
【神奈川】横浜シネマリン

時期未定
【京都】出町座

イントロダクション

詩人・吉増剛造らから激賞されたデビュー作『ひとつの歌』以来となる杉田協士監督の長編最新作『ひかりの歌』。歌人の枡野浩一と映画監督の杉田協士が、映画化を前提に開催した「光」をテーマにした短歌コンテストで、1,200首のなかから選出した4首の短歌を原作に制作した4章からなる長編映画。それぞれ孤独のなかを生きる主人公4人の女性を、ときに静かに、やさしく包む光がある。この世界で生きるための支えになるささやかな光のありかを描き出す。

監督:杉田協士(すぎたきょうし)

1977年、東京生まれ。映画監督。他に写真や小説も手がける。2011年、映画『ひとつの歌』が第24回東京国際映画祭にて上映され、2012年に劇場公開。歌人の枡野浩一氏との共著になる写真短歌集『歌 ロングロングショートソングロング』(雷鳥社)が2012年に出版。小説『河の恋人』、『ひとつの歌』がそれぞれ2014年、2015年の文芸誌「すばる」(集英社)に掲載。演劇との関わりもつよく、『金子の半生』(ハイバイ、2010年)、『浴槽船』(FUKAIPRODUCE羽衣、2012年)、『洪水』(2012年、指輪ホテル)などの映像作品がある。

ストーリー
都内近郊に住む4人の女性、詩織、今日子、雪子、幸子は、それぞれ誰かを思う気持ちを抱えながら、それを伝えられずに日々の生活をつづけている。旅に出てしまう同僚、店が近いアルバイト先の仲間、他界した父親、長い年月行方知れずの夫のことを思いながら、彼女たちは次の一歩を踏みだしていく。

作品タイトル:『ひかりの歌』

公式サイト:https://twitter.com/lyssupport
コピーライト :(c)光の短歌映画プロジェクト

2019年1/12(土)より渋谷・ユーロスペース(連日19:00の回)ほかで全国順次公開決定

↑上に戻る