【レポート】現代社会において、タイトルに込めた想いとは・・・映画『楽園』瀬々敬久監督らが学生を前に制作秘話を語る!

楽園

国内外で多数の映画賞を受賞した『悪人』(10)、『怒り』(16)と映像化が続くベストセラー作家・吉田修一の新たな最高傑作「犯罪小説集」が、『64 -ロクヨン-』(16)を大ヒットさせた瀬々敬久監督により映画化された心えぐられる衝撃のサスペンス大作、映画『楽園』が10月18日(金)に全国公開となる。

そして10月1日(火)、早稲田大学にて「早稲田大学・KADOKAWA共催 映画『楽園』特別試写会」が開催され、本作のメガホンを取った瀬々敬久監督と、磯見俊裕美術監督がティーチインゲストとして登壇した。

早稲田大学・KADOKAWA共催 映画『楽園』特別試写会 概要

日時:10月1日(火)
登壇者(敬称略):瀬々敬久監督、磯見俊裕美術監督
場所:早稲田大学 国際会議場 第二会議室

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瀬々監督と磯見美術監督は犯罪心理学を学ぶ多くの学生を前に挨拶しイベントはスタートした。

まず初めに、本作を制作したきっかけを聞かれた瀬々監督「本屋で『楽園』の原作である吉田修一さんの「犯罪小説集」をたまたま手に取って読み始めたのがきっかけでした。それまで吉田さんのファンで沢山作品は読んできて、いつか吉田さんの原作を映画化したいと思っていました。そうした時にこの「犯罪小説集」は短編集だし誰も手を出さないだろうと考えたんです(笑)。原作が角川さんというのもあって、当時KADOKAWAで『最低。』(2017)という映画を撮っていたので、プロデューサーに話したことがきっかけです。」と経緯を説明。

続けて本作のタイトルを『楽園』に決めた理由については「元々が「犯罪小説集」というタイトルで短編集でもあるので映画のタイトルとなると中々決まらず。『Y字路』や『悪』など100個くらい案がでましたけど、ダークな印象を持つアイデアが多くいまいちピンとこなかったんです。というのも犯罪を犯してしまう人もそれぞれ差別や犠牲の中で生きてきている訳で、ただボタンの掛け違いのように予期せずに犯罪的世界に追い込まれていくんですよ。彼らもより良い生活をしたい、楽園で生きたいという欲望があったはずなのに、どこかで踏み外したことで予期せぬ事態に陥ることもあると思ったんです。人々は楽園を探して生きているのではないか、誰しもが持つであろう希望をタイトルに込めました。」と明かした。

そして実際の事件をモデルにしている映画を撮る理由を聞かれ「私たちが20代のころは犯罪が時代の合わせ鏡のようだったので興味が湧いてきたんです。それは犯罪が起こると、そこには謎があり、どうしてこのような悲惨なことが起こるのだろう、また悲惨なことが起こってしまうのかと考えるとその謎を探りたくなったんです。それで実際に起きた事件をモデルにして映画を作ろうと思いました。」と回答した。

また、学生から本作のストーリーに大きく関わってくるY字路についての質問が挙がると、磯見美術監督「実際にイメージしていたY字路が中々見つからず、どのように作っていくのかがとても面白かったです。ようやく候補を見つけて、映画の中で事件が起きた時とその12年後の事故現場として描くのに樹を植えることでイメージしていたY字路を作り上げました。」とコメントした。

次に大島渚監督の『飼育』(1961)を例に出し、本作のセリフ作りについて問われると、瀬々監督「昔、大島さんが出ているTV番組を拝見して、大島さんが戦後になって急に学校の先生たちが民主主義を唱え始め人がころっと変わった様に怒りを感じたと仰っていたのが印象に残っていたんです。そうして大島さんが戦後の民主主義にこだわっていたように私も日本が高度経済成長期を経験して、90年代にバブルが弾けたにも関わらずに時代がふらっと2000年代に突入したことに違和感がありました。そうしたことも含めて現代がヘイト的な時代になっていることに私としては嫌な感じがあります。その嫌な感じを映画作りに反映しています。」と語った。

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最後に、いよいよ公開が迫った本作品をひと足先に鑑賞した学生たちに瀬々監督がお礼を述べ、イベントは終了した。


第76回ヴェネチア国際映画祭公式イベント“Focus on Japan”正式出品作品
第24回釜山国際映画祭“A Window on Asian Cinema”正式出品作品

ストーリー
あるY字路で起こった少女失踪事件。未解決のまま、家族や周辺住民に深い影を落とし、直前まで一緒にいた少女の親友・紡(杉咲 花)は罪悪感を抱えたまま成長する。12年後、またそこで少女が姿を消し、町営住宅で暮らす青年・中村豪士(綾野 剛)が容疑者として疑われた。互いの不遇に共感しあっていた豪士を犯人とは信じ難い紡だったが、住民の疑念が一気に暴発し、追い詰められた豪士は街へと逃れ、思いもよらぬ自体に発展する。その惨事を目撃していた田中善次郎(佐藤浩市)は、Y字路に続く集落で、亡き妻を想いながら、愛犬・レオと暮らしていた。しかし、養蜂での村おこしの計画がこじれ、村人から拒絶され孤立を深めていく。次第に正気は失われ、想像もつかなかった事件が巻き起こる。Y字路から起こった2つの事件、そして3人の運命の結末は―。

作品タイトル:『楽園』
綾野剛 / 杉咲花
村上虹郎 片岡礼子 黒沢あすか 石橋静河 根岸季衣 柄本明
佐藤浩市
主題歌:上白石萌音「一縷」(ユニバーサルJ)
作詞・作曲・プロデュース:野田洋次郎
原作:吉田修一「犯罪小説集」(KADOKAWA刊)
監督・脚本:瀬々敬久
制作プロダクション:角川大映スタジオ
配給:KADOKAWA

公式サイト:rakuen-movie.jp
公式Twitter:@rakuen_movie
コピーライト:(C)2019「楽園」製作委員会

10.18[FRI]全国ロードショー


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