【レポート】『サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-』“土曜の教会の母”ジェナ・タイン・メイヤー氏のインタビュー到着

画像01
映画批評サイトRotten Tomatoesで満足度93%flesh(2月22日現在)をたたき出し、海外の映画祭で数々の観客賞や優秀賞(映画祭で18の賞にノミネートされ14受賞)に輝いた注目作『サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-』が、現在全国公開中である。この度、本作の舞台となったNYの教会の取材を敢行。“サタデーチャーチ”に2004年から参加し、2005年から10年間、プログラム・ディレクターとして活動したジェナ・タイン・メイヤー氏にインタビューを行った。

本作の主題である“サタデーチャーチ”とは、LGBTの人々のために実在する支援プログラムのこと。毎週土曜の夜だけ教会が開放されて、食事が振る舞われ、悩みごとの相談にも乗ってくれる場が提供されている。さらに、会場を借りて本格的なダンスコンテストを定期的に開催するなど、決して平穏ではない人生を歩む彼らが、生き甲斐を見つけるためのサポートも果たしている。

“サタデーチャーチ”プログラムは、家族や周囲から理解を得られずに居場所が無くなって家出をし、ストリートチルドレンとなり、生き延びる手段として何度も売春をせざるを得なくなり、薬物乱用に苦しむLGBTの若者が後をたたず、ニューヨーク市が宿泊施設を開放するも、粗悪な環境が原因で寄り付かなくなり、ホームレス化が進んでいた中、2001年10月にセント・ルーク・イン・ザ・フィールズ教会が本プログラムに乗り出し、24歳までの若者たちに、食事や衣服の提供、安全なセックスの指導、HIV検査、ダンスやバスケ等のスポーツをする場の提供、その他個々の相談に乗る機会を設けたことが始まりです。番盛んな時期には、本プログラムを約100もの教会が実施しており、今でも約30の教会が続けている。参加しているのは約9割が有色人種であり、白人は少ないのが現状です。それは、いわゆるダブル・マイノリティ(人種的マイノリティと、性的マイノリティの両方)であることが要因で、LGBTの中でも声を持たない存在だ。それもまた本作の大きなテーマのひとつとなっている。

ジェナ・タイン・メイヤー氏 インタビュー


※映像の中の日本語字幕は字数制限があるため、下記より簡易的に意訳しています。

“サタデーチャーチ”は、2001年の10月、米国同時多発テロ後に始まりました。ホームレスのLBGTの若者向けの国内最大の住宅提供施設である、ニューヨークのアリー・フォーニー・センターを経営するプログラム・ディレクターが、セント・ルーク・イン・ザ・フィールズ教会で始めたプログラムです。

“サタデーチャーチ”は、ニューヨークのクリストファー・ストリートの教会を活用する案のひとつでした。(本作のロケ地でもある)そこの近くの埠頭は、昔からLBGTの若者が集まる中心的な場所でした。

最初は小さなプログラムから始め、その時はダンス教室の開催とピザを出したそうです。そして私は2004年から関わり始めて、2005年にプログラム・ディレクターを引き継いでから10年間活動しました。最初の参加者は、毎週10人から12人くらいでしたが、一番多い時期には毎週60人から90人ほどが参加してくれました。その頃からHIV検査や法律相談なども行い、プロのシェフによって調理されたフルコースの食事を毎週提供するようになりました。ボランティアによるアート教室や、ダンス教室が開かれ、ヴォーグダンス用の場所もありました。『サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-』の劇中でも描かれていましたが、まさにあの通りの光景でしたよ。

私は10年間、毎週土曜にこのプログラムで働いてきました。カウンセラーの手配や、“ポップアップ・ショップ”と呼ばれる寄付された衣服のある楽しい“お店”を提供していました。寄付された衣服をもらうという恥辱を取り払い、気兼ねなく持ち帰られるような環境にしたのです。LGBTの若者が様々な体験を楽しめる場所にしました。長期で利用する若者も多く、5~8年間くらい通ってくれた子たちもいました。

サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-

“サタデーチャーチ”に駆け込んでくる多くのLGBTの若者は、悲惨な状況に陥っています。家から追い出され、HIV陽性と診断された子もいました。彼らは助けを求めてやってきます。住まいを見つけ、仕事に就けるまでサポートします。その中でひとり、私が特に強い絆を感じた子がいました。出会った時、彼は学校を中退したばかりでした。そこは、職業訓練校のような授業ばかりで、彼は失望して退学し、学資ローンも支払えなくなりました。彼は真剣に学校に戻りたいと考えていたけれど、アメリカでは一度学資ローンが債務不履行になると、再び(他の学校でも)学資ローンを得ることはできないの。そこで私たちが支援したのです。9ヶ月間、彼を働かせて、債務を払わせて、学校に戻れるようにしました。出会った頃、彼はほぼホームレスの状態で、友人や親戚の家を転々としてソファーで寝ていましたが、今や自身でアパートを借り、銀行の支店長になり、もうすぐ(大学院の)博士号も取れそうです。私たちにとっても励みになりました。酷い状況に苦しんでいた若者が、私たちのサポートにより、良い人生を手に入れたのです。

彼と似た境遇の若者たちも勇気づけられました。仲間の存在は本当に大きいようです。本作でも、それがきちんと表現されていますね。プログラムのスタッフも、彼らに食事を提供したり、カウンセリングしたり、多大なサポートをしていますが、でも最も効果的なことは、同じ境遇のLGBTの若者間で起きます。彼らがお互いを支え、助け合い、変わっていく力を、デイモン監督は本作で完璧にしっかりと描いてくれました。

ニューヨーク〈土曜日の夜の教会〉には運命を変える〈何か〉がある
青年の心の声が、家族や仲間を突き動かしてゆく―

ストーリー
ニューヨークのブロンクスに暮らす青年・ユリシーズは父親の死をきっかけに「美しくなりたい」という思いを抑えられずにいた。ある夜、ストリートで出会ったトランスジェンダーのグループに「土曜の夜の教会(サタデーナイト・チャーチ)」へと誘われる。そこは静かで厳格な昼間の教会とは異なり、ダンスや音楽を楽しみながら、同じ境遇の仲間と語らう場として開放されていた。
学校でも家庭でも孤立していたユリシーズは、その自由な雰囲気に夢中になりながら、少しずつ自分を解放してゆく。
ところが、家族にハイヒールを見つけられ、自分の存在そのものを否定されてしまう。家を追い出され街を彷徨うユリシーズに、人生を変える数々の出来事が待ち受けていた―。

作品タイトル:『サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-』
出演:ルカ・カイン/マーゴット・ビンガム/レジーナ・テイラー/MJ・ロドリゲス/インドゥヤ・ムーア
監督・脚本:デイモン・カルダシス
2017年/アメリカ/カラー/スコープ/82分/5.1ch/英語/日本語字幕:川又勝利
原題:Saturday Church/レーティング:PG12
配給:キノフィルムズ

公式サイト:http://saturday-church.com
コピーライト:(C)2016 Saturday Church Holding LLC ALL rights reserved.

新宿ピカデリー他全国公開中!

↑上に戻る