【レポート】映画『世界一と言われた映画館』初日舞台挨拶で佐藤広一監督が大杉漣との思い出を語る―1/5(土)より順次公開

世界一と言われた映画館名優・大杉漣がナレーションを務めたドキュメンタリー『世界一と言われた映画館』は1月5日(土)に有楽町スバル座で公開初日を迎え、初日舞台挨拶に佐藤広一監督、語り手として出演している佐藤良広さん、本作の関連書籍の著者の岡田芳郎さんらが登壇し、今は無き「伝説の映画館」を描いた本作・そして亡き大杉漣さんとの思い出を語った。

上映前には、チケット発売開始前から長蛇の列が並び、賑やかな初日を迎えた本作。上映後の舞台挨拶では、佐藤広一監督、本作に語り手の一人として登場した佐藤良広、「世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田につくった男はなぜ忘れ去られたのか」の著者・岡田芳郎が登壇し、大きな拍手と歓声を受けた。
佐藤監督は深々と頭を下げ、「大杉漣さんもこの日を喜んでくださっていると思います」と笑顔で語った。「大杉漣さんとは自分が20代の頃に短編映画にスタッフで参加し、主演を務められていた大杉さんとお知り合いになる機会があった。この映画のナレーションには、大杉さんしかいないと思いました。お願いしたところ即答でご快諾いただき、大杉さんのナレーションで血が通った作品になりました」と大杉漣さんとの思い出を鮮明に語った。
山形で映画サークルの活動をしている佐藤良広さんは「映画を観なくても生きていける。でも映画が生活の中にあると人生が豊かになります。この映画もそんな作品になっていると思います」と本作を絶賛。岡田芳郎さんは自らの著作と本作について語り、「このような映画ができたことがとても嬉しい。次は佐藤監督にグリーン・ハウスの元支配人を主人公にした劇映画を撮ってほしいですね」と次回作を提案。佐藤監督は「がんばります」と笑顔を見せ、笑いと拍手を浴びた。

40年の時を経て語られる、伝説の劇場酒田グリーン・ハウスの証言集

上映ベルの代わりにジャズの名曲「ムーンライト・セレナーデ」が流れると、暗がりの中で大好きな映画が始まる。「西の堺、東の酒田」と称された商人の町・山形県酒田市に、映画評論家・淀川長治氏が「世界一の映画館」と評した伝説の映画館、グリーン・ハウスがあった。回転扉から劇場に入ると、コクテール堂のコーヒーが薫り、バーテンダーの居る喫茶スペースが迎える。少人数でのシネサロン、ホテルのような雰囲気のロビー、ビロード張りの椅子等、その当時東京の映画館でも存在しなかった設備やシステムを取り入れ、多くの人々を魅了したそこは、20歳の若さで支配人となった佐藤久一が作り上げた夢の映画館。だが、多くの家屋や人々に被害をもたらした1976年の大火災・酒田大火の火元となり、グリーン・ハウスは焼失してしまう。それから40年余りの時を越えた今、「ムーンライト・セレナーデ」が流れるあの場所へかつて集った人々が、煌めいた思い出をもとに言葉を紡いでいく。
今年2月に急逝した名優・大杉漣氏のナレーションにのせて贈る、忘れ難い場所を心に持つ人々の証言集。

佐藤広一監督 プロフィール

1977年生まれ、山形県出身。1998年、第20回東京ビデオフェスティバル(日本ビクター主催)にて、短編映画「たなご日和」でゴールド賞を受賞。監督作に、「隠し砦の鉄平君」(株式会社BBMC)、DVDドラマ「まちのひかり」(特定非営利活動法人 エール・フォーユー)がある。ドキュメンタリー映画「無音の叫び声」(16/原村政樹監督)、「おだやかな革命」(17/渡辺智史監督)、「YUKIGUNI」(18/渡辺智史監督)では撮影を担当。

作品タイトル:『世界一と言われた映画館』
語り:大杉漣
監督・構成・撮影:佐藤広一
プロデューサー:髙橋卓也
証言協力:井山計一 土井寿信 佐藤良広 加藤永子 太田敬治 近藤千恵子 山崎英子 白崎映美 仲川秀樹
企画・製作:認定NPO 法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
映像提供:山形放送
協力:山形大学社会科学部付属映像研究所
音声技術:折橋久登
整音:半田和巳
製作助手:稲田瑛乃
宣伝美術:菅原睦子 玉津俊彦
協力プロダクション:ZACCO
製作協力:大久保義彦 成田雄太 オフィス佐藤
(2017年/日本/67分/カラー(一部モノクロ)/DCP・Blu-ray/16:9)
配給協力:MAP
配給:アルゴ・ピクチャーズ

公式サイト:http://sekaiichi-eigakan.com/
コピーライト:(c)認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭

2019年1月5日より有楽町スバル座他ほか全国順次公開

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