【レポート】『真実』公開記念舞台挨拶に宮本信子・宮﨑あおい・佐々木みゆ・是枝監督登壇!吹替版の魅力を語る ―公開中

真実

昨年、『万引き家族』がカンヌ国際映画祭で最高賞“パルムドール”を受賞した是枝裕和監督の、長編14作目となる最新作にして初の国際共同製作映画『真実』が、10月11日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開となった。

是枝監督の元に、世界トップレベルの俳優陣が集結した本作は、全編フランスにて撮影。『シェルブールの雨傘』(63)のカトリーヌ・ドヌーヴをはじめ、『ポンヌフの恋人』(91)のジュリエット・ビノシュ、アカデミー賞助演男優賞にもノミネートされた『6才のボクが、大人になるまで。』(14)のイーサン・ホークらにより、母と娘の間に隠された、ある「真実」を巡る物語が展開する。
本年度のヴェネチア国際映画祭では日本人監督初のコンペティション部門オープニング作品として上映され、その後も世界中から絶賛の声が続々と届いている。また、先日行われたジャパンプレミアにはカトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュが揃って登場、熱狂的な歓迎を受けた。

そして、ますます盛り上がりを見せる本作がいよいよ公開を迎え、10月14日(月)に公開記念舞台挨拶が行われた。当日は、日本語吹替版で声優を務めた宮本信子(カトリーヌ・ドヌーヴ/ファビエンヌ役)、宮﨑あおい(ジュリエット・ビノシュ/リュミール役)、ドヌーヴの孫娘を演じた佐々木みゆ(クレモンティーヌ・グルニエ/シャルロット役)、是枝裕和監督が登壇。吹替版の魅力をそれぞれ思い思いに語り、映画のタイトルにちなみんで“真実”をめぐるトークが繰り広げられた。

『真実』公開記念舞台挨拶 概要

日時:10月14日(月・祝)
場所:TOHOシネマズ 日比谷
登壇者(※敬称略):宮本信子、宮﨑あおい、佐々木みゆ、是枝裕和監督

イベントレポート
「カトリーヌ・ドヌーヴです(笑) 初めて吹替えのお仕事をさせていただきました。足元の悪い中、沢山の方がお越しくださいまして、ありがとうございます」(宮本)、「本日はお越しいただき、ありがとうございます。このような形で作品に参加させていただいて、舞台挨拶をするのは初めての経験なので新鮮な気持ちです」(宮﨑)、「佐々木みゆです!監督に初めて吹替版のお仕事をさせてもらったんですけど、すごく緊張して、でも監督がいるから落ち着きました!」(佐々木)、「みなさんこんばんは。台風で予定が変更になって、どうなることかと思いましたけど、映画は公開を迎えることができてホッとしています」(是枝)とそれぞれ挨拶をすると、会場は大きな拍手に包まれた。

真実

宮本「初めてお話をいただいたときはびっくりしまして、頭をぐるぐると考えて4時間くらい悩みました。吹替えの仕事はすることがないと思っていましたが、監督とはご縁がございまして、思い切って仕事を受けてみようと思いました。」と、初めての洋画吹き替え、そして是枝監督作品に参加した想いを吐露。宮﨑は当日まで心がけたことを問われると、「吹替えは初めてすぎて何が正解かも分からないスタートだったので、とにかく頂いた作品をお家で観て、ビノシュさんがどういう表情でセリフを言っているのかを頭に焼き付けました。当日は台本をきちんと読むと、ビノシュさんの口の動きと私の声がぴったりと合って、収録も楽しかったです。勝手にビノシュさんと同じ気持ちを共有できているような感覚でした」と明かした。佐々木「魔女の声を真似するときに、ハハハッって笑うところが難しかったです!楽しかったところは、皆でパーティをするシーンを吹き替えるのが楽しかったです!」と元気よく答えた。

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監督「もし吹替版を作るなら、というお話になったときに名前を挙げたのがこの二人だったので、その通りのキャストが実現しました。宮本さんは背筋の伸びた凛とした声が役とぴったりですし、あおいちゃんは何度か声のお仕事もさせていただいているんですけど、セリフになっていない部分のニュアンスもすごくふくよかに表現できる方だと思っていたので、ビノシュさんとは少し年齢差があるんですけど迷わず選びました。みゆちゃんはすごく吹替えをやってみたかったそうで、その気持ちが伝わったのでお願いしてみました」と、オファーのきっかけを明かした。そして実際に完成版を観ると、「普段は字幕で観るタイプなんですが、今回は最初に日本語で書いた脚本が、フランス語に直して撮影をしてから、また日本語字幕になっているので、脚本よりもだいぶ情報量が減っているんです。こればっかりはしょうがないな、と思っていたんですけど、吹替えになると字幕で削らざるを得なかったニュアンスを戻せたんですね。オリジナルの脚本に近いものが少し取り戻せたなと、自分で観ていても面白かったです」と、吹替え版にも手ごたえを感じている様子。

監督の印象について宮本「人の意見をよく聞かれる監督で、優しいです。映画監督なのでもちろん厳しい一面も持っているんでしょうけど、ムーミンみたいにふわっとした印象です。」、宮﨑「宮本さんが仰る通り、すごく優しい方で、話していると全て見透かされているような気持ちになります。」と意外な共通点を明かします。佐々木「万引き家族からすごく優しいです!」と答えた。

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「先日来日されたドヌーヴさんが、撮影の雰囲気が素晴らしかったと仰っていましたけど、どんな感じでしたか?」宮本が監督に尋ねると、「撮影はすごく楽しいんです。彼女が現場に入ってから、帰られるまで、最初は皆とても緊張するんですけど、最後はみんなドヌーヴさんのファンになっていました。ドヌーヴさんは一日一回必ず良いテイクを出されるんです。ほとんどセリフを覚えてこないんですけど、相手との関係やリズムでセリフを頭に入れていきます。最初は僕の書いたものとは全然違うセリフを喋っていますし、相手役の人もなんとか合わせるんですけど、いきなり100点の演技がくるタイプなんです。その100点を目の当たりできたのは貴重な経験でしたね」と、フランスの現場を振り返った。

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そして映画タイトルでもある“真実”にちなんで、最近知って驚いた“真実”について尋ねられると、佐々木は、「ドヌーヴさんって、見た目は怖そうだったんですけど、この間の舞台挨拶ですごく優しい人なんだな、と真実が分かりました!」と、ドヌーヴの真実を明かした。逆に監督が司会者に最近知った“真実”について尋ねると、「先日、是枝監督にインタビューをさせていただき、初めは世界で注目されている方なので怖い方なのかなあと思っていたんですが、『ごめんね、三谷幸喜さんみたいに面白いこと言えなくて(笑)』と、とっても気さくで、とっても温かい方なんだなって思ったのが、真実です!」と明かし、監督「三谷さんはずるいよね~監督が皆あんなに面白いことを言えると思われちゃうと、困っちゃうよ(笑)」と会場の笑いを誘った。

本作は母娘の確執も描かれますが、佐々木もお母さんとよくケンカをしてしまうようで、「何回もケンカします。パパに謝りなさいって言われるので、仲直りをします。でも最近はパパに解決してもらわなくても、2人で仲直りします!」と微笑ましいエピソードも。監督の作品ではよく描かれる親子の関係というのも日本とフランスでは異なっており、「これまでの作品だとあまり衝突させずに、『…』となったり、どちらかが先に寝てしまう、として終わらせることが多いんですが、日頃フランスの方と仕事をしていると、そんなにぶつかり合って明日の撮影大丈夫かな?と思ったときも、翌日になるとケロっとしているんです。なので、いつもより多めにぶつけてみようと思って、セリフを少し強めに書きました」と、これまでの作品とは一味違った演出も込められている。本作の中で気に入っている、好きなシーンを問われると、「この映画はイーサン・ホークさんが出演されてまして、本当にお芝居も佇まいも役にぴったりで、素晴らしいなと思いました。ファビエンヌがハンクと絡む楽しいシーンがあるんですけど、そこを注目いただけると嬉しいです」宮本)、「ビノシュさんは娘でもあり、母でもあり、色々な顔をもっているんですが、素敵に表現されていて、一人の女性の色々な役割や顔を観ることができるのも、面白いポイントだと思います」宮﨑)、「好きなシーンは、トトっていう犬がいて、勝手に歌を作るシーンがお気に入りです!」佐々木)、「全部気に入っているシーンしか残してないんですけど、想像していなかったけどいいカットというものが一つあります。ファビエンヌが中華料理屋さんに来ているシーンなんですが、そのお店にいるワンカットだけ映るおばあちゃんが凄く良いので、是非注目していただけたらと思います」(監督)と、皆思い思いにお気に入りのシーンを挙げた。

最後にこれからご覧になる観客へ向けて「吹替版も字幕版も、どっちも観てみたら楽しいと思うので、是非観てください!」佐々木)、「普段字幕で観る方も多いと思うんですけど、吹替だからこそ役者さんの表情をすごくよく観れたり、感情がもっとダイレクトに伝わる部分も多いと感じましたので、ぜひどちらも楽しんで観て頂けたら嬉しいです。」宮﨑)、「この映画は母と娘の映画で、日本とフランスではこんなに文化が違うんだなと、色々なことを感じられるこの映画の凄さを、楽しんで観て頂けたら素敵だなと思います。劇場に沢山の人が足を運んでくださるよう、お願い申し上げます」宮本)、「ご覧になる前の方に読後感の話をするのはよくないと思うんですけど、自分が思っている以上に僕の映画は観終わると重く、よどむ感じがあるらしいんですが、今回の映画は予想外に明るかったと言われる方がとても多かったです。普段から暗い映画を作っているつもりはないんですけど、この映画は観終わった後に、いつもより遠回りをして帰りたくなるような、そういう気持ちになれる映画を作ってみたいと思って作り始めた映画だったので、そんな気持ちに辿り着けていれば嬉しいです。お楽しみください」是枝)とメッセージを送り、まさに家族のような三世代が集った温かなイベントは幕を閉じた。

真実

全ての始まりは、国民的大女優が出した【真実】という名の自伝本。
出版祝いに集まった家族たちは、綴られなかった母と娘の<真実>をやがて知ることになる――。

ストーリー
国民的大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が自伝本【真実】を出版。アメリカで脚本家として活躍する娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)、テレビ俳優の娘婿ハンク(イーサン・ホーク)、ふたりの娘のシャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、そして長年の秘書……お祝いと称して、集まった家族の気がかりはただ1つ。「一体彼女はなにを綴ったのか?」そしてこの自伝は、次第に母と娘の間に隠された、愛憎渦巻く「真実」をも露わにしていき――。

作品タイトル:『真実』
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ『シェルブールの雨傘』/ジュリエット・ビノシュ『ポンヌフの恋人』/イーサン・ホーク『6才のボクが、大人になるまで。』/リュディヴィーヌ・サニエ『8人の女たち』 撮影:エリック・ゴーティエ『クリスマス・ストーリー』『夏時間の庭』『モーターサイクル・ダイアリーズ』
吹替版キャスト:宮本信子、宮﨑あおい、佐々木みゆ ほか
監督・脚本・編集:是枝裕和
吹替版演出:鍛治谷功
字幕、吹替翻訳:丸山垂穂
配給:ギャガ

公式サイト:gaga.ne.jp/shinjitsu/
コピーライト:(C)2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMA

全国公開中


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