第39回インディペンデント・スピリット賞でジョン・カサヴェテス賞を受賞した、米インディペンデント映画『フォーチュンクッキー』(6月27日公開)より、本編冒頭映像が解禁。さらに、本作を映画をいち早く鑑賞した各界の著名人からコメントが到着した。

フォーチュンクッキーをきっかけに、孤独な女性が新たな一歩を踏み出す姿をオフビートなユーモアを交えて描き、ジム・ジャームッシュやアキ・カウリスマキの作品を彷彿させると話題を呼んだ本作。映画批評サイトRotten Tomatoesでは、批評家たちから98%という高い支持を獲得した。
今回解禁された冒頭映像は、クッキーの製造過程が切り取られたもの。撮影されたのは、カリフォルニア州オークランドのチャイナタウンに実在する、1957年創業の歴史ある“Oakland Fortune Factory”。工場の従業員たちは、専用の機械を使ってクッキーを焼き上げ、手際よく「今こそ未知の世界へ」と書かれたメッセージをクッキーの中に折りたたんでいく。その一連の作業を、アメリカに来て間もない主人公ドニヤは、静かに見つめている。果たして、孤独な日々を過ごすドニヤにフォーチュンクッキーがもたらす幸運とは。
さらに、すでにコメントを発表していた竹田ダニエルに続き、Aマッソのグルメ担当・むらきゃみや、10年間のアメリカ滞在の日々をまとめた「SAN FRANCISCO DREAM」などで知られる写真家・高橋ヨーコ、日本の移民文化、移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長・ライターの望月優大らのコメントが到着。また、イラストレーター・漫画家のoyumiからは、コメントとともに、重要なカギとなる“鹿”を抱えるドニヤの後ろ姿を切り取ったイラストも到着している。
コメント一覧(順不同・敬称略)
フォーチュンクッキーに書かれた「運命の言葉」を、あなたはデタラメだと思うかもしれない。でもその紙切れに書かれた一文が、運命を動かすきっかけになるかもしれない。ここではない、もう少しマシなどこかへ、連れて行ってくれるかもしれない。出会いと希望さえ、信じていれば。
竹田ダニエル(ライター・研究者)
食品製造工場好き必見!!フォーチュンクッキー工場のライン作業が見れる!!
もちろん、うちは釘付け!!そこで働くドニヤもライン作業のような毎日を送っていたが
自分を解き放ち、毎日が小さく変化し、穏やかに眠れる日が訪れそうな。
誰だって幸せになっていいんやから!ビビらず解き放てフォーチュンクッキーに。
むらきゃみ(Aマッソ)
モノクロの映像が彼女の強さと怯えある眼差しをひきたたせる。彼が“I really wanted one”と言った時、なぜか映像がカラーになってみえた。
高橋ヨーコ(写真家)
言葉は、時に鋭いが、祈りも希望も込められる魔法のようなもの。真実として受け取っても良いし、受け取らなくても良い。でも自分自身を本当に幸せにするのは言葉よりも行動で、その先にある思いがけない偶然なのかもしれない。
YUUKI(マルチクリエイター)
目指す場所だけに幸福はあるのだろうか。「幸せになりたい」と沖へ漕ぎだすこと自体、それはすでに幸福なのかもしれない。人生を噛みしめてこぼれた欠片が、波間に浮かんで輝いている。幸せとは、きっとこれのことである。
伊藤亜和(文筆家)
今日を生き延びるために、睡眠薬やカウンセリングを必要とする彼女の内側は、「運」が文字通り生死を分けてきた外側の現実に、確実につながっている。それでも光を放ち続ける希望の明るさに、胸を打たれた。
望月優大(ライター)
慣れた手つきで仕事をこなし、なんとなく腹を満たすための食事をとる。
誰しもが孤独で、ドニヤもその1人だ(そして私も)。
フォーチュンクッキーは今日もぼんやりと甘く、率先して、少しだけ先の未来を夢見ている。
haru.(クリエイティブディレクター)
素直がいちばん滋味深い。
アパートの片隅で「ダイヤモンド・デイ」を歌うまっすぐな声に心が震え、
澄み渡る裸の顔にものすごく魅了されました。
三浦哲哉(映画研究/評論)
ドニヤが肌の色や国籍、言語など、人間が作り上げたさまざまな「色」を取り払って、初めて目にできた光景と新たな出会い。心に爽やかな風と美しい余韻を残してくれる映画だ。
長倉洋海(写真家)
主人公の殻を破るきっかけが、国境を越えて異国に根付いた日本発の小さな占い煎餅であることを喜びたい。幸せのヒントはほんの小さなひとかけらであり、それを見逃さない行動が大切なのだろう。
中町泰子(神奈川大学国際日本学部講師)
何も言わずに相手の顔をじっと見たり、口だけ動かしてニヤリとしたり、かと思えば、わりとはっきりものを言うドニヤは、かっこいいのにどこか応援したくなるキュートさがあって、彼女が笑うとめちゃくちゃうれしくなってる自分がいました。もし友達だったらすごく信用できる人だと思います。
それから、出てくる人たちの話す短いことばが全部フォーチュンクッキーに入れてもいいような格言に聞こえてきて、いちいちじわじわきます。誰もお世辞を言ったり愛想笑いをしたりしないからでしょうか?ミランダ・ジュライの本を読んだときともちょっと似ているような、不思議としあわせな気持ちになる映画でした。
福永紋那(OH! MY BOOKS 店主)
変わり映えのない日常の中にこそ、キラリと光るかけがえのない瞬間がある。
目まぐるしい日々の中で見落としがちなスウィートなその刹那を、孤独と葛藤の中でユーモラスに描いた大傑作!
DJサモハンキンポー(DJ、CHA CHA CHA BOOKS店主)
何かを得るには何かを失う覚悟が必要。そうは言っても失うのはこわい。失うくらいなら退屈な人生で構わないと思う。けれども眠れない夜はやって来る。咳をしてもひとり。寂しくないなんてウソ。どうしようもないくらい愛したい。

oyumi(イラストレーター・漫画家)
ストーリー
カリフォルニア州フリーモントにあるフォーチュンクッキー工場で働くドニヤは、アパートと工場を往復する単調な生活を送っている。母国アフガニスタンの米軍基地で通訳として働いていた彼女は、基地での経験から、慢性的な不眠症に悩まされている。ある日、クッキーのメッセージを書く仕事を任されたドニヤは、新たな出会いを求めて、その中の一つに自分の電話番号を書いたものをこっそり紛れ込ませる。すると間もなく1人の男性から、会いたいとメッセージが届き…。
『フォーチュンクッキー』
出演:アナイタ・ワリ・ザダ、グレッグ・ターキントン、ジェレミー・アレン・ホワイト
監督:ババク・ジャラリ
脚本:カロリーナ・カヴァリ、ババク・ジャラリ
2023年/アメリカ/英語、ダリー語、広東語/91分/モノクロ/1.37:1/5.1ch
原題:FREMONT
字幕:大西公子
配給:ミモザフィルムズ
(C) 2023 Fremont The Movie LLC
https://mimosafilms.com/fortunecookie/
2025年6月27日(金)よりシネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、ホワイトシネクイント、アップリンク吉祥寺ほか全国公開