『リコリス・ピザ』を彩るデヴィッド・ボウイの楽曲の秘密を高橋芳朗&岡村詩野が考察!「あらゆる作品でフィットする」

リコリス・ピザ

ポール・トーマス・アンダーソン監督最新作『リコリス・ピザ』(7月1日(金)公開)で効果的な役割を果たしたデヴィッド・ボウイの楽曲について、音楽ジャーナリストの高橋芳朗と、音楽評論家の岡村詩野が解説。デヴィッド・ボウイの楽曲がどんな映画に使用されているのか、そして楽曲が持つ魅力について語った。

70年代のカルチャーがぎっしりと詰め込まれ、その再現度の高さと同時に誰もが懐かしく幸せな気持ちに浸れる雰囲気を持つ本作。予告編では、恋の痛みと嬉しさに溢れる主人公たちの姿と共にデヴィッド・ボウイの「火星の生活」が流れ、“あの頃の気持ち”と“映画の楽しさ”を思い出し、エモーショナルな映像を形作るきっかけとして大きな効果を生んでいる――

「2016年に亡くなったことをきっかけに、改めてボウイ作品をクローズアップしようという気運が高まっているのかもしれません」と高橋。「とはいえ、ボウイの楽曲はここ10年ぐらいずっと映画で使われ続けている印象があります。70年代初期の『ジギー・スターダスト』から後期のベルリン三部作、80年代の『レッツ・ダンス』まで、幅広い時代から選曲されているのが特徴ですね」と、近年だけではなく、デヴィッド・ボウイの楽曲が昔から多くの映画で使われていると指摘する。

楽曲が使用された映画について、「『バズ・ライトイヤー』や『オデッセイ』での「スターマン」、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』での「月世界の白昼夢」、『クロニクル』での「ジギー・スターダスト」など、SF映画で名盤『ジギー・スターダスト』の収録曲を使うケースが目立っていますが、『トップガン マーヴェリック』での「レッツ・ダンス」のように80年代のアイコンとして使われる機会も増えている印象です。ほかにも『ウォールフラワー』での「ヒーローズ」や『コーダ あいのうた』での「スターマン」、『ロングショット 僕と彼女のありえない恋』の予告での「モダン・ラブ」や『いつかはマイ・ベイビー』での「ヤング・アメリカンズ」など、青春映画からラブコメディまで本当に多岐にわたっています」と、次々とピックアップ。

音楽評論家の岡村はその魅力について「どんな作品でも、どんな場面でも、あらゆる作品でボウイの曲はフィットするということなのかもしれない」と語る。「ボウイの歌声ってどんな映画のどんなシーンでも決してセリフの邪魔にならない。ボウイ自身の作品ではもちろんあの色気ある声が圧倒的な魅力の一つになりますが、意外に背景に溶け込むこともできてしまう」と、映画との相性の良さが、多くの映画で使用される秘密だと分析。

「明確に関係あると言い切れませんが、ザ・ルーツ(アメリカのヒップホップグループ)のクエストラブが監督した『サマー・オブ・ソウル』が高く評価されたり、デヴィッド・バーン(元トーキング・ヘッズ)の『アメリカン・ユートピア』がロングラン上映しています。また、ボウイ自身のドキュメント映画『ムーンエイジ・ドリーム』はボウイの遺産管理団体の許可を初めて得た映画として話題になり、まもなく日本でも公開されます。近年、音楽ドキュメンタリーは急速に増えて、音楽の歴史が脚光を浴びている中で、デヴィッド・ボウイのドキュメンタリーが公開され、彼と言う人物と楽曲の多層性が見直されるきっかけなのかもしれません。その流れに映画内で彼の楽曲が多く使用される傾向が生まれているのかもしれませんね」と映画と音楽シーンの関連性を考察した。

イントロダクション
舞台は1970年代のロサンゼルス、サンフェルナンド・バレー。実在の人物や出来事を背景にアラナ(アラナ・ハイム)とゲイリー(クーパー・ホフマン)が偶然に出会ったことから、歩み寄りすれ違っていく恋模様を描き出す。共演にショーン・ペン、トム・ウェイツ、ブラッドリー・クーパー、ベニー・サフディと各界のレジェンドが集結しているのも見逃せない。

作品タイトル:『リコリス・ピザ
出演:アラナ・ハイム、クーパー・ホフマン、ショーン・ペン、トム・ウェイツ、ブラッドリー・クーパー、ベニー・サフディ
監督・脚本・撮影:ポール・トーマス・アンダーソン
配給:ビターズ・エンド、パルコ ユニバーサル映画

公式サイト:licorice-pizza.jp
公式Twitter:@licoricepizzajp
公式Instagram:@licorice_pizza_jp
コピーライト:(c) 2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.

7月1日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

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