【レポート】『BLUE/ブルー』トークイベントに東出昌大&吉田恵輔監督登壇!東出「味わい深く素晴らしい、大好きな作品」

BLUE/ブルー

映画『BLUE/ブルー』(4月9日()公開)のトークイベントが3月30日(火)、代官山蔦屋書店にて行われ、東出昌大吉田恵輔監督(※)が登壇した。
※「吉」は「つちよし」が正式表記

『BLUE/ブルー』トークイベント 概要

日時:3月30日(火)19:00~20:00
会場:代官山蔦屋書店3号館 2階 Session
登壇者(敬称略):東出昌大、吉田恵輔監督

本作では一般客を前にしてのイベントが初めてとなり、東出は「皆さんの前で吉田監督と1時間も話せるのがすごく楽しみです。監督のオリジナル脚本だからこそ描けるリアリティがあって、静かだけれども骨太で味わい深い映画だと確信しています。そして、そういう作品だからこそ語りたいものも多いので、今日はじっくり話せたらと思います」と挨拶。

最初に出演経緯を聞かれ、東出が「オファーを頂いて、もちろん脚本が素晴らしかったというのもありますし、吉田監督と松山さんとご一緒できるならぜひ引き受けたいと思いました」と答えると、監督が「実はオファーして、まだ出演が正式に決定していない段階で偶然、釜山映画祭で東出さんに会ったんです。ホテルのチェックインでたまたま東出さんが前にいたんですよね。それが初めましてだったので、突然声を掛けて怪しまれないかと心配で、“東出さんですよね…?”とおそるおそる話し掛けました(笑)。その後エレベーターで一緒になったんだけど、“僕って階級は何になるんですかね?”と聞いてくれて、まだ返事はもらっていなかったけど、やる気はあるのかなと思い嬉しかったです」と、初対面でのエピソードを披露した。

また、身体づくりやボクサーとしての精神面など、どのように小川という役と向き合っていったか問われた東出は、「ボクシングの技術面での練習や身体づくりをすることによって、徐々にボクサーというものが分かっていったような気がします。ボクサーの精神性というのは身体と同時に培っていくものなんだと思います。実際に僕もトレーニングを続けることで、小川への印象が変わっていきました。トレーニングを始める前は、この作品では挫折や努力しても報われない結果というものが描かれているので、小川という役についても複雑さや虚しさがあるのかなって予測していたんです。お客さんが鑑賞後に暗い気持ちになったりしないだろうか、とも少し思っていました。でも、ジムに通ってトレーニングを続けているうちに、彼のラストが決してバッドエンドではないと思えたし、小川って本当に良い役なんだなと、台本を読んでいるだけでは感じられなかったキャラクターの広がりが自分の中にありました」と振り返った。

そして、初の吉田組について「撮影現場で印象に残っていることがあるんですが、僕が演技をした後に“あ、なんか違うかな”と引っかかりを感じた瞬間があったんです。そしたら、僕の表情を見る前に監督から“もう一回”と声がかかったんですね。そういう俳優の些細な心の動き、目に見えない機微みたいなものをすぐに読み取る方なんだなと。あと、監督って現場になぜかぬいぐるみを置いていて、いつもそのぬいぐるみを撫でているんですよ(笑)。あれは精神安定の役割を果たしていたんでしょうか…?」と、ずっと気になっていたことを告白。

吉田監督は「どの現場でも置いていて、なんかぬいぐるみを持ってたら大きな声で怒鳴りづらいじゃない?わーっと声をあげそうになっても、“あ、ぬいぐるみ持ってるんだから冷静な言い方にしなきゃ”と思いとどまれるんだよね(笑)。あと、ぬいぐるみを持ってるだけでヤバそうな感じが出るから、これで若手の役者とかをびびらせてやろうかなって(笑)」と予想外の回答で会場を沸かせた。

吉田監督自身がボクシングを30年以上続けてきたからこそ描けたリアリティについて、東出は「小川はパンチドランカーの症状が出てくるので、役の参考にするために、症状にまつわる実際にあった話などをいろんな方々に聞いたんですが、まさに脚本に書いてある通りの話でした。それで、改めてこれは監督が本当に30年ボクシングを続ける中で見てきたものなんだなと感じました」と語った。

吉田監督は「ボクシングっていうとカッコよくて華やかで、爽やかな青春映画にしたくなるかもしれないんだけど、現実は危険もあるし、リスクを背負って戦っているんです。自分がやっていると、カッコいいところだけをくり抜いて描くということはできないですね。なるべく現実と向き合うような作品にしました」とリアリティを追求した脚本について言及した。

さらに、細かいボクサーあるあるも盛り込まれているようで、東出は「例えば僕が演じたものでいうと、試合で勝った後のシーン。皆さんボクシング映画で、試合後に勝者がカッコよくリングのロープに駆け上って、拳を掲げるシーンを見たことがあると思うんですが、僕はよろけてロープに引っかかりながら上っていて不恰好なんです。実際の試合だと、終わった後すぐなのでボクサーは足がフラフラだからあんなにカッコよく登れないらしいです」と説明。

本作では、チャンピオン目前の小川が試合に負け続きの自分よりも弱い瓜田を“強い”と発言する場面がある。そのシーンについてそれぞれ問われると、吉田監督は「ボクシングの世界って、本当に結果が全てなんです。先輩後輩よりも、強いか弱いかで上下関係が決まったりもします。そういう世界で、本質的な強さってなんだろうっていう問いかけを描いているんですよね」と明かした。

東出は「小川は瓜田よりも強いんですけど、瓜田のことをバカにはしてなくて、むしろ尊敬しているんですね。僕がジムに通う中で感じたことなんですが、ボクサー同士って尊敬し合っているし、みんな優しい方たちばかりなんです。努力しても決して報われるとは限らないという中戦っているので、肉体的な痛みだけでなく、人の痛みがわかってるんですよね。小川にもそういうところがあります。あと、これは松山さんが意識的にしてくださったことなのかもしれないんですが、松山さんの方が長く役作りをされていたので、僕や(柄本)時生にアドバイスしてくれたり、ミット打ちを受けてくださったり、空き時間に垣根なく僕たちのためにいろいろしてくださったんですね。その姿が瓜田と重なる部分があって、より小川として瓜田という存在を尊敬できて、心から“強い”と思えた気がします」と、松山との共演を振り返りながら答えた。

続けて、「時生が演じる楢崎と彼のおばあちゃんのシーンはすごく印象に残っています。楢崎はモテたくてボクシングを始めて、キャラクター的にもコミカルな部分がある役なんですが、そのおばあちゃんとのシーンは本当に素晴らしくて僕はそこで泣きました。改めて良い役者さんだなと思いました。松山さんと時生以外に、もう一人のボクサーの生き様も描かれていて、それが守屋(周徒)くん演じる洞口というボクサーなんですが、彼のキャラクターも良かったです」と同じくボクサーを演じた柄本や、あまり語られることのない4人目のボクサーについても言及。

すると吉田監督が、「守屋くんは5年前くらいに俺のワークショップに来ていて、“どうやったら監督の作品に出れますか?”と聞かれたので、今度ボクシング映画撮りたいからボクシングをやっておいてとお願いしたんです。しばらくして、“もう2年間ボクシングやりましたけど、どうなりましたでしょうか?”って連絡が来たんだけど、その時はまだ作品が決まっていなかったから続けといてってお願いして、結局彼は4~5年くらいすることになったんですよね(笑)」と洞口役のキャスティング秘話を明かした。

最後に吉田監督は「ボクシング映画っていうと少しとっつきにくい印象かもしれませんが、この作品はそんなことありません!特に瓜田、小川、そして木村文乃さん演じる千佳の3人の関係性は“あだち充”を目指しました。タッチを観ているような感覚で、俺の表現したあだち充感をぜひ楽しんでほしいです」とメッセージを送った。

そして東出は、「実は僕、初号を観終わった後すごく感動して、普段はそんなことしないんですけど、すぐ監督に電話しなきゃ!と思い“『BLUE/ブルー』すごく良かったです”って電話したんです。そしたら“ブルーって何?”って言われて。興奮して間違って、吉田大八監督に電話かけてたんですよね(笑)」とチャーミングなエピソードを明かしつつ、「僕はすごく大好きな作品なのですが、本当に言葉で表現するのが難しい作品。これがテーマだって一言で表せられないものだから、2時間かけて監督が描いたんじゃないかと思っています。それくらい味わい深い素晴らしい作品です。まずはボクサーの方々に観て頂きたい。華やかでカッコいいところだけを描いたものではないから、きっと“俺たちの思いをよく表現してくれた!”と思ってもらえるはずです。そう言っていただけるだけの自信があるし、そこまでの役作りや掘り下げができたと思っています。そんな作品を一般の方に観ていただいたときにも、何か爪痕を残せればと思います」と、1時間に及ぶ熱いトークセッションを締めくくった。

BLUE/ブルー

イントロダクション
『ヒメアノ~ル』(16)、『犬猿』(18)など、リアリティ溢れる描写で人間の光と影を表現し続ける吉田恵輔。30年以上続けてきたボクシングを題材に、自ら脚本を書き上げた本作は、成功が約束されていなくとも努力を尽くす挑戦者たちの熱い生き様を描いた青春映画。

主演は、脚本に惚れ込み約2年もの間じっくりと役作りに挑んだという松山ケンイチ。情熱はあっても才能が無い、試合には勝てない主人公・瓜田を熱演。同じジムに所属する、強さと才能を合わせ持つ後輩・小川を東出昌大が演じ、固い友情で結ばれながら瓜田が憧れと嫉妬を抱くライバルとして存在感を発揮している。また、モテるために始めたボクシングにのめり込んでいく新人・楢崎を演じるのは柄本時生。この3人は『聖の青春』以来5年ぶりの共演を果たす。瓜田の初恋の人でありながら、今は小川の婚約者という二人の間で揺れるヒロイン・千佳を演じるのは、吉田監督作品への出演を熱望した木村文乃

ストーリー
時に人生は残酷だ。
どれだけ努力しても、どれだけ才能があっても、約束された成功なんてない。

誰よりもボクシングを愛する瓜田は、どれだけ努力しても負け続き。一方、ライバルで後輩の小川は抜群の才能とセンスで日本チャンピオン目前、瓜田の幼馴染の千佳とも結婚を控えていた。千佳は瓜田にとって初恋の人であり、この世界へ導いてくれた人。強さも、恋も、瓜田が欲しい物は全部小川に奪われた。それでも瓜田はひたむきに努力し夢へ挑戦し続ける。しかし、ある出来事をきっかけに、瓜田は抱え続けてきた想いを二人の前で吐き出し、彼らの関係が変わり始める―。

作品タイトル:『BLUE/ブルー』
出演:松山ケンイチ 木村文乃 柄本時生 / 東出昌大
監督・脚本・殺陣指導:吉田恵輔 ※「吉」は「つちよし」が正式表記
主題歌:竹原ピストル「きーぷ、うぉーきんぐ!!」(ビクターエンタテインメント)
製作:『BLUE/ブルー』製作委員会(東映ビデオ 日活 ファントム・フィルム AMGエンタテインメント レイラインピクチャーズ)
製作幹事:東映ビデオ
制作プロダクション:ステアウェイ
2021年/カラー/ビスタ/5.1ch/107分
配給:ファントム・フィルム

公式サイト:phantom-film.com/blue
公式Twitter:@bluemovie_21 #挑戦者たちの青春
コピーライト:(C)2021『BLUE/ブルー』製作委員会

4月9日(金)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー

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