【レポート】映画『フリーソロ』平山ユージがアレックス・オノルドの魅力を語る「答を出してから進む。まるで数学者のよう」

本年度アカデミー賞(R)長編ドキュメンタリー賞受賞をはじめ、世界で45賞ノミネート、20賞受賞の快挙を成し遂げた注目の映画『フリーソロ』(9月6日公開)の特別試写会が8月27日、東京・渋谷のユーロライブにて開催し、同作にて字幕監修を担当したプロフリークライマーの平山ユージさん登壇のトークショーが実施された。

今、東京オリンピックの有力なメダル候補として期待値が上昇している日本のスポーツクライミング。今回ゲストとして登壇した平山さんは1998年と2000年のクライミングワールドカップでの優勝経験を持ち、今の日本のクライミング界の立役者としても知られる。
最初に平山さんの経歴についての話が出た際は「もう少し後に生まれていたらオリンピックに出られたかもしれないのに!」と笑顔を見せた平山さん。会場でも笑いが起き、和やかなムードでトークイベントはスタートした。

平山さんと本作の主人公アレックス・オノルドの出会いは2008年。ヨセミテで行われた彼のトークショーへ平山さんが足を運んだのがきっかけだそう。平山さんはその時のオノルドの第一印象を「何か聞かれてもYesかNoでしか答えられないようなシャイな青年だった」と話す。その翌年からザ・ノース・フェイスのチームに加わり話す機会が増えると、「お酒に誘っても絶対に呑まなくて。普段の生活もすべてがクライミングにまっしぐら。本当にまっすぐで穏やかな青年」とオノルドの人柄を明かした。

昨年、オノルドが初来日した際、平山さんは彼と共に御前岩、瑞牆山、二子山の三箇所をクライミング。その時のことについては「机の上で方程式を解くように答えを出してから進む」と振り返り、オノルドのことを「怖いもの知らず、命知らずの荒くれ者のようなイメージを持っている人がいるかもしれないけど実際は数学者のよう」と表現。

また、本作で監督兼撮影監督であるジミー・チンについて聞かれると「彼は気遣いの人」と話し、「気配りのできるジミーがいるだけで常に周りは安心する。今回の撮影クルーもジミーがいることで安心感があったと思う。信頼関係がないと撮れない映画だからこそジミーにしか撮れない作品」と解説し、「作品から人間的な部分が見えてくる。クライミングの映像表現を超えている!カメラのファインダーを覗きこめない場面が映画に出てくるのですが、あのカットにジミーの映画作りから見えてきますね」と本作のチェックポイントもアピールした。

ナショナル ジオグラフィック ドキュメンタリー フィルムズ製作による本作は、稀代のクライマー、アレックス・オノルドによるカリフォルニア州のヨセミテ国立公園にそびえる巨岩エル・キャピタンにフリーソロで挑む一部始終を臨場感溢れるカメラワークで捉えている。
監督は2015年の山岳ドキュメンタリー『MERU/メルー』で絶賛を博したエリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ、ジミー・チンのコンビで贈る。
冒頭から目を疑うような光景が続出し、誰もが手に汗を握り、息をのまずにいられない驚異の傑作、その全貌がついに明らかになる。

平山ユージ プロフィール
1969年2月23日生まれ。日本のプロ・フリークライマー。日本山岳・スポーツクライミング協会の副会長。15歳からクライミングを始め日本国内の難関ルートを次々に踏破。高校在学時、既に日本のトップクライマーの仲間入りを果たす。17歳でアメリカ合衆国へ渡り、半年間フリークライミングのトレーニングを積んだ。19歳の時に単身フリークライミングの本場ヨーロッパへ渡り、フランス・マルセイユを拠点に数々の国際クライミングコンペに出場し、1989年のフランケンユーラカップ優勝をはじめ上位入賞の好成績を残す。2018年に初来日したアレックス・オノルドとクライミングセッションしたことでも話題となった。

アレックス・オノルド プロフィール
1985年8月17日生まれ。10歳の時にカリフォルニア、サクラメントのジムでクライミングを始める。以後、世界で最も有名なクライマーの一人となる。目が眩むほどの高い崖をロープなしで登るオノルドは、その謙虚で、控えめな性格でも知られている。彼の偉業は、米ニュース番組「60ミニッツ」や米紙ニューヨークタイムズなどで取り上げられ、ナショナルジオグラフィック誌のカバーを飾ったこともある。2018年に初来日した際には、平山ユージ、中嶋徹と共に、クライミングセッションし話題となった。

ストーリー
身体を支えるロープや安全装置を一切使わずに山や絶壁を登るフリーソロ・クライミングの若きスーパースター、アレックス・オノルドには、途方もなく壮大な夢があった。それはカリフォルニア州のヨセミテ国立公園にそびえる巨岩エル・キャピタンに挑むこと。この世界屈指の危険な断崖絶壁をフリーソロで登りきった者は、かつてひとりもいない。幾度の失敗と練習を重ね、2017年6月3日早朝、アレックスは一人エル・キャピタンへと歩を進めていく。それは人類史上最大とも呼ばれる歴史的な挑戦の始まりだった……。

作品タイトル:『フリーソロ』
出演:アレックス・オノルド、トミー・コールドウェル、ジミー・チン、サンニ・マッカンドレス
監督・製作:エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ、ジミー・チン(『MERU/メルー』)
撮影監督:ジミー・チン、クレア・ポプキン、マイキー・シェイファー
音楽:マルコ・ベルトラミ(『クワイエット・プレイス』『LOGAN/ローガン』)
主題歌「Gravity(原題)」:ティム・マッグロウ
2018年/アメリカ/100分/原題:Free solo
日本語字幕:畑アヤ子 字幕監修:平山ユージ
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム

公式サイト:freesolo-jp.com
コピーライト:(C) 2018 National Geographic Partners, LLC. All rights reserved.

9月6日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷他全国ロードショー


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