【レポート】『破戒』間宮祥太朗、前田和男監督登壇!外国特派員協会での記者会見で海外のオーディエンスにも熱いメッセージ

破戒

作家・島崎藤村による不朽の名作を映画化した『破戒』(7月8日全国公開)の試写会&記者会見が6月28日(火)、日本外国特派員協会で行われ、主演の間宮祥太朗と前田和男監督が出席した。

自らの出自を隠しながら教師として生きる主人公・丑松を演じた間宮。原作は100年前のものだが「お話をいただいて原作と脚本を読んだときに、今の世の中に新作映画として公開される力と意味を持つ作品だと思いました。部落差別とは自分の知らない世界であり、学校の授業でしか習わない世界の話だったので、若い世代に広く観てもらえると嬉しいです」と紹介した。

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一方、現在の日本の部落差別の現状について聞かれた前田監督は、かつて部落差別と人権について考えるドキュメンタリー撮影をした経験を振り返り「表面上、差別はなくなったと思いたいけれど、心の底では残っている。基本的にはなくなっていないと思う」と根深い問題だと説明した。

丑松を演じるにあたり間宮は「文学作品でセリフの日本語の響きが美しいので、セリフを喋るときにその美しい響きを失わないように気を付けました」と回想。丑松の心境面を作り上げる上では『池』をイメージしたそうで「最初の丑松の心は池の水がピンと張った鏡のような状態ですが、丑松が見た光景や聞こえてきた言葉が小石や雨粒が水面を叩き、波立たせて上下左右に動いていく。ラストは静かな鏡の状態に戻るけれど、それは最初の状態とは中身が違うんです」と繊細な役作りでキャラクターを作り上げたことを説明した。

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前田監督は丑松のキャスティングについて「もちろん間宮さん一本推しで決めました。決め手は…美しさ!これには皆さんも納得していただけるでしょう?」と笑わせると、すかさず間宮は「僕も監督のことは美しいと思っていますよ!」と応えて会場爆笑。前田監督は「間宮さんの美しさの中にある寂しさ、これが丑松のキャラクターに深みを与えていると思います。それを期待して間宮さんにお任せいたしました」と全幅の信頼を寄せていた。

一方、間宮は前田監督のファーストコンタクト時に触れて「二人でレオス・カラックス監督の『ホーリー・モーターズ』の話をしました。丑松が父から与えられた仮面をかぶって生きている姿がリンクすると思ったからです。だから『美しいから』なんて今日初めて聞きました」と笑いながら驚いていた。

最後に間宮は、海外のオーディエンスに向けて「この映画を観ていただくときの気持ちと、丑松が生徒たちに告白するときの気持ちはリンクしている部分があります。世界は一つの場所としてありますが、僕には僕の見た世界が全てであるように、人それぞれの視点で見た世界というものが存在します。本作を通して僕はそれを感じたので、日本のお客さんも海外のお客さんも、そういったところを観ながら感じていただき、人生を考えるきっかけになれば幸せです」と語った。

破戒

ストーリー
なぜ自分の故郷を語れない。なぜ好きな人に気持ちを伝えることができない

瀬川丑松(間宮祥太朗)は、自分が被差別部落出身ということを隠して、地元を離れ、ある小学校の教員として奉職する。彼は、その出自を隠し通すよう、亡くなった父からの強い戒めを受けていた。
彼は生徒に慕われるいい教師だったが、出自を隠していることに悩み、また差別の現状を体験することで心を乱しつつも、下宿先の士族出身の女性・志保(石井杏奈)との恋に心を焦がしていた。友人の同僚教師・銀之助(矢本悠馬)の支えはあったが、学校では丑松の出自についての疑念も抱かれ始め、丑松の立場は危ういものになっていく。苦しみのなか丑松は、被差別部落出身の思想家・猪子蓮太郎(眞島秀和)に傾倒していく。
猪子宛に手紙を書いたところ、思いがけず猪子と対面する機会を得るが、丑松は猪子にすら、自分の出自を告白することができなかった。そんな中、猪子の演説会が開かれる。
丑松は、「人間はみな等しく尊厳をもつものだ」という猪子の言葉に強い感動を覚えるが、猪子は演説後、政敵の放った暴漢に襲われる。
この事件がきっかけとなり、丑松はある決意を胸に、教え子たちが待つ最後の教壇へたとうとする。

作品タイトル:『破戒』
出演:間宮祥太朗 石井杏奈 矢本悠馬 高橋和也 小林綾子 七瀬 公 ウーイェイよしたか(スマイル) 大東駿介
竹中直人 / 本田博太郎 / 田中要次 石橋蓮司 眞島秀和
監督:前田和男
原作:島崎藤村『破戒』
脚本:加藤正人/木田紀生
音楽:かみむら周平
企画・製作:全国水平社創立100周年記念映画製作委員会
制作:東映株式会社
制作プロダクション:東映株式会社京都撮影所
上映時間:119分
制作協力・配給/宣伝:東映ビデオ株式会社

公式サイト:http://hakai-movie.com/
公式Twitter:@hakai_movie
公式Facebook:@hakaimovie
コピーライト:(c)全国水平社創立100周年記念映画製作委員会

7月8日(金)丸の内TOEIほか全国公開

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