【レポート】『初恋』監督週間公式上映「ワールドプレミア」ティーチイン&囲み取材、小西桜子・カンヌの舞台で感極まる!

初恋

(c) Kazuko Wakayama

第72回カンヌ国際映画祭2019「監督週間」に選出された映画『初恋』が2020年公開となる。
この度、ついにカンヌにてワールドプレミアを実施し、小西桜子、三池崇史監督によるティーチイン(Q&A)や囲み取材が行われた。世界初上映で文字通り「ワールドプレミア」となったカンヌの地は大きな盛り上がりを見せ、「ブラボー!」「ミイケ!!」とあちこちから声が上がり、万雷の拍手と共に迎えられた。

5月17日(金)公式上映@Theatre Croisette

日本時間:5月17日(金) 18:45~21:10 (現地時間:5月17日(金)11:45~14:10)
参加者:小西桜子、三池崇史監督

初恋

(c) Kazuko Wakayama

三池崇史監督
『初恋』でカンヌ映画祭は2年ぶり7回目、「監督週間」には4年ぶり3回目の選出。

初恋

(c) Kazuko Wakayama

小西桜子
オーディションで3,000人の中から、物語の重要な役どころ、モニカ(桜井ユリ)を射止めた新時代のミューズ。今回が初のカンヌ参加となる。


三池監督の最新作を観ようと、上映前には長蛇の列ができ、800席が満席、入場できない観客も出てくるなど大盛況の中始まった公式上映。上映中は爆笑や拍手が巻き起こるなど、カンヌの目の肥えた観客にも受け入れられた様子が垣間見えた。上映終了後、万雷の拍手に迎えられ、三池崇史監督小西桜子が登場。大盛り上がりの中、Q&Aイベントが始まった。

Q:なぜ『初恋』というありがちなタイトルをつけたのですか?
三池監督:ありがちな映画を作りたかっただけです(笑)

Q:この作品には多くの登場人物が登場します。映画はキャストが重要な要素の一部であると思いますが、今回どのように選ばれたのですか?
三池監督:日本で実力と人気があるキャストに集まってもらいました。皆、主役をはれる俳優たちですが、そういった俳優たちは、人気があるゆえに、みんなが共感するような役をやることが多い。自分がやりたい役や、やりたいように自由に演じられないことがある。そんなフラストレーションをこの作品で爆発してもらったので、演出はあまりせず気持ちをそのままぶつけてもらいました。

Q:なぜ小西さんを選んだのですか?
三池監督:実力のあるキャストが集まる中で、モニカにリアリティを持たせるためには、見たことのない女性がどうしても必要でした。だから3000人の中から選んだわけですが、オーディションで会って、いたな、って感じでしたね。演技経験はなくても、それはそれで魅力が出ると思って選びました。

Q:小西さんは、今回出演していかがでしたか?
小西:映画の出演はこの作品がほとんど初めてで、皆さんにたくさんは助けていただきました。演技テクニック云々ではなくて、自分のまっさらな状態を引き出していただいたので、当時の私にしか出せないものが出せてたと思います。本当に光栄です。

― 場内からの温かい拍手に思わず感極まる小西 ―

初恋

(c) Kazuko Wakayama

<以下、観客からの質疑応答>

Q:なぜ窪田さんを選んだのですか?
三池監督:まず、いいやつなんだよね(笑)10年前に彼をオーディションで選んで、今や日本では若手のスターになった。それから10年経った彼が、今度は自分が新人を支える。それが彼の運命なのかなと思いました。

Q:この作品を監督しているとき、何本同時に進行していましたか?

― 場内爆笑 ―

三池監督:いやいや、この作品に集中していました(笑)でも、撮影中に役者たちと色々話している中で構想も生まれてきたので、密かに進めているものは何本もあった、と言えるかもしれない(笑)。

Q:一番最後のファイトシーンはどんな意図をもってつくったのですか?
三池監督:意味っていうか、ヤクザだから喧嘩するっていうシンプルな発想ではあるんだけど、昨今の日本のヤクザ界においては、日本の法律の厳しさや、中国マフィアが日本に進出してきていることなどが現実としてある。そんなリアルな構図をひとつの戦いに投影させたつもり。

Q:カーアクションのシーンが、アニメーションで表現されていたのが印象的でしたが、そのインスピレーションはどこから湧いてきたのですか?
三池監督:スタントシーンができる若者がいなくて、このアクションシーンをやってもらうと、きっと腰を痛めてしまうと思ったので、アニメーションで表現するアイデアが湧いてきました。

三池監督のウィットに富んだ回答に、会場が笑いに包まれながらイベントは終了。多くのマスコミからフラッシュを浴び、再び大きな拍手を受けながら会場を後にした。

<以下、囲み取取材>

初恋

(c) Kazuko Wakayama

Q:カンヌの目の肥えた観客の反応を間近に感じてみていかがでしたか?
三池監督:私のファンは夜行性なひとが多いのではないかと思っているのですが(笑)予想以上の反応をいただけて良かったです。上映中、笑いが起きていましたが、役者の演技やそれぞれのキャラクターが届いてるということだと思う。日本とカンヌでは、観客の受け取り方が多少ずれているかもしれないけど、それはそれで面白い。

Q:日本との観客の反応の違いは感じますか?
三池監督:微妙な違いはあるけれど、日本映画らしい“何か”は感じてくれているし、不思議なくらい大きな違いはないと思います。「監督週間」の公式上映に足を運んでくれる人は、そんなズレを楽しんだり、集団で同じ空間でその作品を共有することが好きなひとが多いと感じています。

Q:イベント中、小西さんは感極まっていましたが、カンヌの観客の前に立ってみていかがでしたか?
小西:日本でさえ私のことを知らない中、カンヌでも勿論私のことを知らないのに、上映後にあんなにたくさんの方が温かく拍手をしてくださって本当に嬉しかったです。壇上に立たせていただいて、ただただ光栄という気持ちでした。

― 小西さん、再び感極まり号泣 ―

三池監督:俺にもこういう時代があった!

Q:窪田さんに今日のことを報告するとしたら?
三池監督:先日初めて作品観終わった後、役者たちと酒を飲んでいるときにみんなが興奮していたんだけど、カンヌの反応も皆と同じリアクションだったよと伝えたいですね。

Q:カンヌに初めていらっしゃって、改めていかがですか?
小西:カンヌは、祭!という感じで街全体が本当に盛り上がっていて楽しいです。空いている時間で雰囲気を楽しませていただいています。映画の買い付け交渉などが行われているマーケットもお邪魔しましたが、自分を売り込みました(笑)!ますます頑張って恩返しできればと思っています。

Q:何本同時に進行しているのか、という質問がでていましたが、今回オリジナルストーリーでカムバックしたことついてどのように感じていらっしゃいますか?
三池監督:オリジナルをつくれる環境はいいことだと思います。でもオリジナルでなければならないということではない。それも必要かもしれないが、それが目的ではない。それよりも、とにかく色んな形で映画化していく。人生短いし、自分を解放して色んなものとって、また吸収していきたいです。

上映後、観客の反応

女性「素晴らしくて、楽しかったです。良く出来ていました。ダイナミックで力強くて…素晴らしかったです!」

男性「とても気に入りました。面白くて、バイオレンス要素もあってクレイジーでした。とても驚きのある映画でした。本当に素晴らしくて、いい作品で、とても気に入りました。本当に驚きで…予想してなかったので面白かったです。観客の反応も良かったです。みんな笑っていて良い瞬間でした。予想以上でした!」

女性「最高でした!本来は好きなジャンルではないのですが、すごく気に入りました。ユーモアがあって、素晴らしかったです。」

2人組のカップル
女性「クレイジーでよく笑いました。」
男性「素晴らしかったです!バイオレンスがあって、シリアスで…クレイジーだし、悲しいし、本当に素晴らしかった!」


作品タイトル:『初恋』
主演:窪田正孝 大森南朋 染谷将太 小西桜子 ベッキー
三浦貴大 藤岡麻美 顏正國(YEN CHENG-KUO) 段鈞豪(TUAN CHUN-HAO) 矢島舞美 出合正幸
村上 淳 滝藤賢一 ベンガル 塩見三省 / 内野聖陽
監督:三池崇史
企画プロデュース:紀伊 宗之(東映)
プロデューサー:Jeremy Thomas(Recorded Picture Company)
プロデューサー:坂 美佐子(OLM)
制作:OLM
配給:東映

コピーライト:(C)2020「初恋」製作委員会

2020年全国公開


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