【レポート】『北の果ての小さな村で』トークイベント付特別試写会に能町みね子さん&雑誌ソトコト指出一正編集長が登壇!

北の果ての小さな村で

北極に位置する世界一大きな島・グリーンランドを舞台にしたフランス映画『北の果ての小さな村で』が、ついに7月27日(土)よりシネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開となる。

公開に先立ち、7月22日(月)にシネスイッチ銀座にてトークイベント付特別試写会が開催され、コラムニスト・イラストレーターとして雑誌・書籍をはじめ、近年ではその知識量と絶妙な着眼点での語り口からラジオやテレビでも活躍する能町みね子さんと、雑誌ソトコトの現編集長・指出一正さんが登壇した。

カンヌ国際映画祭やヴェネチア国際映画祭での受賞歴もあるフランスの俊英サミュエル・コラルデ監督の最新作である本作の舞台は、北極に位置する、世界一大きな島・グリーンランドにある人口80人ほどの小さな村。デンマーク人の新人教師アンダースが、異境の地で生きる術を学んで成長していく姿を描き、2018年のサンダンス映画祭に出品された。村の子供たちや猟師などの登場人物は、すべて本人自身が演じており、さらに、一面の氷の大地や、雄大なフィヨルド、オーロラなどの美しい大自然や、シロクマ親子、クジラの群れなどの野生動物は、撮影監督としても活躍するコラルデ監督自らの手腕によるものであり、その圧倒的な景色も大きな見どころだ。

北の果ての小さな村で

本作の上映後、満席の会場には、梅雨のじめじめを吹き飛ばすような、お客さんのさわやかな感動が満ち溢れていた。9年前にグリーンランドを訪れた経験のある能町さんは、「私が行ったのは首都のヌークだったのですが、映画を観て“こういうところだったな”と思い出しました。ヌークは、映画の舞台のチニツキラーク村に比べると都会というか、人口も多いのですが、似ているところもあるし、田舎に行くともっとこうなるのか、とも思いました」と自身の思い出と照らし合わせて感想を語った。特に印象に残ったところとして「狩猟のシーン」を挙げた能町さん。「半分ドキュメンタリー的な映画ですけど、どうやって撮ったんだろう、昔ながらのグリーンランドの生活ってこういうことなんだな」と感じたという。

アウトドア雑誌の編集部にいたことがあるというソトコトの指出編集長は「この映画の狩猟と漁のシーンは本物。扱っている道具もすべて北欧のブランドなんですよ。地元の人が普段から使っているんでしょうね。」と専門的な観点から見どころを紹介した。

北の果ての小さな村で

著作「逃北~つかれたときは北へ逃げます」で、北海道や青森からグリーンランドまで、北を旅した思い出を綴っている能町さん。なぜ「北」の地へ惹かれてしまうのか聞かれると、「南の島が好きっていうのは、何で?と言われないのに、北が好きというと、北の人にすら何で?って言われるんですよ(笑)私は自分を全面的に肯定する気持ちがなくて、そんなに自信がなくて少し卑屈なんです。で、北のほうに行くと地元の方に“こんな町、なにもないのに…”と言われるんですね。そして私が、“いや、そんなことないですよ”と返す、その一連のコミュニケーションが好きなんです。実は地元のことが好きなんだろうな、と気持ちがくすぐられて、そこから少しずつ入り込んでいくのが好きなんですよね」と、独特の理由を明かした。グリーンランドには、昔から地図をみて気になっていたと言い、「どういう人が住んでいるのか、どんな景色が広がっているのか想像ができなかった。9年前は、グーグルストリートビューもなくて、地図やガイドブックもなかったから何も分からなかった。グリーンランドは世界で一番行きたいところでした。」、さらに「実は海外に行っていった地としては、タイ、アイスランド、グリーンランドと、グリーンランドが3か国目だったんですよ(笑)」と果てしないグリーンランドへの想いを語った。

また、イベント内では本作の主人公、デンマークからグリーンランドにやってきた新人教師アンダースから届いた、サプライズ動画メッセージも披露された。映画撮影後もチニツキラーク村で教師を続けているアンダースの元気な姿に、会場内からは驚きと感嘆の声が多く挙がった。

北の果ての小さな村で

最後に本作の見どころについて、ソトコトの指出編集長は「小さいけど、何もないかもしれないけれど、でも、いい場所というのは、日本だけじゃなく、世界中にもたくさんあると思います。この映画を通して、グリーンランドのチニツキラーク村というかけがえのない土地を皆さんは発見したと思います。こんな世界があるんだな、いろんな暮らしがあるんだなということを知ることで、複眼的に社会を見れるようになると思います」。能町さんは、徐々に村の生活や人々に打ち解けていくアンダースの心境の変化について「どこにいっても世界中でああいう村社会みたいなものがあるんだろうなと思いました。どこでも大歓迎とはならない、そのリアリティを感じました。」と語り、グリーンランドへの愛が溢れたトークイベントとなった。

ストーリー
北極に位置するグリーンランド東部の人口80人の小さな村チニツキラークに、デンマークから28歳の新人教師アンダースが、子供たちにデンマーク語を教えるために赴任した。家業の農業を継ぐか否か、迷った末の“自分探し”の選択だったが、そんな甘い考えはすぐに打ち砕かれる。言語、習慣の違いで授業はままならず、考え方の違いから、村人からは孤立気味。そして想像以上に過酷な自然。そんな時、狩猟のために学校を休んだ児童の一人アサーの家を、叱責するつもりで訪問したアンダースは、少年の祖父母から様々なことを教えられることになる。それはこの地で暮らす者に必要な生活の知恵だけでなく、しなやかに強く生きていくための哲学でもあった…。

北の果ての小さな村で

作品タイトル:『北の果ての小さな村で』
出演:アンダース・ヴィーデゴー、アサー・ボアセン、チニツキラーク村の人々
監督・撮影・脚本:サミュエル・コラルデ
脚本:カトリーヌ・パイエ
音楽:エルワン・シャンドン
プロデューサー:グレゴワール・ドゥバイ
2017年/フランス/グリーンランド語、デンマーク語/94分/カラー/5.1ch/1:2.39/原題:Une année polaire(英題:A POLAR YEAR)/字幕翻訳:伊勢田京子
配給:ザジフィルムズ

公式サイト:www.zaziefilms.com/kitanomura/
(c) 2018 Geko Films and France 3 Cinema

7月下旬より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー


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