アニエス・ヴァルダ監督特集「RENDEZ-VOUS avec AGNÈS アニエス・ヴァルダをもっと知るための3本の映画」予告編解禁

本年3月に90歳で亡くなったフランス映画界を代表する女性監督、アニエス・ヴァルダ監督の遺作「Varda par Agnes」(19)の邦題が『アニエスによるヴァルダ』に決定、日本劇場初公開となる『ラ・ポワント・クールト』(54)、『ダゲール街の人々』(75)とともに、特集上映「RENDEZ-VOUS avec AGNÈS アニエス・ヴァルダをもっと知るための3本の映画」として、12月21日(土)よりシアター・イメージフォーラム他にて3作品同時公開することが決定した。

『ラ・ポワント・クールト』で劇映画デビューを果たした1954年から、2017年にJRと共同監督した『顔たち、ところどころ』まで、長きにわたるキャリアの中で40本以上の短篇、長編劇映画、ドキュメンタリーを監督したアニエス・ヴァルダ。ヌーヴェルヴァーグの時代で唯一名を残した女性監督としてのみならず、写真家、ビジュアル・アーティストとしても活動し、数多くの写真作品、インスタレーション作品を世に残した。

2019年2月のベルリン国際映画祭に登壇した1ヶ月後の訃報に世界中が驚き悲しみ、マドンナや、アンジェリーナ・ジョリー、ジェーン・バーキン、ギルレモ・デル・トロなど、世界中の映画人、アーティストが追悼の意を表した。『百一夜』など3本のヴァルダ作品に出演した仏の大女優カトリーヌ・ドヌーヴは「アニエスの人生で驚くべきは、若くして写真家として活動を始めてから最期の時まで70年近く創造の仕事を追求していたこと。そのことが一番感動的でした」、マーティン・スコセッシ監督は「アニエスは、人生でも芸術でも誰の足跡もたどらなかった。彼女に会えたことを幸運に思う。そしてすべての若い映画人に、彼女の作品を観てほしい」と語っており、世界中の映画界におけるヴァルダの偉大さが感じられる。

les creatures – marilou parolini (c) varda estate

今回公開される遺作となった『アニエスによるヴァルダ』は、彼女の半世紀以上に渡る創作活動を彼女自身が情熱とユーモア溢れる口調で語りつくし、貴重な映像とともに綴る集大成的セルフ・ポートレイト。
そして、「ヌーヴェルヴァーグはここから始まった」と言っても過言ではない伝説的劇映画デビュー作『ラ・ポワント・クールト』、自身が事務所兼住居を構えるパリ14区、ダゲール通りに暮らす人々を点描したドキュメンタリー作家としての真骨頂『ダゲール街の人々』という、日本においては正式劇場公開されていない2作も同時公開される。

今回の特集上映開催にあたり、ヴァルダ監督と同時代を生き、作品をリアルタイムで観てきた映画評論家の秦 早穗子氏から以下のコメントが寄せられた。

アニエス・ヴァルダには、きらめきと創造、勇気と忍耐があった。
現実を見つめる厳しい目と、愛に溢れたやさしさがせめぎ合い、
生きる力となって、ヴァルダを前進させた。
彼女の素晴らしさは、女の心、肉体、その内部を言葉ではなく、映像で表現したこと。
同時に、一本のバゲットをみんなで分かちあう喜びも現す女(ひと)であった。   
――秦 早穗子(映画評論家)

さらに、各作品へもコメントが到着。『アニエスによるヴァルダ』はコラムニストの山崎 まどか氏、『ラ・ポワント・クールト』は映画評論家の中条 省平氏、そして『ダゲール街の人々』へはパリ在住の文化ジャーナリスト佐藤 久理子氏がコメントを寄せている。

解禁されたポスタービジュアルは、映画「創造物たち」(66)を撮影中の30代後半のヴァルダ監督の写真を大きく使用し、ヌーヴェルヴァーグの時代を牽引してきた力強さと、チャーミングな人柄が感じられるものとなっている。
写真上にあるサインは、ヴァルダ本人による直筆のもの。予告編では3作品を紹介しながら、終盤では、ヴァルダと『冬の旅』(85/ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞)に主演した仏女優サンドリーヌ・ボネールが笑い合う姿も。
『アニエスによるヴァルダ』のオープニングでヴァルダが語る、「長年この仕事を続けてきた理由を話しておくわ。キーワードは3つ。“ひらめき”と“創造”そして“共有”。」という、創作の秘密を紐解いていく言葉で、予告編は締めくくられている。

前売鑑賞券

特典付き特別鑑賞券1回券(1500円)/3回券(3900円)が、シアター・イメージフォーラム劇場窓口と映画前売鑑賞券のネット販売専門サイト・メイジャーにて好評発売中(メイジャーは10/5より販売開始)。
1回券には『アニエスによるヴァルダ』オリジナルステッカー、3回券には、シネタマリス社特製アニエスのイラスト入り真っ赤なトートをプレゼント。(※特典は数量限定)

『アニエスによるヴァルダ』オリジナルステッカー

アニエスのイラスト入りトート

【アニエス・ヴァルダ】
1928年5月30日、ベルギー生まれ。戦火を逃れ南仏セートに移住し、思春期を過ごす。その後パリで学び、職業写真家として活躍。54年、アラン・レネの勧めにより『ラ・ポワント・クールト』を26歳の若さで初監督。1961年に『5時から7時までのクレオ』を発表した翌年、ジャック・ドゥミと結婚、90年ドゥミの死去まで添い遂げた。『幸福』(64)でベルリン国際映画祭銀熊賞を、『冬の旅』(85)でヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。仏人アーティストJRとの共同監督作『顔たち、ところどころ』(17)ではカンヌ国際映画祭ルイユ・ドール(最優秀ドキュメンタリー賞)を受賞した。15年にカンヌ国際映画祭名誉パルムドールを、17年にアカデミー賞名誉賞を受賞。2019年3月29日、パリの自宅にて死去。享年90歳。

上映作品

『アニエスによるヴァルダ』 ※遺作

長編劇映画監督デビュー作『ラ・ポワント・クールト』から、世界各国の数々の映画賞に輝いた前作『顔たち、ところどころ』まで、ヴァルダが60余年の自身のキャリアを振り返る、集大成的作品。飽くことのない好奇心と情熱をもって、死の直前まで創作活動を止めることのなかった彼女の、これは遺言状ではなく未来へのメッセージ。

<第69回ベルリン国際映画祭正式出品作品>
監督:アニエス・ヴァルダ|製作:ロザリー・ヴァルダ|2019年/フランス/119分/カラー/5.1ch/1:1.85/原題:Varda par Agnes|日本語字幕:井村千瑞
(c) 2019 Cine Tamaris – Arte France – HBB26 – Scarlett Production – MK2 films

アニエス・ヴァルダによる自作の解説はまるで、彼女の冒険に満ちた長い映画人生のアンコールのよう。
ブラヴォーと叫んで拍手して、何度でもアニエスをスクリーンに呼び戻したい。
何度でも彼女の映画をスクリーンで見たい。
――山崎 まどか(コラムニスト)

 

『ラ・ポワント・クールト』 ※劇場初公開

ゴダールの『勝手にしやがれ』よりも5年、トリュフォーの『大人は判ってくれない』よりも4年も早く製作された、「ヌーヴェルヴァーグはここから始まった」と言っても過言ではない伝説的作品。南仏の小さな海辺の村を舞台に、生まれ故郷に戻ってきた夫と、彼を追ってパリからやってきた妻。終止符を打とうとしている一組の夫婦の姿を描く。

監督・脚本:アニエス・ヴァルダ|編集:アラン・レネ|出演:フィリップ・ノワレ、シルヴィア・モンフォール|1954年/フランス/80分/モノクロ/モノラル/スタンダード/原題:La pointe courte|日本語字幕:井村千瑞
(c) 1994 AGNES VARDA ET ENFANTS

26歳の写真家ヴァルダは、少女時代を船のなかで過ごした海辺の町に帰り、
その漁村でパリから来た夫婦の愛の不毛のドラマを撮った。
太陽の光が照り、海の微風がそよぎ、その風景を永遠に変えた。
そして、それが<ヌーヴェル・ヴァーグ>に先立つ映画の革命になった。
――中条 省平(映画評論家)

 

『ダゲール街の人々』 ※劇場初公開

自身が50年以上居を構えていたパリ14区、モンパルナスの一角にあるダゲール通り。“銀板写真”を発明した19世紀の発明家の名を冠した通りには肉屋、香水屋…、様々な商店が立ち並ぶ。その下町の風景をこよなく愛したヴァルダが75年に完成させたドキュメンタリー作家としての代表作。人間に対する温かな眼差しと冷徹な観察眼を併せ持ったヴァルダの真骨頂。
監督:アニエス・ヴァルダ|撮影:ウィリアム・ルプシャンスキー、ヌーリス・アヴィヴ|1975年/フランス/79分/カラー/モノラル/スタンダード/原題:Daguerreotypes|日本語字幕:横井和子
(c) 1994 agnes varda et enfants

すべての始まりはここから!
ヴァルダが終生愛した、ダゲレオ写真の発明家の名に因んだパリの裏通りには、
アコーディオンの調べが響き、バゲットの香ばしい匂いが漂い、夜更けまでミシンの音が聞こえる。
「ダゲール村」のポートレートは、わたしたちをノスタルジックな素顔のパリにタイムトリップさせてくれる。
――佐藤 久理子(文化ジャーナリスト)

 


「RENDEZ-VOUS avec AGNÈS アニエス・ヴァルダをもっと知るための3本の映画」
配給:ザジフィルムズ
協力:シネマクガフィン
公式サイト:www.zaziefilms.com/agnesvarda/

12月21日(土)より、シアター・イメージフォーラム他全国順次公開

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