「老ナルキソス」東海林毅監督の特集上映「偏愛ビジュアリスト/東海林毅ショートフイルム選」3/30(土)より開催決定!

偏愛ビジュアリスト/東海林毅ショートフイルム選自主映画ながら国内外で10冠に輝く短編映画「老ナルキソス」が話題の東海林毅監督の特集上映<が、池袋シネマ・ロサ(東京都豊島区)にて2019年3月30日(土)~4月5日(金)まで開催される。
「老ナルキソス」を筆頭に、【男性性】をテーマにした最新作「ホモソーシャルダンス」、売れないカメラマンとグラビアアイドルの幽霊が寄る辺なく街を彷徨う「ピンぼけシティライツ」、セリフなし・ほぼ全編ゲームのチャット画面で構成されるという“早すぎた傑作” 「23:60」の短編作品4本立て。
それぞれに個性的な作品から見えてくる、社会、他者、自分との関係性。時代を先取りした鋭いテーマ選びが注目される東海林監督の初めての特集上映となる。

私たちは知らずにそれぞれの辺境にいて、互いを遠く呼び合っている、
偏ったちっぽけな存在なのだろう。そんな気づきを与えてくれる作品群です。
文月悠光(詩人)

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東海林 毅監督プロフィール
武蔵野美術大学映像学科在学中から映像作家活動を開始し1995年、第4回 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭コンペ部門にて審査員特別賞を受賞。
「劇場版 喧嘩番長」シリーズや「お姉チャンバラ Vortex」などの商業作品を監督する一方、VFXアーティストとしても幅広く活動しNHK BSPの科学史ドキュメンタリー番組「フランケンシュタインの誘惑」では3年以上にわたり演出やVFXを務めた。
近年、表現の幅を広げるために自主映画にも力を入れ、作品を精力的に発表中。

■東海林 毅監督コメント
小学生のころ顕微鏡観察に熱中していた時期がありました。田んぼやドブの水を掬っては、レンズ越しに蠢く小さく奇妙な生き物たちに心を奪われる日々。そんなある日、クラスの友人が「うなぎが美味しかった」と言ったので、僕はウキウキしながら、うなぎが泥の中でどういった微生物を食べているのか、絵に描いて丁寧に彼に説明してあげました。僕が描いたキュートなワムシやツリガネムシの絵を見た彼は、気味悪がって怒ってしまい、以来あまり遊んでくれなくなりました。あなたはどうでしょう?僕の描いた絵を見て怒るでしょうか?楽しんでもらえたら嬉しいのですが。

開催概要

<特集上映タイトル>
「偏愛ビジュアリスト」東海林 毅ショートフィルム選

<上映作品>

「老ナルキソス」(2017)
「ホモソーシャルダンス」(2019)
「ピンぼけシティライツ」(2016)
「23:60」(2007)

<日時>
2019年3月30日(土)~4月5日(金)レイトショー
※連日日替わりゲストと監督のトークショーを予定

場所>
池袋シネマ・ロサ(東京都豊島区西池袋1-37-12 ロサ会館内)

<WEBサイト>
https://shoji.themedia.jp

上映作品詳細

「老ナルキソス」(2017)/21分

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あらゆる人に訪れる“老い”や“生と性”の普遍的な悩みを、ゲイでマゾヒストの老人に託して描くラブストーリー。

ゲイでナルシストの老絵本作家・山崎(田村泰二郎)は老いて自分の姿が醜く衰えゆくことに耐えられない。山崎はある夜、若く美しい男性レオ(高橋里央)に出会う。レオとのプレイ中に倒れた山崎は老いの苦しみを打ち明けるが年若いレオには響かない。自分より醜い相手とならば、と自傷的な行動に走ってしまう山崎だったが…。

【監督より】
主人公は高齢のゲイでナルシストかつマゾヒストの絵本作家、一見すると社会のどのクラスタからも分断されているような人物です。そんな彼が、誰もが感じる普遍的なテーマである?「老いへの恐怖」や「若さへの憧憬」「性への渇望」に思い悩むさまを描くことでセクシャリティや性癖が違っていても、人間は皆、同じように恐れ、悩み、愛する生き物なのだと伝えたいと考えました。
自分とは違う部分を見つけて嫌悪し拒絶する空気が世界中に蔓延している今の時代だからこそ。

出演 : 田村泰二郎、高橋里央、佐野弘樹、蒲生映与 ほか/脚本・監督 : 東海林 毅
プロデューサー : 川勝奈穂/音楽 : 小島ケイタニーラブ/撮影 : 神田 創/照明:丸山和志/
録音:宋 晋瑞/美術:山下修侍/衣装:立山 功/ヘア&メイク:東村忠明

【受賞歴】
上海国際クイア映画祭(作品賞・脚本賞)
札幌国際短篇映画祭(国内作品賞・脚本賞)
レインボーリール東京(グランプリ)
山形ムービーフェスティバル(グランプリ・脚本賞)
ほか計10冠

 


「ホモソーシャルダンス」(2019)/11分

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イケてる男子学生6人のグループに1人の女子。このグループに入れない気弱で貧相な男子が1人。彼は彼女にアタックしようとするが、いつも周りに笑われてばかり。しかし、女子がこの男子を傷つけるような拒絶をしたことで、男⼦学⽣グループは、この女子を敵視し、グループを追い出そうとするようになる。

一人の女性をめぐる男たちの反目と連帯から浮かび上がる、ミソジニー(女性嫌悪)と男性社会の持つホモソーシャリティというテーマを、学園ドラマパートとコンテンポラリーダンスのイメージパートによって表現する問題作!

【監督より】
古くは女性参政権運動や、昨今、世界的な盛り上がりを見せた#MeToo運動のように、近現代においてフェミニズムの機運が高まるたびに、男性たちは女性の側から「男性性とは何か?」と問われ続けてきたように思います。
しかし男性側がその間いかけに、真剣に答えたことは殆どなかったのではないでしょうか?
だからこそ今、男性の側から積極的に「男性性」を認知し、定義していくべき時代なのではないかと考え、この作品を制作しました。

出演 :新宅一平、鈴木春香、内田悠一、楊煉、ゼガ、Chris Darvall、皆木正純、吉澤慎吾
脚本・監督 : 東海林 毅/プロデューサー : 川勝奈穂/コレオグラファー:木皮 成/
撮影 : 神田 創/照明:丸山和志/美術監督:山下修侍/衣装デザイン:立山 功/
ヘア&メイク:東村忠明、神田朋子/音楽:松浦武臣

 


「ピンぼけシティライツ」(2016)/18分

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落ちぶれたカメラマン菊川のもとにある日、水着姿の見知らぬ女の幽霊が現れる。つきまとわれ辟易とする菊川だったが、彼女の正体はかつて自分が撮影した売れないグラビアアイドルの立花えみりだと気付く。同棲相手に家を追い出され寄る辺ない菊川とこの世にもあの世にも行けない立花。居場所のない二人は、夜の東京で本音をぶつけ合う。

「人、モノ、コト、何かを好きになるというのは良くも悪くもまるで呪いにかかるよう」という監督の発想から、そんな呪いにかかってしまった男と女(ただし幽霊)のおはなしが生まれた。
夜の東京に、NHK「みんなのうた」などで知られる小島ケイタニーラブの音楽がふんわり響く、オフビートなファンタジー作品。

出演:星能 豊、梅沢 佐季子 ほか/脚本・監督:東海林 毅
音楽:小島ケイタニーラブ/撮影:満若 勇咲/照明:近 守里夫/録音・効果:田中秀樹

 


「23:60」(2007年)/20分

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部屋に引きこもり、ネットゲームの仮想世界に没頭する青年“Qwer”はある日、 所有者を失い廃墟となったエリアで“Ame”という名のアバターと出会う。 そのエリアの所有者が現実世界(リアル)で自殺した、と嬉々として云うAme。 遺書/遺品となったエリアを散策する2人の静かな夜が始まる。

ネットゲームの世界を舞台にしたチャットログによる会話劇。アバターを介したコミュニケーションがもたらす希薄な肉体感覚、バーチャルな世界の中であるがゆえに際立つ人間の存在と距離感をほぼ全編ゲーム画面で描く意欲作。20代の終わりに実際にネトゲ廃人だったという監督の集大成。

出演(声):井口龍太/監督・脚本・アニメーション制作:東海林 毅
音楽:クリストフ シャルル/撮影監督:長野泰隆(J.S.C.)/美術:井上心平

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