是枝裕和監督や西川美和監督の監督助手を務めてきた、映像制作集団分福の孫明雅(そんみょんあ)監督の長編デビュー作『トロフィー』より、各界著名人からのオピニオンコメントと、90秒予告動画が公開された。

主人公は在日コリアンの14歳の少女・ソヒ。朝鮮学校に通い、部活で朝鮮舞踊に打ち込む日々を送っている。ある日、日本学校との交流会で日本人の未来とK-POP好きという共通点で仲良くなり、ソヒは少しずつ外の世界と繋がりを持っていく。そんな中、ふたりは推しのK-POPアイドルのライブチケット代を稼ぐために、ソヒの家にある不用品をフリマサイトで売ることに。そこで意外にも高値で売れたのは、朝鮮学校の校長である父・サンジュが持っていた一枚の北朝鮮のCDだった。それに味をしめたソヒたちは、サンジュが祖国・北朝鮮から授与された”勲章”までも売ってしまうー。
主人公・ソヒ役に恒那、父役に井浦新、母役に市川実和子、舞踊部の先生役にちすん、そして朝鮮学校の担任役に笠松将が名を連ねる。

この度コメントを寄せたのは、俳優の仲野太賀、映画批評家の児玉美月、映画『サマーフィルムにのって』の監督・松本壮史、映画『LOST LAND/ロストランド』の監督・藤元明緒、ジャーナリストの竹田ダニエルをはじめ、俳優、編集者、モデル、スポーツ選手など総勢13名。(コメントは本記事下に掲載)
併せて公開された予告映像では、朝鮮学校での日常、ソヒが抱える葛藤や父とのすれ違い、友人との時間、そして朝鮮舞踊に向き合う姿を映し出しており、各界から届いたコメントも紹介されている。
著名人コメント(五十音順・敬称略)
相田冬二(Bleu et Rose/映画批評家)
ミクロな罪悪感には共振するのに、マクロな性善説にはなかなか手をのばせないわたしたち。
ひとりの少女の笑顔の推移が、いまもっとも大切なことを教えてくれる。
悩み傷つき抗うすべてのひとにこの映画が、どうか届きますように。
安英学(元北朝鮮代表サッカー選手/2010年W杯南アフリカ大会出場)
小学校から高校までの学生時代、現役時代や引退後に全国の朝鮮学校に足を運んだ時、どの学校にも、どの地域にも、映画「トロフィー」に出てきた人たちが確かに存在しました。
在日同胞たちの愛情、絆、葛藤、苦悩、喜び…全てがスクリーンで表現されていて、とても懐かしく温かい気持ちになりました。ぜひ一人でも多くの方々に映画を観ていただけたらと思います。
小谷実由(モデル)
守りたいものがたくさんある。友達、家族、自分。絡まってしまった糸を少しづつほどきながら、大切な心の声に耳を澄ませていくソヒのまっすぐな視線から目が離せませんでした。
草刈民代(俳優)
朝鮮舞踊がこれほど美しいものだとは。
少女たちの初々しい肢体、美しい動き、そして、朝鮮舞踊の美意識を表現しようとする強い意志。
彼女たちが無心で踊る姿は眩しく、心が洗われて清々しい気持ちになりました。
児玉美月(映画批評家)
映画に冠された「トロフィー」の意味がわかったとき、胸が震えた。自分を誇れるようになるため、他者を尊重するための、アイデンティティの探求。異なる経験と感情をもつ世代から世代へと手渡されるもの。キム・ボラ監督による『はちどり』のようなまなざしの繊細さ、世界の優しさを想起した、新たなる傑作の誕生をここに言祝ぎたい。
竹田ダニエル(ジャーナリスト)
マイノリティが抱える葛藤や日常に潜む理不尽を描きながらも、恐怖や怒りなどのセンセーショナルな感情に依存せず、その先にある「人と人が理解しようとする営み」を丁寧に映し出した作品。ぶつかり合い、傷つけ合うことがあっても、対話や内省を重ねることで少しずつ信頼を築いていく登場人物たちの姿が印象に残る。その繊細な眼差しが、この作品内の「優しい世界」を作り出す。
仲野太賀(俳優)
孫監督のまなざしだからこそ、主人公の戸惑いや心の揺れが手に取るように伝わってきた。
言葉になりきらない想いが、映画を満たしているようだった。
それでも、様々な葛藤を受容して芽生えた主人公のアイデンティティは、形あるトロフィーよりも美しく、誇らしい。
長畑宏明(雑誌「STUDY」編集長)
遠くを見ること。足元を固めること。
祖国の一員として生きること。個人として生きること。
そのすべてを割り切ることなど、到底できない。
誰もが、他人には想像しえない事情の中にいる。
ソヒは、一度は売ってしまった父親の勲章を取り戻そうと駆け回る過程で、そのことを学んでいく。
彼女もきっと、世界と生活の両方を諦めない大人になっていくのだと思う。
ハン・トンヒョン(日本映画大学教授)
社会的なプレッシャーへの異議申し立てではない。
自分にとって大切なものや周囲の人びとと、まっすぐに向き合おうともがく14歳の少女の日常と等身大の成長を繊細に描いた物語だからこそ、雄弁で説得力を持つ朝鮮舞踊の舞台――。
出てくる子どもたちも、周囲の大人たちも、優しく、愛しい。そしてリアル。
何よりも、今を生きるかれらをそっと見守るような監督の視線が優しい映画だ。
藤元明緒(映画作家)
それぞれが守りたいと願ったはずのものが、長い年月のなかで複雑に絡み合い、いつしか私たちに重くのしかかる。そのもつれた糸を、迷いながらも懸命にほどいてゆく少女の痛みと瑞々しさに胸を打たれた。分断ではなく理解へと私たちを導く、この時代にこそ必要な映画だ。
前田エマ(俳優・モデル)
20歳を超えてから、かつて朝鮮学校で学んでいたという在日の友人が、何人もできました。
彼女たちが見てきた世界に、多くのことを教えてもらったと同時に「もっと若い頃に出会っていたら、どんなだっただろう」と想像するようになりました。映画の中でソヒと未来が、私の代わりに青春してくれていました。うれしかったです。
松本壮史(映像ディレクター)
眩しいほど尊い瞬間と毒がじんわり回る感覚が同時に存在している。その独特なスリリングさが物語をズンズン前進させる。主人公のソヒは他者を知り、傷つけて傷ついて自分を知っていく。起こるほとんどが身の回りの小さな話なのに、最後はものすごく遠くまで連れて行ってくれる。映画を観る喜びが詰まった力強い一本だと思う。
山本奈衣瑠(俳優・モデル)
ゆっくりと、しっかりと、育っていくソヒ。大人が見てないうちにソヒはソヒとしてぐんぐん自分の葉を育てている。
最後、お父さんがソヒを見つめる表情にお父さんの答えも聞こえた気がして、あの一瞬は彼らにも、私たちにも大事な時間でした。スクリーンには登場人物たちの心が一瞬もこぼさず写されていて目が離せなかった。
『トロフィー』
出演:恒那 梨里花 原田花埜 禾本珠彩 千就 ちすん 笠松将 ソウジ・アライ 黒田大輔 山中崇 白川和子 YOU きたろう 市川実和子 井浦新
監督・脚本:孫明雅
音楽:Yonrimog
撮影:山崎裕
製作:紀伊宗之
プロデューサー:小出大樹
ラインプロデューサー:村岡伸一郎
企画:分福
制作プロダクション:K2 Pictures Production
製作・配給:K2 Pictures
(C)2026 K2 Pictures
https://k2pic.com/film/trophy/
7月10日(金)よりテアトル新宿ほか順次全国公開



