レバノンに住む実際のシリア難民が演じる、死と隣り合わせの日常『シリアにて』本編特別映像解禁!―8/22(土)公開

シリアにて

戦地シリアを舞台に子を持つ母が家族を守る姿を描いた劇映画『シリアにて』がいよいよ8月22日(土)より岩波ホールにてロードショーとなる。

一歩外に出ればスナイパーに狙われ、市街戦の爆撃が建物を震わせ、さらに強盗が押し入ろうとする戦地シリア。映画は、自宅アパートをシェルターに家族を守る三児の母・オーム(ヒアム・アッバス)、そこに匿ってもらう新婚の妻・ハリマ(ディアマンド・アブ・アブード)、そしてハリマの夫がスナイパーに狙撃された瞬間を目撃したメイドのデルハン(ジョリエット・ナウィス)の三人を主軸に、戦地の過酷な現状をアパートの一室、それぞれ子を持つ三人の母の目線で描かれる。

実際にシリアを取材した綿井健陽氏らジャーナリストたちから、とてもリアルな内容との評価を受ける本作。なんと主要な三人以外のキャストは、全てレバノンに住む実際のシリア難民が演じているのだ。

そして今週末の公開目前となり、このたび本編映像の一部が解禁となった

爆撃から身を守るためにキッチンに集まる一家。恐怖を紛らわすために誰からともなく歌が歌われる。ハリマの夫が撃たれたことを伝えることをオームに禁止されているデルハニは、秘密の重さといたたまれなさから席を立つ。そこに上階から物騒な話し声が聞こえてくる。複数人でアパートの各部屋を確認している、強盗だ。果たしていつまで持ちこたえられるのか…。

第72回カンヌ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した映画『娘は戦場で生まれた』で世界の注目を集めた、未だ解決をみない戦地シリアの24時間を、舞台をアパートの一室に限定し、武器を一切持たない一般市民の女性の視点で捉えた緊迫のフィクション・ドラマ。

暴力を視覚化した衝撃描写であおる手法は避け、聴こえてくる音と住人の反応によって恐怖を伝える演出は、戦地に実際に立ち会っているかのような究極の臨場感を醸し出す。戦争や兵器の映像を出さずとも、住人の心理的描写のみで、血も凍るような緊迫したサスペンス性を獲得した本作は、現在進行形のシリアの悲劇を世界に伝える役割を果たし、第67回ベルリン国際映画祭で見事、観客賞を受賞。その後も数々の映画祭を席巻し18冠を獲得。

シリアにて

監督・脚本を務めるのは、ベルギーの社会派監督フィリップ・ヴァン・レウ。ルワンダ紛争での大量虐殺を描いたデビュー作『The Day God Walked Away』(09)に続く長編映画となる本作は、2012年に友人の父親が、シリア北部の都市アレッポの住居から3週間出られずにいたという話を聞いたことから、危機感を募らせ早急に映画化。脚本の信憑性を増すため、シリア難民やシリア系の映画人による検証を重ね、現地の緊迫した家族の物語を、リアルに描き出した。

圧倒的な存在感、凛とした立ち居振る舞いで、死と隣り合わせの日常におびえる家族を強く導く女性主人を演じるのは、イスラエル生まれのパレスチナ人として知られる名女優ヒアム・アッバス。『シリアの花嫁』(04)、『ガザの美容室』(18)などの多数のイスラエル、パレスチナにまつわる映画に出演しつつ、『ミュンヘン』(05)、『ブレードランナー 2049』(17)などのハリウッド映画まで世界的に活躍している。

隣人ハリマ役は、『判決、ふたつの希望』(18)で、父親に敵対する弁護士役を熱演し賞賛を浴びたディアマンド・アブ・アブード。ヒアム・アッバスに勝るとも劣らない迫真の演技で、カイロ国際映画祭では主演女優賞を獲得した。

シリアにて

シリアにて

受賞・ノミネート歴

・ベルリン国際映画祭 パノラマ部門 観客賞受賞
・ベルギー・アカデミー賞(マグリット映画賞)作品賞、監督賞、脚色賞、撮影賞、録音賞、音楽賞受賞 *最多6部門
・フランドル国際映画祭 2017 観客賞受賞
・Label Europa Cinemas パノラマ部門 観客賞第1席受賞
・セビリア・ヨーロッパ映画祭 2017 観客大賞
・CPH:PIX 2017 観客賞受賞
・テッサロニキ国際映画祭 2017 観客賞受賞
・ヴァレッタ映画祭 2017 監督賞
・ウォータルーヒストリカル映画祭 2017 作品賞
・シアトル国際映画祭 2017 監督賞
・Eurimages賞受賞
・カイロ国際映画祭 女優賞(ディアマンド・アブ・アブード)
・フランス・リュミエール 2018 ベストフィルム賞受賞
・東京国際映画祭 2017 ワールド・フォーカス部門出品
・ケベック・シティー映画祭 2017 出品
・トロント国際映画祭 2017 CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門出品

シリアにて

シリアにて

ストーリー
シリアの首都ダマスカスのアパートに住む女主人のオーム。未だ内戦の終息は見えず、アサド政権と反体制派、そしてISの対立が続いていたが、ロシアの軍事介入により、アサド政権が力を回復しつつある。そんな中、戦地に赴いた夫の留守を預かるオームは、家族と共にアパートの一室にこもり、そこに身を寄せた隣人で、幼子を持つハリマ夫婦とともに、何とか生活を続けている。
ある日、ハリマの夫がレバノンの首都ベイルートに脱出するルートを見つけ、今夜こそ逃げようとハリマに計画を話していた。脱出する手続きをするために、夫はアパートを出て行くが、外に出た途端スナイパーに撃たれ、駐車場の端で倒れてしまう。一部始終を目撃していたメイドのデルハンは慌ててオームに知らせるが、外に出るのはあまりにも危険である。助けに行くことはできない。デルハンはハリマに夫が撃たれたことを伝えようとするが、オームは彼女が狙撃されることを恐れて、デルハンを押しとどめる。ハリマにはまだ生まれたばかりの赤ん坊がいる。彼女を守るためにオームは苦渋の選択をするのだが…。

シリアにて作品タイトル:『シリアにて』
出演:ヒアム・アッバス、ディアマンド・アブ・アブード、ジョリエット・ナウィス、モーセン・アッバス、モスタファ・アルカール、アリッサル・カガデュ、ニナル・ハラビ、ムハマッド・ジハド・セレイク
監督・脚本:フィリップ・ヴァン・レウ
撮影:ヴィルジニー・スルデー
編集:グラディス・ジュジュ
音楽:ジャン=リュック・ファシャン
2017/ベルギー・フランス・レバノン/86分/カラー/アラビア語/DCP
原題:Insyriated(英題/In Syria)
配給:ブロードウェイ

 

公式サイト:https://in-syria.net-broadway.com/
コピーライト:(c) Altitude100 – Liaison Cinématographique – Minds Meet – Né à Beyrouth Films

8月22日(土)より岩波ホールにてロードショー!ほか全国順次

 

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