『草の響き』瀬々敬久、四方田犬彦、カツセマサヒコ、佐々木敦ほか各界の著名人より感嘆と賞賛のコメントが到着!

草の響き

東出昌大が主演を務める『草の響き』が10月8日(金)より公開される。この度、各界の署名人よりコメントが到着した

本作は、常に評価の高い作品を産み出してきた函館の映画館シネマアイリス製作佐藤泰志原作、五度目の映画化作品。制作年の2020年が佐藤泰志の没後30年に当たることから、その記念作品として製作。同時に、函館シネマアイリスの25周年記念作品にもなっている。

心に失調をきたし、妻とふたりで故郷函館へ戻ってきた和雄。病院の精神科を訪れた彼は、医師に勧められるまま、治療のため街を走り始める。雨の日も、真夏の日も、ひたすら同じ道を走り、記録をつける。そのくりかえしのなかで、和雄の心はやがて平穏を見出していく。そんななか、彼は路上で出会った若者たちとふしぎな交流を持ち始めるが―。

心を病み、ランニングに没頭する和雄役を演じたのは、『寝ても覚めても』(18)以来三年ぶりの主演作となる東出昌大。常に危うい雰囲気を漂わせながら、走ることで徐々に再生していく男の変化を細やかな身体表現で体現した。慣れない土地で不安に苛まれながらも夫を理解しようと努める妻・純子役は、『先生、私の隣に座っていただけませんか?』(21)、「君は永遠にそいつらより若い」(21)、『マイ・ダディ』(21)など出演作が続く奈緒。ふたりの俳優の繊細な演技によって、原作にはなかった夫婦の崩壊と再スタートというテーマが立ち上がった。監督は『空の瞳とカタツムリ』(18)、『なにもこわいことはない』(13)の斎藤久志

この度、函館の澄んだ空気を受けながら、回復する為に走り続ける男の物語に、 各界の署名人より静かなる賞賛と感動のコメントが到着。そして、佐藤泰志の長女、函館シネマアイリスの館長であり、企画・製作・プロデューサーからもコメントが寄せられた。以下、コメントをご紹介する。

草の響き

コメント(敬称略/順不同)

瀬々敬久 – 映画監督
斉藤久志 VS 東出昌大。斉藤さんは今回も容赦がない。観る人にこびない。演者にもへつらわない。孤立無援を良しとし、純粋に映画に向かおうとする。一方、東出くんは小器用にこなさない。彼が望むのはいつも正直であること。窮屈そうにしてでも、背中を丸めてでも生きることを選ぶ。
繊細と漢気がぶつかりあいながら、二人に共通するのはそういう生き方だ。そういえば、それが佐藤泰志の世界だ。

四方田犬彦 – 映画・文学研究
石もて追われてきたのではない。生き延びるためにここに留まり、走っているのだ。走っている者に憐憫の言葉はいらない。ただいっしょに走るだけ。
次々と後方に退いていく函館の風景。草むらよ、海よ。きみはただその中で、並んで走っているだけでいいんだ。

カツセマサヒコ – ライター・小説家
逃げるようにひた走る主人公の姿が何かを追いかけ、追い抜いているようにすら見えた。
ひとの弱さや脆さを描いていながら、時折覗く確かな力強さや温もりこそ光って見えた。

佐々木敦 – 思考家
走る彼らを、映画はしかし同じ速度ではなく、どこか超然とした距離感で見守り続ける。
だが思いがけない結末が近づくにつれて、カメラは彼と彼女にフォーカスし、その顔を、その表情をつぶさに捉える。
そこに何が映っているか、それが本作の核心だ。

荒木啓子 – PFFディレクター
不意に訪れる絶望。その処し方をわたしたちは知らない。
誰も悪くない。ぜんぜん悪くない。
純子に、和雄に、そう伝えたい。
斉藤久志が巨匠の風格をみせ、奈緒と東出が愛犬ニコとともに函館を生きる。震えた。

MIYAMU – 失恋バー オーナー
観た後で気付きました。

誰かを浮かべて
幸せでいてほしいと
願うことのできる人生は
幸せなことだと。

函館の風は冷んやりと吹くけれども
誰にも等しく優しいんですね。
私も函館の風を浴びて走り出したい!

寺井達哉 – 歌人・文芸評論
どうやって生きたらいいのか、突然わからなくなることがある。
でも実は、今日まで生きてきたということが、そのまま、明日を生きる理由になるのだ。
函館の光と風、汗と涙が教えてくれた。ありがとう、本当に。

川口敦子 – 映画批評家
「自分の内側にある沈黙に突き進んでいる」(原作)との快感に貫かれて走る彼と、孤りと孤りであることで対峙する(原作にはいない)妻。
その距離。愛。海が波立つ。
引きの画が生きている映画らしい映画を久々に見た。

宇田川幸洋 – 映画評論家
斉藤久志監督と東出昌大の科学反応までの意外なまでのよさ!
走る。東出が走る。映画が静かにはげしく呼吸する、
奈緒が遠く見つめる。映画が静かに、はてしなく呼吸する。

児玉美月 – 映画執筆家
故郷である北海道にいた頃、キツネに出会うたび「触れてはいけないよ」と言われた。人もまた、触れてはいけないところがある。わたしたちはいちばん大切なところだけには触れられないまま、何度も出会い直すのだ。

相田冬二 – Bleu et Rose/映画批評家
たいせつなものは、いつも遠くにある。
寄る辺なきたたずまいは、手を握りたくなる震え。
この東出昌大、黙って胸に仕舞っておこう。
この映画、そっと秘密にしておこう。
こころの彼方を護るために。

めぐみあゆ – ミュージシャン・翻訳家
かれらの痛みをわたしは理解しないだろう。
だけどともに在る、どうしようもなく。
息つぎをするように、だれもかれも走る。
走って、このからだだけのものになって、あなたはいったいどこへ帰るのか。

鶴岡慧子 – 映画監督・脚本家
草の響きは、レールから転がり落ちる恐怖に追いかけられ続け、けれど自分らしい人生を歩めと言われ、寄る辺とする思想や憧れも持てないままに青春が過ぎてしまった、私たちの世代の悲しみの、小さな小さな叫び。

二井梓緒 – ライター
人もまばらな静かな街。乾いた空気でさえも画面から伝わってくる。
そこで風を切る気持ち良さを、私は知っている。
そう、思い出そう。その風を、草の匂いを。

小暮朝海 – 佐藤泰志 長女
抗えない何かに必死で抵抗する主人公の姿に、父を想ってただただ涙が出ました。
人が静かに狂っていく様は原作よりもリアルで、今も私の全身に深く染み込んでいます。
彰がスケードボードで坂を下るシーンは清々しく、この瞬間だけは、悪いことは何もないのだと思えました。
生きてさえいれば、ある日突然、霧の晴れたような時が訪れるのかも知れない。
映画の和雄の走る先も、どうか明るく照らされている事を、願ってやみません。

菅原和博 – 企画・製作・プロデューサー
クレインから出版された「佐藤泰志作品集」をきっかけに函館市民発信映画として作られた『海炭市叙景』。
絶版だった佐藤の作品はこの映画をきっかけに、すべて文庫本として復刊された。
それで終わるはずだったのだが、気づけば本作で5作目の映画化となった。
移り変わる函館の風景と佐藤泰志の魂がスクリーン上で邂逅する。
「病の時代」にひとつの光になることを願って。

作品タイトル:『草の響き』
出演:東出昌大 奈緒 大東駿介 Kaya 林裕太 三根有葵 利重剛 クノ真季子/室井滋
原作:佐藤泰志 「草の響き」(「きみの鳥はうたえる」所収/河出文庫刊)
監督:斎藤久志
脚本:加瀬仁美
撮影:石井勲 美術:原田恭明 照明:大坂章夫 録音:矢野正人 音楽:佐藤洋介 ピアノ:村山☆潤 音楽制作:オフィスオーガスタ 助監督:齊藤勇起 装飾:森公美 衣装:小里幸子 白石妙子 ヘアメイク:風間啓子 編集:岡田久美 音響効果:伊藤瑞樹 制作担当:中島正志 プロデューサー:鈴木ゆたか プロダクション協力:リクリ 協力:函館市 特別協力:佐藤喜美子 河出書房新社 題字:佐藤泰志 アソシエイトプロデューサー:寺尾修一
製作:有限会社アイリス
企画・製作・プロデュース:菅原和博
配給:コピアポア・フィルム 函館シネマアイリス

公式サイト:www.kusanohibiki.com
コピーライト:(c) 2021 HAKODATE CINEMA IRIS

10月8日(金)より新宿武蔵野館・ヒューマントラストシネマ有楽町/渋谷ほか全国順次公開!

 

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