「大林作品を愛して下さったすべての人に」ー大林宣彦氏の訃報に際して、妻・大林恭子プロデューサーのコメント全文

最新作の映画『海辺の映画館-キネマの玉手箱』 の公開を控えていた映画作家・大林宣彦氏が、2020年4月10日(金)に逝去され、株式会社PSC代表取締役であり、監督作品のプロデューサーを務めてこられた、ご夫人の大林恭子氏よりコメントが到着した。

大林恭子氏 コメント

<報道の皆様、たいへんお世話になりました。>

この度、監督は、次回作のロケハンに出かけました。連日連夜、映画の夢の中、撮影現場にいるらしい監督は元気な声で「ヨーイ、スタート。カット。オーケー。皆、お疲れさん、ありがとう」。毎晩その楽しそうな声に私は目を覚まし、「お疲れさま、ありがとう」と答えていました。数日前、真夜中に講演らしきお話をしていました。そんな中「岩井君、手塚君、犬童君、塚本君たちが映画をつないで平和な世の中に……」と、とぎれとぎれ聞こえてくる言葉、いつもと変わらない最後の言葉「ありがとう」。そして、監督が繰り返した「皆さん、ありがとう」を監督の遺言としてお伝え致します。

私との63年間の日々は、文学と音楽と映画の日々。いつも監督の口癖は「眠るのは死んでから充分眠れるのだから眠るなんて勿体ない」と本当に眠りませんでした。今頃、ロケハンの途中の天国村で、黒澤明監督や本多猪四郎監督、立川談志さん、高畑勲監督、和田誠さんにお会いして、映画談義が尽きることなく、やっぱり眠っていないのではと思います。

まだまだあふれる才能の持ち主、彼にあと三倍の映画の時間をあげたかった。大林作品を愛して下さったすべての人に監督の「ありがとう」をお伝えしたく存じます。

「ありがとう」の言葉に、毎晩、私からも監督に「ありがとう、愛してる」と真夜中の涙。
すると「お休み……」と返事が…。今頃ロケハンで未知なる道を見つけてくれていることと思います。

2020年4月14日 大林恭子

 

 

映画は未来を変えられる――
大林宣彦監督が新しい世代へ託すメッセージ

ストーリー
尾道の海辺にある唯一の映画館「瀬戸内キネマ」が閉館を迎えた。最終日は、「日本の戦争映画大特集」のオールナイト興行。そこで映画を観ていた若者3人は、突然劇場を襲った稲妻の閃光に包まれ、スクリーンの世界にタイムリープする。戊辰戦争、日中戦争、沖縄戦、そして原爆投下前夜の広島へ――。そこで出会ったのは移動劇団「桜隊」だった。「桜隊」を救うため、3人の男たちは運命を変えようと奔走するのだが……!?

作品タイトル:『海辺の映画館-キネマの玉手箱』
出演:厚木拓郎 細山田隆人 細田善彦 吉田 玲 成海璃子 山崎紘菜 常盤貴子
監督:大林宣彦
製作:『海辺の映画館-キネマの玉手箱』製作委員会(吉本興業/TANAKA/バップ/アミューズメントメディア総合学院)
製作協力:大林恭子
エグゼクティブ・プロデューサー:奥山和由
企画プロデューサー:鍋島壽夫
脚本・編集:大林宣彦
脚本:内藤忠司/小中和哉
音楽:山下康介
撮影監督・編集・合成:三本木久城
VFX:塚元陽大
美術監督:竹内公一
照明:西表燈光
録音:内田 誠
整音:山本逸美
製作プロダクション:PSC
配給:アスミック・エース

公式サイト:umibenoeigakan.jp
公式Twitter:@umibenoeigakan #海辺の映画館
コピーライト:(c)2020「海辺の映画館-キネマの玉手箱」製作委員会/PSC

近日公開

 

関連記事:
『海辺の映画館-キネマの玉手箱』の公開延期が決定 ―大林宣彦監督の最新作
『海辺の映画館-キネマの玉手箱』稲垣吾郎が大久保利通、武田鉄矢が“最後の龍馬”!?薩長連合集結カット解禁&コメント到着
『海辺の映画館-キネマの玉手箱』成海璃子、山崎紘菜、常盤貴子らが歌って踊るミュージカルシーン本編映像&コメント到着!
『海辺の映画館-キネマの玉手箱』大林宣彦監督が見初めた“令和の尾道ヒロイン”吉田玲とは?尾道でのメイキング写真解禁影
大林宣彦監督最新作『海辺の映画館-キネマの玉手箱』4月10日(金)公開決定&本予告初解禁!20年振りに故郷「尾道」で撮影
第32回東京国際映画祭、永年の国内外を含めた映画界への貢献を称え仲代達矢氏と大林宣彦監督に【特別功労賞】授与決定!
「第32回東京国際映画祭」大林宣彦監督特集が決定!最新作『海辺の映画館-キネマの玉手箱』ワールドプレミア上映も

 

↑上に戻る