【レポート】長久監督・高橋信一プロデューサーが登壇!映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』日本外国特派員協会記者会見

2017年、第33回サンダンス映画祭(ショートフィルム部門)にて、監督・長久允が日本映画初のグランプリを獲得、本年度のサンダンス映画祭からの招待を受け、ワールドプレミア上映をした結果、日本映画初となる審査員特別賞オリジナリティ賞を受賞。さらに2月に開催された第69回ベルリン国際映画祭にて、ジェネレーション14plus部門のオープニング作品として選出され、準グランプリにあたるスペシャル・メンション賞を日本映画で初めて受賞する快挙を果たした映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』(6月14日より全国公開)。

海外映画祭を立て続けに二冠した本作は、第43回香港国際映画祭へ正式招待を経て、北米・サンダンス、ヨーロッパ・ベルリンからアジア大陸までを席巻。続々と海外映画祭からのオファーが後を絶たず、世界から熱視線を浴び快進撃を続ける本作の監督を務める長久允さん、プロデューサーの高橋信一さんが、日本外国特派員協会にて記者会見を行った。

大きな拍手に迎えられた二人に対して、まずはMCから「とてもカット数が多いが、何カットで編集時間はどれくらいか」と聞かれ「120分で180シーンほどあったので、合計1800カットくらいありました。」と、海外記者に向けてゆっくりと回答。

続いて「劇中では様々なものや方法でコミュニケーションをとるシーンがあったが、ゾンビは直接コミュニケーションが取れなくなった人間のモチーフとして描いているのか。」という具体的な作品の中身について掘り下げられた質問には「ゾンビはいろいろな側面で描いています。その一つはおっしゃる通りコミュニケーションができない存在としての側面は大きく描いています。そして人間もゾンビの気持ちは分からない、という点をキーポイントとしています。一方ゾンビの方にも感情がある可能性があるが、人間の気持ちが分からない。それは決してゾンビが悪いわけではなく、それはこの人間世界で“私とあなた”にも発生しうることで、この作品の中においては“子供と大人”の間に発生していることだと思っています。そして年齢設定ですが、観客の共感を得ようとはあまり思っておらず、子供ならではの視点のフラットさを描きたかったんです。」と回答。

さらに「日本では昔から“無感動”無関心“なことに対して批判的な風潮が特有であり、それを描いた本作の海外映画祭での反応はいかがでしたか」という日本と海外の反応の違いという本作特有の質問に対しては「あくまで傾向ですが、日本では、そのような無関心さを責められる経験が誰しもあるため、共感して頂く人が多かったです。一方海外では、共感ももちろんありますが、その考え方をだんだん理解していく、という物語として観て頂く方も多かったと思います。このサバイブスタイルこそ日本的でクールだ、という意見まで頂けました。」と監督が海外映画祭で実際に肌で体感した感触を述べた。

続いてプロデューサーの高橋信一さんへ「日活が本作のプロジェクトへ参画したのはいつからどのようにして始動したのか」という質問に「プロジェクトが始まる最初からです。制作が進むにつれて、前作のサンダンス映画祭グランプリからの初長編作品であり、もう一度サンダンスでの受賞を目標に、監督の才能を最大限に引き出すのがプロデューサーの仕事だ!と思って動き出したのが始まりでした」と企画の始まりを語った。

質問は監督に戻り「この映画における音楽の位置づけは?」には「まず僕が本当はミュージシャンになりたくて、音楽をずっとやっていました。その経験を通して、音楽というものは成り行きで始めたとしても、自分で気づかなかった感情だったり衝動が形にならざるを得なくて、それを自分で確かめることが出来たりとか、他者から見て取れたり証明になったりするものではないかなと思っていますので、この物語の真ん中の部分にバンドを始めるという要素を入れています。もちろんその他の要素もあるんですけど。あと音に関しては、僕はこの物語のセリフやSEも全て音として捉えていて、120分のオペラや組曲を作る気持ちでシナリオを書きました。音が一番絵よりもスピード感が早く人のエモーショナルな部分を刺激するのではないかなと考えています。」と物語の重要な“音楽”についての想いを語った。

質問は続き、「監督がこの映画にかける思い、なぜこの映画を製作しようと思ったのか」には「物語を書いたきっかけは、2年前に育休中にロシアで「青い鯨」という集団がいて、SNSやゲームでティーンエイジャーを自殺に追い込んでしまうというニュースを知り、僕はそれにショックを受けて、何か絶望を感じた時に視野を狭く持ってしまったりしてしまうけど、それから逃げる為に…例えば僕の経験でいうとユーモアだったりニヒリズムだったり客観的な視点だったりシュルレアリスムだったり、そういうものが絶望から逃避させてくれるんじゃないかなと思っていたので、何か絶望的な状態に追い込まれてもそういうものを持ち続けている者たちの物語を作りたいなと思ったのが始まりです。」と本作のきっかけとなったセンセーショナルな事件について赤裸々に語る場面も。

最後は高橋プロデューサーへの質問で「元々海外の観客にも見せることを想定して製作されたのか、想定していたのであればそれを意識して工夫した点などあれば教えて下さい。」という質問について「プロデューサーとしてサンダンスへもう一度長久監督のフューチャー・フィルム第1作として上映をする、賞を目指すということを前提として作っています。しかしながら前作の『そうして私たちはプールに金魚を、』の作品自体は僕は関わっていないのですが、サンダンスでグランプリを受賞した時の評価の中で、「これは私たちの物語でもある」ということをアメリカの学生から共感を持たれていたと聞きました。これはある意味長久さんが描くテーマが普遍的なテーマであるのかなと思いました。今回の作品でも子どもから見た大人との距離感のようなことを含めて、非常に海外での映画祭からの評価も得たうえで、テーマへの共感性は非常に高かったので、今回監督の作家性が出るような形で、監督がやりたいことを出来る限り詰め込むことがプロデューサーサイドの仕事かなと思っていました。それが実際評価されて今回受賞したのかなと、サンダンスドリームってこういうことなんだなと思えるくらい、大きなスタジオやプロダクションなど色んなところから問い合わせをいただいたり、1本の作品が次の作品へ繋がっていくような予感も感じさせる出来事になったので、海外に向けてというよりは、監督の個性が一つ世界に通じるためのものになったんじゃないかなという気はします。」と回答。

長久監督は「評価されるために何か工夫したということはなくて、前作の『そうして私たちはプールに金魚を、』の時に僕が信じているものをそのまま全力で手を抜かずにやったものが評価されたので、同じように自分が信じるものを手を抜かずに死ぬ気で作った、というだけです。」と力強く述べ、会見は終了した。

二人の考えの同調の深い部分が垣間見え、本作のクオリティの高さの理由の一つがここにあるように感じさせられた。世界中の映画祭からの大注目の本作、「令和」新時代を迎えた日本映画界を担う映像作家が世界の記者に向けて登壇する貴重な会見となり、本作のさらなる躍進が楽しみだ。

 

 

作品タイトル:『ウィーアーリトルゾンビーズ』
出演:二宮慶多 水野哲志 奥村門土 中島セナ
佐々木蔵之介 工藤夕貴 池松壮亮 初音映莉子
村上淳 西田尚美 佐野史郎 菊地凛子 永瀬正敏
脚本・監督:長久 允
リトルゾンビーズ音楽:LOVE SPREAD
製作幹事:電通
配給:日活
制作プロダクション:ROBOT
特別協賛:フェイスマスクルルルン/ グライド・エンタープライズ

公式サイト:https://littlezombies.jp
Twitter:@littlezombies_m
instagram:@little.zombies.movie
コピーライト:(c)2019“WE ARE LITTLE ZOMBIES”FILM PARTNERS(電通/日活/ソニー・ミュージックエンタテインメント/パルコ/ ROBOT)

6月14日(金)、全国ロードショー


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