『旅立ちのラストダンス』香港アカデミー賞・最優秀主演女優賞 ミシェル・ワイ、役作りの裏側が明らかに

香港歴代興行収入記録を塗り替え、社会現象を巻き起こした『旅立ちのラストダンス』より、本作で第43回香港電影金像奨(香港アカデミー賞)の最優秀主演女優賞に輝いたミシェル・ワイの、役作りの裏側が明らかになった。

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香港映画界の伝説的喜劇王マイケル・ホイと、香港を代表するスタンダップ・コメディアンで俳優のダヨ・ウォンの32年ぶりの共演で話題を呼び、香港映画歴代最高興行収入記録を樹立した本作。「家族」「伝統」「死生観」という普遍的なテーマを丁寧に描き、若者からシニア層まで幅広い世代の共感を呼び、批評家からも「2024~25年において最も力強い香港映画」と絶賛された。
香港のアカデミー賞とも称される第43回香港電影金像奨では、過去最多タイとなる18部門ノミネート、主要5部門受賞(主演女優賞、助演男優賞ほか)を果たした。

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ミシェル・ワイが演じるのは、代々続く葬儀道士の家に生まれながら、「女は穢れている」という古いしきたりにより家業を継ぐことを許されない救急隊員のマンユッ。彼女は本作の要となる道教の葬儀の儀式「破地獄」と、救急隊員としての心臓マッサージの技巧を、撮影の1年前から学び始めていたという。父とは敢えて反対の、命の危機に晒された者を救う仕事に就いたマンユッの生き方を、ミシェルは長期間の猛練習の中で次第に自分の中で落とし込んでいった。

また、撮影現場ではリアリティを追求するがゆえの急な演出変更も行われた。ミシェル演じるマンユッが、実の母親のように慕う食堂の店主・リン(エレイン・ジン)を救命するため、必死に心臓マッサージを施す緊迫のシーン。
現場に立ち会っていた本物の救急隊員から「実際、こういう場面では人工呼吸を行う」というアドバイスを受けた監督とミシェルは、急遽エレインに「人工呼吸のシーンを加えてもいいか」と打診した。するとエレインは即答でOKを出し、ミシェルは安心してこの重要な救命シーンの撮影に臨むことができたという。

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この緊迫したシーンを演じ切ったエレインは、自身のクランクアップ時に感極まって涙を流した。彼女は「私はもう69歳で、自分に残された時間がどれほどあるか分かりません。でも俳優の仕事を続けて小さな役でも演じて、後輩の皆さんの助けになれば、それはとても価値のあることだと思います」と語り、現場に深い感動をもたらした。

ミシェルの身体を張った壮絶な役作りは、単なる技術の習得を超え、古いしきたりの中で葛藤する孤独な女性の魂をスクリーンに見事に焼き付けた。その圧倒的なリアリティと熱演は、世代を超えて香港中の観客の心を打ち、劇場では涙して立ち尽くす人があふれるほどの社会現象を巻き起こした。

『旅立ちのラストダンス』は、5月8日より公開。

ストーリー
ウエディングプランナーのトウサン(ダヨ・ウォン)は、コロナ禍で多額の負債を抱え、葬儀業者への転身を余儀なくされる。しかし結婚式と葬式は大きく違い、トウサンは様々な困難に直面する。最大の難関は、共に葬儀を取り仕切る「葬儀道士」であるマン師匠(マイケル・ホイ)に認められることだった。利益の追求が第一のトウサンと、伝統を重んじるマン師匠は、考え方の違いから絶えず衝突し、2人の関係は最悪に。だがマン師匠と娘・マンユッ(ミシェル・ワイ)、その一家と関わるうちに、マン師匠へのわだかまりは徐々に消えていく。そしてトウサンは次第に、マン師匠が葬儀で行う儀式「破地獄」の真の意味に気づいていくのだった。

*「破地獄(はじごく)」とは
道教の伝統的な葬儀儀式。儀式では道士が独特な歩行法を使い、地獄に通じ、死者を地獄から導き、死者が執着を捨てて迷いから目覚め、二度と地獄の苦しみを受けずに済むようにする。また、それにより遺族にも安らぎと慰めをもたらす。

『旅立ちのラストダンス』
出演:ダヨ・ウォン、マイケル・ホイ、ミシェル・ワイ、チュー・パクホン、キャサリン・チャウ
監督:アンセルム・チャン
2024|香港|広東語|140分|カラー|シネマスコープ|5.1ch|原題:破・地獄(The Last Dance)|日本語字幕翻訳:鈴木真理子|字幕協力:大阪アジアン映画祭|提供:ツイン、Hulu|映倫:G
配給:ツイン
※本上映はディレクターズカット版での上映となります。
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lastdance-movie.com

5月8日(金) TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

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