「アニエス・ヴァルダ傑作セレクション」7月18日より開催!ヴァルダ監督の長女ロザリー・ヴァルダ氏のメッセージ動画到着

フランス映画界を代表する女性監督アニエス・ヴァルダの作品を特集する「アニエス・ヴァルダ傑作セレクション」が岩波ホールにて7月18日(土)より開催される
上映作品は、『落穂拾い』(00)、『ダゲール街の人々』(75)、『アニエスによるヴァルダ』(19)、『ジャック・ドゥミの少年期』(91)の4作品だ。

このたび、再公開に寄せて、ヴァルダ監督の長女で、自らもヴァルダが遺した製作会社の代表を務め、映画製作、配給に携わるロザリー・ヴァルダからメッセージ動画が届いた
撮影場所は、今回の再公開の一作『ダゲール街の人々』で馴染み深いパリ14区のダゲール街86番地にある、ヴァルダ監督の自宅でもあった製作会社シネタマリスだ。

今回上映される4作品についてメッセージを寄せたロザリー・ヴァルダ。『落穂拾い』について、「美しく心温まるこの作品は、捨てられた品や食べ物を再利用する収集家の世界を学びます。自身も拾うことが好きなアニエスだからこそ描けた、飾らない表現で優しく描いたドキュメンタリーです」と語っている。

ロザリー・ヴァルダ

日本では18年ぶりの再公開となる『落穂拾い』(‘00)は、ヨーロッパ映画賞最優秀ドキュメンタリー賞や、フランス映画批評家協会賞の最優秀映画批評家賞を受賞するなど、ドキュメンタリー映画作家としてのヴァルダ監督の代表作の一本で、監督本人が、“ものを拾う人々”に出会うため、フランス中を旅するドキュメンタリーだ。

パリの市場で通路に落ちているものを拾う人々を偶然見かけ、いろいろな市場で人々を観察しているうち、ミレーの名画「落穂拾い」を連想し、「田舎ではまだ(収穫が終わった後に、採り損ねた穂を拾う)“落穂拾い”をしているのだろうか?」という思いに駆られ、ヴァルダ自身が軽量カメラをもって旅することになる一種のロードムービー。行く先々で人々に出会い、彼らが語る人生と暮らしの知恵に耳を傾ける。

20年前の作品ながら食糧の大量廃棄、現代の物質文明に警鐘を鳴らすテーマも含んでいた本作だが、コロナ禍を経験した今だからこそ、観る者に新たな疑問や問題点を提示し、解決方法を示唆してくれる作品と言える。

ドキュメンタリー映画としての素晴らしさのみならず、今改めて気づくその意義深さから、配給会社であるザジフィルムズが今回のために12年ぶりに再契約をし、上映の運びとなった。

アニエス・ヴァルダ
1928年5月30日、ベルギー生まれ。戦火を逃れ南仏セートに移住し、思春期を過ごす。その後パリで学び、職業写真家として活躍。54年、アラン・レネの勧めにより『ラ・ポワント・クールト』を26歳の若さで初監督。1961年に『5時から7時までのクレオ』を発表した翌年、ジャック・ドゥミと結婚、90年ドゥミの死去まで添い遂げた。『幸福』(64)でベルリン国際映画祭銀熊賞を、『冬の旅』(85)でヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。仏人アーティストJRとの共同監督作『顔たち、ところどころ』(17)ではカンヌ国際映画祭ルイユ・ドール(最優秀ドキュメンタリー賞)を受賞した。15年にカンヌ国際映画祭名誉パルムドールを、17年にアカデミー賞名誉賞を受賞。2019年3月29日、パリの自宅にて死去。享年90歳。

「アニエス・ヴァルダ傑作セレクション」上映作品

『落穂拾い』
ある日、ヴァルダ監督はパリの市場で、道路に落ちているものを拾う人たちを見ていて映画の着想を得た。その後、いろいろな市場で人々の拾い集める動作を観察しているうちにミレーの名画『落穂拾い』を連想し、田舎ではまだ落穂拾いをしているのだろうかという疑問にかられた。こうして、ハンディカメラを手に、フランス各地の“現代の落穂拾い”を探す、彼女の旅は始まる。

(c) ciné tamaris 2000

監督・脚本・語り:アニエス・ヴァルダ|撮影:ディディエ・ルジェ、ステファーヌ・クロズ|編集:アニエス・ヴァルダ、ロラン・ピノ2000年/フランス/82分/カラー/原題:Les Glaneurs et la Glaneuse

 


『アニエスによるヴァルダ』*遺作
長編劇映画監督デビュー作『ラ・ポワント・クールト』から、世界各国の数々の映画賞に輝いた前作『顔たち、ところどころ』まで、ヴァルダが60余年の自身のキャリアを振り返る、集大成的作品。飽くことのない好奇心と情熱をもって、死の直前まで創作活動を止めることのなかった彼女の、これは遺言状ではなく未来へのメッセージ。<第69回ベルリン国際映画祭正式出品作品>

(c) 2019 Cine Tamaris –Arte France –HBB26 –Scarlett Production –MK2 films

監督:アニエス・ヴァルダ|製作:ロザリー・ヴァルダ|2019年/フランス/119分/カラー/5.1ch/1:1.85/原題:Varda par Agnès|日本語字幕:井村千瑞

 


『ダゲール街の人々』
自身が50年以上居を構えていたパリ14区、モンパルナスの一角にあるダゲール通り。“銀板写真”を発明した19世紀の発明家の名を冠した通りには肉屋、香水屋…、様々な商店が立ち並ぶ。その下町の風景をこよなく愛したヴァルダが75年に完成させたドキュメンタリー作家としての代表作。人間に対する温かな眼差しと冷徹な観察眼を併せ持ったヴァルダの真骨頂。

(c) 1994 AGNES VARDA ET ENFANTS

監督:アニエス・ヴァルダ|撮影:ウィリアム・ルプシャンスキー、ヌーリス・アヴィヴ|1975年/フランス/79分/カラー/モノラル/スタンダード/原題:Daguerréotypes|日本語字幕:横井和子

 


『ジャック・ドゥミの少年期』
「わたしは残しておきたい。輝くばかりのジャックの少年期と夢見るようなあのまなざしを。」“ジャコ”は友人から映写機を借りたことで、映画に夢中になっていく。ある日、街の映画館に「白雪姫」がやってきた。少年の日の夢だけを信じて貫いたひとりの男が、死を目前にして目の前にいる…。生涯の伴侶であるドゥミの創造の源泉を、最愛の妻ヴァルダがフィルムに焼き付けた優しく切ない名作。

(c) ciné tamaris 1990

監督・脚本:アニエス・ヴァルダ出演:ジャック・ドゥミ、フィリップ・マロン、ローラン・モニエ1991年/フランス/カラー&モノクロ/120分/ビスタ
原題:Jacquot de Nantes

 

岩波ホールHP:https://www.iwanami-hall.com/
配給:ザジフィルムズ

アニエス・ヴァルダ傑作セレクション
7月18日(土)より、岩波ホールにて3週間限定公開

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