【レポート】ヴィム・ヴェンダース監督×役所広司主演『PERFECT DAYS』第76回カンヌ国際映画祭で公式上映!

PERFECT DAYS
(C)Kazuko Wakayama

ヴィム・ヴェンダース監督が新たに手がけた長編映画で、役所広司が主演を務める『PERFECT DAYS』(原題/日本公開未定)が第76回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門に正式出品され、公式上映された。

本作は、ヴィム・ヴェンダース監督が日本の公共トイレのなかに<small sanctuaries of peace and dignity(平穏と高貴さをあわせもった、ささやかで神聖な場所)>を見出し、清掃員の平山という男の日々の小さな揺らぎを丁寧に追いながら紡いだ物語。

今回、本作が正式出品された第76回カンヌ国際映画祭は、フランス時間5月16日に開幕。開催10日目となる5月25日(木)15時半頃、晴れやかな日差しに迎えられ、コンペティション上映を直後に控えたヴィム・ヴェンダース監督、主演の役所広司中野有紗アオイヤマダ田中泯がレッドカーペットに登壇した。大きな声援と祝福を受け、ゆっくりとレッドカーペットを進むと、劇中で使用されているLou Reedの「Perfect Day」がかかり、監督が思わず踊りだす場面も。

レッドカーペットの前に実施された取材では、「編集ではみんなの顔を見ていたけど、カンヌで実際に会うことができてとても嬉しい」と顔をほころばせていた監督。役所について聞かれると「彼の作品は、かなりの数を見た」といい、「警官としても侍としても素晴らしい、なんという役者なんだと思っていた。役所さんと仕事するのは夢のようでした」と役所への思いを明かした。他キャストについても「この作品にはスピリチュアルなレベルがあって、みなそれを感じてくれていた」と厚い信頼を明かした。

監督から学んだことについて話題が及ぶと、役所は「常に楽しそうにしていたので、その姿勢がキャストを励まし、大きな演出になっていた」とコメント。平山の姪を演じた中野は「本当にありのままのわたしとキャラクターを重ねて演じるような環境をヴィムが整えてくださったので、自然に演じることができた」、ホームレスを演じた田中は「映像にとらえたものは全部その場でやったもの。わたしはスピリットそのものです」、アオイは「ヴィムさんも、役所さんも周りを引き立ててくれる人だなと思った」と語った。

PERFECT DAYS
(C)Kazuko Wakayama

直後に実施されたコンペティションでは、2,300人以上を収容できるパレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレにて、満員の観客の中上映された。会場に監督とキャストが現れると、観客は総立ちで迎え、約5分間におよび拍手が鳴りつづけ期待の大きさを感じさせた。

その後、静寂に包まれ上映が開始。2時間5分の上映が終了すると会場は一気に熱を帯び、観客は一斉に立ち上がって約10分に渡るスタンディングオベーションが起こった。感激につつまれる監督を役所、中野、アオイ、田中が優しくつつみこみ、映画同様、あたたかく感動的な上映となった。

熱気はそのままに、キャストのみ上映後の囲み取材を実施。熱いスタンディングオベーションを受けた気持ちについて、役所は「みなさん褒めるの上手ですよね(笑)」と照れつつも「監督が言ってたんですけど、褒められても自分がうまいと思わないで、けなされても自分がダメだと思わないで、映画で語りなさい。と。まさにそうだなと。でも今日みたいな暖かい拍手を受けて、ああお客さんが喜んでくれてるんだ。良かったな。と単純に思いました」と顔をほころばせた。

中野は「どういう反応がくるのかなと不安だったけど、きっと感じるものがあるんじゃないかという望みはありました。スタンディングオベーションで拍手と喝采を感じた時にそれが確信に変わりました」と語り、田中は「映像のお仕事で(スタンディングオベーションを受けたのは)初めてです。嬉しいというよりも『役所さん、やったね!!』という気持ちで、抱きつきたかったです」と、主演の役所を気遣った。

最後にアオイは「役所さんが爆発するわけでも、変身するわけでもない映画なんですが、日常の幸せ、平和の象徴が描かれた映画が評価された、ということがとても嬉しく思いました」と締めくくった。

『逆転のトライアングル』のリューベン・オストルンド監督がコンペティション部門の審査員長を務める第76回カンヌ国際映画祭。カンヌの常連であるヴィム・ヴェンダース監督が、日本を舞台にした本作で計21作品の中から最高賞となるパルム・ドールを狙う。主演男優賞はじめとする各賞は、現地時間27日に発表される。

PERFECT DAYS
(C)Kazuko Wakayama

ストーリー
東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山(役所広司)。彼は淡々と過ぎていく日々に満足している。毎日を同じように繰り返しているように見えるが、彼にとってはそうではなかった。毎日はつねに新鮮な小さな歓びに満ちていた。まるで風に揺れる木のような人生である。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読み耽るのが、歓びである。いつも持ち歩く小さなフィルムのカメラで木々を撮る。彼は木が好きだった。自分を重ねているのかもしれない。あるとき彼は、思いがけない再会をする。それが彼の過去にすこしづつ光をあてていく。

作品タイトル:『PERFECT DAYS』
出演:役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和
監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ヴィム・ヴェンダース、高崎卓馬
製作:柳井康治
2023/日本/カラー/DCP/5.1ch/スタンダード/124分
製作:MASTER MIND
配給:ビターズ・エンド

公式サイト:perfectdays-movie.jp
コピーライト:(C)2023 MASTER MIND Ltd.

12月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー!
10月24日~特別先行上映

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