【レポート】『高津川』撮影現場に「プーさん」が居た!? 甲本雅裕、戸田菜穂、錦織良成監督登壇!公開記念舞台挨拶

高津川

日本一の清流として名高い島根県にある「高津川」を舞台に、その土地に根付く「岩見神楽」の伝統を守りながら健気に生きる人々の暮らしを描いた映画『高津川』。コロナ禍において公開の延期を余儀なくされ、約2年の時を経て2月11日(金・祝)に公開を迎えた。

この度、梅田ブルク7にて公開初日舞台挨拶が開催され、本作で初主演を飾った甲本雅裕をはじめ、共演者の戸田菜穂、錦織良成監督が登壇した。

『高津川』公開初日舞台挨拶

■日時:2月11日(金・祝)(上映後、舞台挨拶)
■場所:梅田ブルク7 スクリーン4
■登壇者:甲本雅裕、戸田菜穂、錦織良成監督(敬称略)

場内はこの日を楽しみにしていた観客でほぼ満席状態。温かい拍手に包まれる中、主人公・学役の甲本、ヒロイン陽子役の戸田、錦織監督が登壇した。

「本日は地味なタイトルの映画にお越しいただいき、誠にありがとうございました」と、まずは甲本から挨拶。朝の連続テレビ小説「ええにょぼ」出演時に大阪での滞在歴がある戸田は「(移動中のタクシー車中から風景を眺めていて)あの頃、ひとりで心細いなと思いながら梅田の街を歩いていたのを思い出した」と懐かしい気持ちを明かした。続いて錦織監督は「丁寧に、みんなで思いを込めて作りました」と熱い気持ちを吐露し、挨拶に代えた。

高津川

公開初日を迎えられた心境を問われ、甲本は「この2年って長かったですね」としみじみ。「コロナで延期になって、待って、待って、待って」と気持ちを溜め、「今日で良かった。これでベストだなってすごく感じます。ベストです!」と自信を込めてコメント。戸田は、「数ある映画の中から、この作品を選んでくれたみなさんと心が響き合う気がします」とにっこり。

錦織監督は「逆光ではありますが……」と、一瞬弱気を見せながら「思い込みかもしれませんが、(お客さんの顔が)幸せそうに見えます。今時、『こんな地味な映画のタイトルあるのか』というタイトルなのですが、思いを込めて作って届けられただけで幸せ。特出したヒーローもいませんし、幽霊も退治できません。脚を上げて踊ることもない映画なんですよ。だけど、皆さんの物語になるんじゃないかな」と、確かな手応えを感じている様子。

高津川
高津川

自然豊かなロケ地で撮影が行われた本作。甲本から「川があって、畑があって、山があって。監督が座っているとプーさんがいるみたいで。そんな幸せなメルヘンな世界みたいな」と愛らしいエピソードが飛び出し、場内の笑いを誘うと、「それ言おうと思ったでしょ」と錦織監督が甲本をジロリ。いたずらそうに笑いながら甲本は「撮影中からずっと『プーさんがいる、プーさんがいる』と思ったんですよ。ほんとに、プーさんがずっと居たんですね」と、さらなる笑いを引き起こしていた。

この他の撮影エピソードとして、撮影で借りた牧場の社長から「明日はもっといいの出るよ」と耳打ちされて3度撮り直した雲海風景のエピソードや、撮影中の食事類はすべて地元の方による手作り料理であることが明かされた。

またロケ地の空気がそのままに詰め込まれている本作は、甲本の衣装は現地の牧場主からレンタル、地元に実在するものを活用し撮影を実施。「戸田さんが役で働いている店も、寿司屋も、店名すら看板も全部そのままなんで。行ったら、そのままあります」と甲本が裏話を語り、横で戸田も頷きながら「ぜひロケ地めぐりしていただきたいですよね」と鑑賞後の楽しみ方もアドバイス。

舞台挨拶終了の時が近づき、「子どもたちにも観せたい」という思いを持ちながら撮影を進めていたいう錦織監督からは、「『嫌だ』って言っても連れてっていただけるとうれしいな。そうすると、やっと(映画をお客さんに届けるということが)完結できますので」と映画情報の拡散を猛プッシュ。

高津川

戸田は「順々に全国で公開されていくと思うんですけど、その土地・その土地の方の心の灯になってくれたらうれしいです。日本のどこかでかかって(上映されて)いるなと思ったら、私も幸せな気持ちになります」と、全国に作品が広がっていくだろう様子を浮かべ目を細めた。

最後に甲本が「こんな時期にお越しいただいて、感謝の一言なんですが。みんな頭の中や、心の中が嫌なこととか、そんなことでパンパンになっていっぱいなっている方がたくさんいらっしゃると思うんです。僕も実際そうなったりよくしますし。このコロナ禍の中で、僕たちの仕事はそんな中で何ができるかって思ったときに、何にも与えられないし、与えようとしちゃいけない仕事だなって思って。じゃあ何だろうと思った時に、可能性があるとすれば、そのパンパンになった心の中をほんの少しだけ、隙間を開けることができるんじゃないかって。映画、テレビ、演劇とかそういうものを観た時にちょっとでも、もしみなさんの心に隙間ができたならば、好きなこと、楽しいことだけを入れてください」と、力強くメッセージ。

続けて、「僕たちが1番思っているのは、誰かと話をするきっかけになってほしい。今だからこそ余計に、人と話をする機会はすごく大切だと思います」と真剣な眼差しで語りかけた。熱い気持ちを受け取った観客が一瞬ピンと背筋を正すと、甲本が「まあ、マスクはしてね」と柔らかな笑みで語りかけると、場内はすぐに和やかな雰囲気へ。甲本は「それをしてでも、僕は人と話してほしいなって」と鑑賞後の楽しみ方をアピールし、劇場を後にした。


ストーリー
これはきっとあなたの物語。
斎藤学(甲本雅裕)は山の上の牧場を経営している。歌舞伎の源流ともいわれる「神楽」の舞いは地元の誇り、息子の竜也が神楽の稽古をさぼりがちなことから、多くの若者のように自分の息子もこの地を離れて心配している。そんな時、学の母校である小学校が閉校になることを知らされるのだが・・・

作品タイトル:『高津川』
出演:甲本雅裕 戸田菜穂 大野いと 田口浩正 高橋長英 奈良岡朋子
原作・脚本・監督:錦織良成
音楽:瀬川英史
配給:ギグリーボックス

公式サイト:takatsugawa-movie.jp
公式Twitter:@takatsugawa1129
コピーライト:(c) 2019「高津川」製作委員会 ALL Rights Reserved.

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