【レポート】『ウルフウォーカー』公開記念!細田守監督×トム・ムーア監督/ロス・スチュアート監督のSP対談が実現

ウルフウォーカー

製作した長編すべてがアカデミー賞にノミネートされ、新作を公開するたびに観客を夢中にさせ、虜にしてきたアニメーションスタジオ「カートゥーン・サルーン」の最新作『ウルフウォーカー』が10月30日(金)より、YEBISU GARDEN CINEMA他にて全国公開となる。

本作の公開を記念して、2021年3月12日(金)から3月15日(月)まで開催される東京アニメアワードフェスティバル2021のプレイベントとして、アニメーション映画監督・細田守監督と『ウルフウォーカー』のトム・ムーア/ロス・スチュアート監督とのスペシャル対談が10月19日(月)に行われた。当日の様子は、編集後Youtubeプレミアとして10月25日(日)に無料配信される予定となっている。

〈東京アニメアワードフェスティバル〉は、“東京がアニメーションのハブになる”を合言葉に、次世代のアニメ制作の人材発掘と育成、文化と産業の発展・振興を図ること、東京の観光振興に資することを目的に2014年から開催されている国際アニメーション映画祭。2015年にカートゥーン・サルーンの『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』がグランプリを受賞したことをきっかけに、『ウルフウォーカー』のトム・ムーア/ロス・スチュアート監督から、同じ“狼とこども”をモチーフにした作品を手掛けた細田守監督へのラブコールから実現した本企画。日本とアイルランドのアニメーション制作手法の違いやお互いの作品について熱く語り合った。

『ウルフウォーカー』は、眠ると魂が抜け出しオオカミになる“ウルフウォーカー”という中世からアイルランドで密かに伝えられてきた伝説をモチーフとして生命への限りなくやさしいまなざしで描かれる、息をのむほどの美しい世界と不思議な物語。早くもアカデミー賞アニメーション部門最有力候補と目されている。

細田守監督は、『時をかける少女』、『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』、『バケモノの子』を手掛け、2018年に公開した『未来のミライ』では第71回カンヌ国際映画祭・監督週間に選出、第91回米国アカデミー賞の長編アニメ映画賞や第76回ゴールデングローブ賞のアニメーション映画賞にノミネートされ、第46回アニー賞では最優秀インディペンデント・アニメーション映画賞を受賞するなど日本を代表するアニメーション映画監督であり、世界中に多くのファンがいることでも知られている。

今回は、スタジオ地図、東京アニメアワードフェスティバル事務局、そしてアイルランドの3か所をつないで、夢の対談が実現した。

An Apple Original Film『ウルフウォーカー』公開記念
東京アニメアワードフェスティバル2021 プレイベント
細田守監督×トム・ムーア監督/ロス・スチュワート監督スペシャル対談
日時:10月19日(月)19:00~
会場:東京アニメアワードフェスティバル事務局
登壇者(※敬称略):細田守監督、トム・ムーア監督/ロス・スチュワート監督、司会:数土直志

もともと細田監督の大ファンだったムーア監督とスチュアート監督の2人。今回の対談にあたり、事前に『ウルフウォーカー』を観た細田監督は、「本当に素晴らしい作品でした。『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』は誰も見たことのない様なアニメーションで感動しましたが、この作品も期待を上回りました。当たり前なカットがない。1カット1カットが驚きの連続で、森と町との対比が素晴らしかった」と『ウルフウォーカー』を絶賛。細田監督から「児童文学的な要素も含まれた、叙事史的な物語がとても力強かった。どんな風にして作ったのですか」と尋ねられると、ムーア監督は「今回はアクション満載の映画にしたいと思ったんです。これまでの作品で学んだテクニックを詰め込んだんです」、そしてスチュアート監督は「民話的なムード、古典的なムードは狙って作ったんです。町は檻に閉じ込められている様に見せるために平面的に描いて、森では自由な印象を与える様な線を意識して描いたんです。線にエネルギーを残すということも意識しました」と作品の制作意図を説明した。

ウルフウォーカー

司会者から細田監督とムーア/スチュアート監督に共通するのがオオカミだったり、人が何かに変身するという点があるとの指摘に、細田監督は「オオカミがワルモノにされたのはヨーロッパ的な人間中心主義のせいです。人間が発展していく上で動物を森に追いやる必要があった。でも僕は、追いやられたオオカミや動物のほうに興味があるし、肩入れしたくなる。人間中心主義的な傲慢さではない考え方を通して、現代の僕たちに本当に必要なものを考え直して行くことが大事」と答え、ムーア監督は「自然との付き合い方、人間の中にある“野生”をもう1回我々は抱き直す必要があるのかもしれない。またアイルランドと日本は、アミニズムという観点から似ている気がします」、そしてスチュアート監督は「古い民話には共通点があって、何かしら普遍性があるのかもしれない。アイルランドでは昔からオオカミと人間は共存する関係性だったのですが、キリスト教が浸透してからそれが変わってしまった。古の考え方が今後人間が生き残るために必要なのかもしれない」と話す。

ウルフウォーカー

ウルフウォーカー

細田監督から、カートゥーン・サルーンの今後の制作に関してCGを使っていく予定かを尋ねられると、ムーア監督は「個人的には手描きにこだわっていきたいが、CGを使うことで表現の豊かさが増えるので必要なところでは使っていきたい。手で出来ないことをCGで補う。それは細田監督の作風とも似てますよね」と答え、日本アニメーションからの影響については「世界中で唯一手描きを続けているのは日本とフランスだけですよね。日本のアニメは大変に参考にさせていただいております」と、スチュアート監督は「最近のアニメーションはリアリティの追求に向かい過ぎていますよね」と語る。

ムーア監督から「アニメを作る上で何を大切にしているか」と尋ねられると、細田監督は「家族をテーマに作品を作ることが多いけど、本当に描きたいのは、どうやって子供は成長していくのか、ということなんです」と答え、スチュアート監督からは企画は並行して進めることがあるのかなど、あこがれの細田監督を前に次々と質問が相次いだ。

日本のファンに向けて、ムーア監督は「過去の作品を含めて自分たちの作品を受け止めてくれてうれしい。是非最新作『ウルフウォーカー』も楽しんでほしい」。スチュアート監督は「このような機会が設けられて大変光栄でした。日本とアイルランドのアニメーション産業との交流がこれからも活発になってほしい」と語る。細田監督も「すごく彼らの作品は日本人好みだと思う。是非皆さん観てください」と太鼓判を押す。

ちょうど次回作の絵コンテが終わったところという嬉しい情報をあかしてくれた細田監督からは、アニメーションの可能性はもっとあると確信が出来たなどの話が出るなど、盛況のうちに『ウルフウォーカー』公開記念のスペシャル対談は終了となった。


※対談の様子は10月25日(日)にYoutubeプレミアにて無料配信予定です。
詳しくは映画公式サイトをご確認ください。

映画『ウルフウォーカー』公式サイト:https://child-film.com/wolfwalkers/

眠ると魂が抜け出しオオカミになる“ウルフウォーカー”。
中世からアイルランドで密かに伝えられてきた伝説。

生命への限りなくやさしいまなざしで描かれる、息をのむほどの美しい世界と不思議な物語。
スタジオ史上最多のキャラクターが登場し、オオカミの群れとの迫力ある闘いのシーンなどエンターテインメント性の高いファンタジー作品に仕上がった。

監督は、アカデミー賞に2度ノミネートされたトム・ムーア(『ブレンダンとケルズの秘密』、『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』)と『ブレンダンとケルズの秘密』のアート・ディレクター、ロス・スチュワート

声優は、ロビン役に『アガサ・クリスティー ねじれた家』(17)のオナー・ニーフシー、父親ビル役を「ゲーム・オブ・スローンズ」のショーン・ビーンが務める。
音楽は前2作同様ケルト音楽のバンドであるKiLA(キーラ)と新たに『アナと雪の女王2』(19)で知られるノルウェーの新世代歌姫オーロラが参加。透明感あふれる澄んだ歌声が、現実から遠く離れた世界へと観客を導く。

ストーリー
中世アイルランドの町キルケニー。イングランドからオオカミ退治のためにやって来たハンターを父に持つ少女ロビンが、森の中で友だちになったのは“ウルフウォーカー”のメーヴだった。人間とオオカミがひとつの体に共存し、魔法の力で傷を癒すヒーラーでもある彼女とロビンが交わした約束は、図らずも父を窮地に陥れるものだった。だが、少女は勇気を持って信じる道を進もうとする。

作品タイトル:『ウルフウォーカー』
声の出演:オナー・ニーフシー/エヴァ・ウィッテカー/ショーン・ビーン
監督:トム・ムーア/ロス・スチュアート
音楽:ブリュノ・クレ/KiLa/オーロラ
2020年/アイルランド・ルクセンブルク/英語/103分/ヴィスタ/カラー/ドルビー・デジタル/日本語字幕:稲田嵯裕里/原題:WolfWalkers
後援:駐日アイルランド大使館
配給:チャイルド・フィルム

公式サイト:child-film.com/wolfwalkers
コピーライト:(C) WolfWalkers 2020

10月30日(金)より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー

 

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