『箱の中の羊』の大ヒット御礼舞台挨拶が6月15日にTOHOシネマズ 六本木ヒルズで実施され、大悟(千鳥)、桒木里夢、田中泯、是枝裕和監督が登壇した。

本作は、“少し先の未来”の“夫婦”そして“家族”の物語。子供を亡くした夫婦が迎え入れたのは、息子の姿をしたヒューマノイド。止まっていた家族としての時間が再び動き出した彼らを待ち受けていたのは、想像を超えた<未来>だった。
くしくもこの日は、FIFAワールドカップ2026で、日本対オランダ戦が行われたばかりということを踏まえた大悟が「日本対オランダ、同点でよかったですね。とてもいい試合でした。ですから皆さん、今日は朝早くから起きていると思うので、眠い中、こうやって映画館まで来ていただき、本当にありがとうございます」とあいさつし、会場は大盛り上がり。

さらに是枝監督も「今日は懐かしいですね。今日は久しぶりに4人で集まったんですが、久しぶりに家族に会ったような気分になっていました。やはり1本映画を撮ると、とても濃密な時間を一緒に過ごすので、ちょっと特別な感じで。それがすごくうれしいです」と笑顔を見せた。

本作の反響について大悟は「本当にありがたいですし、嬉しいです」と笑顔。特に、かまいたちの濱家隆一やダイアンの津田篤宏が、自身のSNS等で大悟のことばかり書いていることに対して「申し訳ないなと思いますけど嬉しいですね。いろんな芸人からもすごかったという感想をいただきました」とコメントした。
さらに、とある後輩芸人からは「子どもの頃にプラモデルを作っていた時のことを思い出した」という感想があったといい、その真意について「プラモデルは完成して、見た目も完成しているのに、なぜか部品が余っている。この余った部品は本当に要るのか、要らないのか」と説明されたという。さらに「すごく深いことを言っていたので、そうか……と分かったふりをしていました」と付け加え、会場を笑わせた大悟だったが、そんな大悟の言葉に、是枝監督をはじめ、皆が感心することしきりだった。
一方、相方のノブについては「今はアメリカのサッカーを見ていると思う」と笑いを誘いつつ、「映画は観ているんだと思いますが、でも照れくさいので、まだ直接には何も言ってこない」と説明。「ノブの言葉は、聞いたら発表します」と付け加えた。さらに実家に帰った際、両親からの感想として「僕には何も言わないんですけど、『次、3回目を観に行く』と言っています」とのことで、「それはこの深い映画を何度も観たいのか、ただただ息子がスクリーンに映っているのが観たいのか……」と笑ってみせた。
本作は大悟が主演を務めるということで、本作がバラエティ番組に紹介される機会も多かったという。是枝監督も「大悟さんのバラエティ番組で僕の名前が連呼されて。画面いっぱいに僕の名前の字幕が出てくるんですよ。『是枝入ってるのか』みたいな感じで。でも最近はそれを求めてテレビを見るようになった。それを見た人からの反応がたくさんあって、不思議な体験をしています」と、バラエティ番組での意外な楽しみを明かすひと幕も。それに対して「あれはノブが悪いんですよ」と返す大悟だったが、当の是枝監督は悪い気はしていないようで、「ずっと続けてほしい」とご機嫌な様子だった。

また、先日行われた韓国でのプロモーション活動について問われた桒木は、「韓国でダンスをしました」と述懐。さらに食事の話題になると、桒木は「カニ。ケジャンを食べました」と返答。「その歳でケジャン食べたの?」と驚く大悟に対して、「僕じゃなくて、監督がケジャン好きなんです」と返した桒木。是枝監督が「でも(桒木は)とんかつを食べたんだよね」と補足説明するなど、微笑ましいやり取りで会場の笑いを誘った。

本作で木工職人を演じた田中は、出演オファーを受けた心境について「僕は職人さんが好きで、まず大工という役柄を聞いて、一発で『やります』と言った」と振り返る。特にカンナがけのシーンについては、「子どもの頃からちゃんと習いたいと思っていたんで、まさかカンナがけのシーンがあるなんて。本職の方から教えてもらえたのが本当に嬉しかった」と純粋な喜びを口にした。

さらに田中は本作が提示する「未来の問題」についても感銘を受けたとのことで、「ここにはすごく大切な未来の問題が含まれていると思うんです」とコメント。「人間は一個の細胞からとんでもない数に分裂してできあがった生命体。そんな私たちが『自分の身体ではない人工的な身体』とどう付き合っていくのか、それはとんでもない問題。人間がどのような未来を持つのか気になっています」と本作のテーマについて深く感銘を受けている様子。また是枝監督によると、昭夫という役は、是枝監督が田中をイメージした「当て書き」だったという。
また共演者の印象について質問された田中は、大悟の演技を絶賛する。「大悟さんは俳優という仕事のもとになるもの、『どんなものがあれば俳優ができるのか』という見本のような方。『お芝居ってなんだろう』と考えずにできている」と評価。「人間が演劇を始めた一番大きな動機を持っている。それは俳優として非常に刺激的なもの」と最大級の賛辞を贈ると、大悟も「(それを)持っていました」とおどけてみせて、会場を笑わせた。
一方で、子役の桒木に対しては「最初、キャッチボールをしている姿を見かけて、この子と一緒にやるのか、どうしようかと怖かった」と意外な本音を漏らす。「僕の身体は、この子の身体よりも70年前から生きているが、僕の身体は小さいときから今までの、どこの時代の感覚に戻っていくことができる。それがダンサーだと思っているんで、だからこそ、やらなきゃいけないと思いましたけど、かなり緊張した」と述懐。

対する桒木は田中との共演について、「一緒のシーンは一回しかなかったけれど、声がとてもさわやかというか……」と評し、会場は大笑い。「台本にあるすごく長いセリフを自然に言えていてすごいなと思った」とコメントすると、田中も照れながらも「たまたまです。すべてはたまたまです」と謙遜していた。
イベントの後半では、客席の観客から直接質問を受け付けるコーナーも。最初の観客からは、「是枝監督と田中さんが同じ高校の先輩・後輩関係にあるが、やりやすかったことはあるか?」という質問が。その質問に驚いた様子のふたりは、「知ってはいたが、これまでその話題を出したことはなかった」と返答。田中がバスケ部、是枝監督がバレーボール部だったという意外な過去を明かすひと幕もあった。
さらに、「踏切のシーンで監督が、大悟さんに内緒で桒木さんに手を握るよう指示を出していたというインタビューを読みましたが、他にも秘密の演出はあったか」という質問も。
それに対して是枝監督は「騙すようなことをしているわけではないけど、大悟さんの周りの役者にちょっとだけ変化を与えると、大悟さんは必ず違う形で返してくる。お芝居の基本である『受け止めて返す』ということがなぜこんなに自然にできるのかなと感動していました」と大悟の対応力を称賛すると、大悟も「監督は騙すようなことはしてないと言いますけど、うっすら騙すんですよ」と笑いながら反論。
「僕には何も言わないんですけど、(桒木)里夢たちにこっそり言いに行っているのがチラッと見える。それで何か変えようとしているんだろうなと思っていましたけど」と明かすと、「でも自分が台本を読んだだけで勝手に分かった気になっているところを、『感情の答えはこっちだよ』とその形で教えてくれていたのかもしれない。言葉で説明されても分からなかったかもしれないので」と是枝監督ならではの繊細な演出手法に感謝を示した。

イベントの終盤では、最後に登壇者から観客へ向けてメッセージが送られた。まず田中が「皆さん、楽しんでいただけたと思います。どうぞ周囲の方に宣伝をお願いします」と呼びかけると、桒木も「僕は愛のある映画だと思います。箱の中の羊を見て、家族やいろいろな人と話し合ったり、考えながら、また観て。何回も観て、考えて……何回も観てほしいです」とコメント。
さらに大悟は「今、里夢がほとんど言ってくれましたが、控室でも田中さんが『全員が同じような感想が出るようなものは作ってもしょうがない』と話していて、本当にそうだなと。観終わった後に、一緒に来た人とご飯でも食べながら『ああだこうだ』と言い合ってもらえるまで楽しんでいただけたらと思います」と語った。
最後に是枝監督がマイクを握り、「まだ本当に生まれたばかりの映画で。観てくださった皆さんに育てていただき、大きく豊かにしていただければと思っています」と締めくくり、盛大な拍手の中でイベントは幕を下ろした。
『箱の中の羊』
出演:綾瀬はるか 大悟(千鳥) 桒木里夢 清野菜名 寛一郎 柊木陽太 角田晃広 野呂佳代 星野真里 中島歩 余貴美子 田中泯
監督・脚本・編集:是枝裕和
音楽:坂東祐大
製作:フジテレビジョン ギャガ 東宝 AOI Pro.
制作プロダクション:AOI Pro.
配給:東宝 ギャガ
(C)2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.
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