「BEASTARS」レゴシが取り持つ縁?! 漫画家・板垣巴留が映画『彼女のいない部屋』に2つのコメントを寄せた理由とは

彼女のいない部屋
(c)板垣巴留(秋田書店)2017

昨年のカンヌ国際映画祭に新設された[カンヌ・プレミア]部門に選ばれ、フランスのセザール賞で主要部門にノミネートされた『彼女のいない部屋』(8月26日(金)公開)に、「BEASTARS」で知られる人気漫画家・板垣巴留から2種のコメントが寄せられた。

フランス映画界を代表する名優で名監督であるマチュー・アマルリックが監督・脚本を手掛け、「彼の最高傑作」と高く評価されている本作は、海外資料にあるストーリーが「家出をした女性の物語、のようだ」という1行のみという話題作。

主人公を演じるのは、いま“ヨーロッパNo.1女優”とも言われ、今年のカンヌ<ある視点>部門女優賞にも輝いたヴィッキー・クリープス(『ファントム・スレッド』『オールド』)。

彼女のいない部屋
(c) 2021 – LES FILMS DU POISSON – GAUMONT – ARTE FRANCE CINEMA – LUPA FILM

そして、2018年に主要マンガ賞を総なめし、2019年、2021年にTVアニメも放送された「BEASTARS」は、ハイイロオオカミのレゴシを主人公とした動物版青春ヒューマンドラマで、動物を擬人化したファンタジーであるはずなのに、読者にリアルな共感を呼んだ大人気作。

実はそのレゴシ、大の映画ファンである板垣が、マチュー・アマルリックの「顔」をモデルに創作したのだという。確かに、アマルリック独特の目元は、まさにレゴシを思わせる。ちなみに名前の「レゴシ」も、戦前に活躍して“ドラキュラ俳優”とも呼ばれ一世を風靡したベラ・ルゴシからとったそうで、板垣の映画ファン度は筋金入り。そんな板垣が「今年これまで見た中でも強く印象に残っている」というのが、マチュー・アマルリック監督の『彼女のいない部屋』なのだ。

彼女のいない部屋
(c)板垣巴留(秋田書店)2017
彼女のいない部屋
マチュー・アマルリック

板垣が公開前に鑑賞したきっかけは、レゴシの顔のモデルがアマルリックと知った配給会社に声をかけられたことだが、映画の感動を2つのコメントに託すことになった。

1つは、「人に忘れてもらうため、人を忘れるため、人は旅に出るのだと感じました。前向きな旅ほど、おそらく。」というキャラクターの多面性を深く掘り下げる板垣らしい言葉。

そしてもう1つは、「確かな記憶のはずが、××××××とわかり、頭が混乱したことは誰でもあるはず。脳内を彷徨うようなあの混乱の出口に、こんな美しい物語が待っているとは。」(原文は伏せ字なし)。こちらは、「観る前の人に、何が起きたかは言わないで」というアマルリック監督の要望を尊重し、鑑賞者用のパンフレット以外では「伏せ字」で表現するというユニークなもの。

当初、板垣側からはどちらか一方でもということだったが、「2つがあることで、板垣先生が映画をどうみたかがより立体的に見えてくる」という配給会社の判断で、今回、2つのコメントが公表された。

なお板垣は、最新作「SANDA」を週刊少年チャンピオンで連載中。たくさんの映画から得た感動も、独特な世界観に反映される板垣ワールドはさらなる進化を見せてくれそうだ。

マチュー・アマルリック監督『彼女いない部屋』は8月26日(金)より公開。

『彼女のいない部屋』に寄せて 板垣巴留コメント(敬称略)


人に忘れてもらうため、
人を忘れるため、
人は旅に出るのだと感じました。
前向きな旅ほど、おそらく。
漫画家 板垣巴留


確かな記憶のはずが、
××××××××××××とわかり、
頭が混乱したことは誰でもあるはず。
脳内を彷徨うようなあの混乱の出口に、
こんな美しい物語が待っているとは。
漫画家 板垣巴留


ストーリー
――家出をした女性の物語、のようだ。

作品タイトル:『彼女のいない部屋』
出演:ヴィッキー・クリープス(『ファントム・スレッド』『オールド』)、アリエ・ワルトアルテ(『Girl/ガール』)
監督:マチュー・アマルリック
原題:SERRE MOI FORT / 英語題:HOLD ME TIGHT
2021年|フランス|97分|DCP|1:1.85 ビスタサイズ|5.1ch|カラー|一般 G
日本語字幕:横井和子
配給:ムヴィオラ

公式サイト:https://moviola.jp/kanojo/
公式Twitter:@holdmetight0826
コピーライト:(C) 2021 – LES FILMS DU POISSON – GAUMONT – ARTE FRANCE CINEMA – LUPA FILM

8月26日(金)よりBunkamuraル・シネマ他全国順次公開

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