【レポート】『バオバオ フツウの家族』満席の先行上映会に主演クー・ファンルー(柯奐如)×東ちづる登壇!9月より全国公開

バオバオ_01昨年秋、同姓婚を巡る是非の国民投票が話題となっていた中、台湾で公開されヒットを記録した映画『バオバオ フツウの家族』(原題:親愛的卵男日記)。ジョアンとシンディ、チャールズとティムという、二組の同性カップルが子供を持ちたいという願望からなんとか「赤ちゃん(バオバオ)」を授かろうと奮闘する本作は、日本では9月より新宿K’s cinema他にて全国順次公開となる。

本作のプロモ―ションのため東京レインボープライドに併せて来日した台湾の女優で主演のクー・ファンルー(柯奐如)は、4月28日(日)29日(月・祝)と2日間、代々木公園で行われたイベントに参加。28日(日)午後、代々木公園会場でラジオ出演、ステージでのトークに出演、合間に個別取材を行うなど、精力的にプロモーションに参加した。さらに東京レインボープライド関連企画として本作の日本公開に先立つ先行上映会が29日(月・祝)行われ、クー・ファンルーと女優の東ちづるが上映後の舞台挨拶に登壇した。

クー・ファンルーが役柄を思わせる黒いドレスと白の皮ジャケットで登場すると、満席の会場からはその凛とした美しさにどよめきが上がった。また、2017年にLGBT映画『私はワタシ over the rainbow』をプロデュースし、get in touch という、誰も排除されないごちゃまぜの世界があってもいいという考え方の下、エンタメで見せる、体験させる活動をしている女優東ちづるもレインボーカラーの花を髪に飾って登壇、進行役を務め、トークセッションが行われた。

『バオバオ フツウの家族』先行上映会舞台挨拶 概要

日時:4月29日(月・祝) 18:30~
登壇者:クー・ファンルー(柯奐如)、東ちづる
場所:渋谷アップリンク

トークセッション 概要

東ちづる(以降A):「日本は何回目ですか?」

クー・ファンルー(以降K):「まずは答えの前に、今回、このトークショーにご登壇頂いた東さんに感謝します。また、本作を台湾以外の観客の方にご覧頂くのが初めてですので、映画が伝えたいことが伝わるといいと思っています。日本は何度も訪れています。」

A:「オファーを受けた時の気持ちはいかがでしたか?」

K:「脚本家がレズビアンで、子供が欲しいと思ったところから、この脚本のアイデアが出来ました。ですので、とてもリアルで興味深く感じました。」

A:「気持ちが揺れ動く難しい役でしたね。」

K:「とても難しかったです。ジョアンは女性なのですが、男性よりも強く「シンディを守りたい」と思っています。」

A:「仕事でも個人的にもいろいろな事を我慢していてずっと抑えた演技だなと思いますが、2回爆発するシーンがありますよね。最初のシンディとの喧嘩のシーンと、赤ちゃんが出来たとシンディが打ち明けるシーンです。」

K:「はい。そうです。」

A:「映画の途中に回想シーンが入って、時系列が難しいですが、どうお芝居を計算したのでしょうか」

K:「時系列のまま撮っています。ロンドンの2人の生活から撮って、台湾部分を撮影しました。イギリスでは1日12時間以上撮影してはいけません。準備部分も含めてですので、実際は1日7時間ぐらいの撮影になります。1シーン、1~2テイクですね。全てを3週間で撮り切りました。ロンドンでは短期間でシンディを深く愛さねばならず、大変でした(笑)」

A:「お腹の中の赤ちゃんが1人になって、主人公4人の気持ちが揺れ動き始めましたね。ティムがシンディに寄り添うシーンで、赤ちゃんの面倒は見てもいいけど、シンディの事は気にしないで、という内容のセリフがありますね」

K:「ティムは、子供を産んでくれる女性に対して、心配をしています。気持ちは分かりますが、彼がシンディに近づくことがジョアンには複雑な気持ちなのです。シンディの幼馴染のタイに関しても同様で、シンディに対して気持ちのある事は、気になっています。ジョアンの生活はとても大変な生活です。ジョアンの心のやさしさでもあるのですが、シンディは絵を描くアーティストで、金銭的な事はあまりわからない、センシティブな人です。だから自分で解決できることは、自分一人で背負うというのがジョアンです。」

A:「ラスト、あの後どうなるのでしょうか?」

K:「当初2時間30分のつもりで撮って、編集で90分になりました。結果、3人(ジョアン、シンディ、タイ)の間に信頼関係ができます。映画は、愛とはどういうものか、多様なスタイルの愛、家族というものがあるという事を教えてくれます」

A:「日本語のタイトルはフツウって何だろうと投げかけていますね」

K:「台湾の上映時にも、男性2人、女性2人のカップルが子供を連れてくる場合がありました」

A:「体外受精のシーンは、スタイルが変わっていますね?」

K:「監督の思いがあって、出来たシーンです。監督はデビッド・ボウイが好きで、実は主人公2人が住んでいるロンドンの町は、デビット・ボウイの出身地の設定です。また、彼の音楽の中で、10年に1回出てくる宇宙飛行士がいるのですが、この宇宙飛行士がシンディを守る、という設定になっています」

A:「原題にある卵男とはどういう意味ですか?(原題:親愛的卵男日記)」

K:「卵男というのは、妊活している事が反映されています。卵の発音は中国語であたたかいという言葉と同じ発音で、あたたかい、やさしい男の日記、ということです。ジョアンもあたたかい男のイメージですね。4人でシンディを守るということです。」

A:「台湾で上映された時の反応はいかがでしたか?」

K:「作年の選挙前に公開されています。ある女性の友人が、映画を見た後に、実は自分がレズビアンだということを告白してくれました。驚きましたが、自分から打ち明けてくれた事に、映画が彼女の心に響いたのだと思い感動しました。」

ジョアン役:クー・ファンルー(柯奐如) プロフィール

1980年生まれ。2002年人気アイドルドラマ『流星花園(流星花園~花より男子)』で道明寺の婚約者役としてデビュー。『求婚事務所(求婚事務所~Say Yes Enterprise~)』『危險心靈』『泡沫之夏(泡沫の夏)』『姜老師,你談過戀愛嗎?(先生、本当の恋って?)』『人生劇展』シリーズほかアイドルドラマとシリアスドラマ両方で活躍。
映画は2002年『7-Eleven之戀』を始め、『情非得已之生存之道(ビバ!監督人生)』『夏天的尾巴(サマーズ・ テイル~夏のしっぽ~)』『阿霞的掛鐘』『對面的女孩殺過來(ロマンス狂想曲)』などに出演。2009年台湾とドイツの合作映画『曖昧(Ghosted)』は、ベルリン国際際映画祭に参加、2010年台湾、フランス、オランダ合作の『你在嗎?(R U There)』は、カンヌ国際映画祭のある視点部門にノミネートされ、国際的な映画の共同制作にも関わっている。本作では、第58回亞太影展(アジア・パシフィック映画賞)の助演女優賞にノミネートされた。

ストーリー
「赤ちゃんが欲しい」と、ロンドンに住む2組の同性カップルが協力して妊活を始める。双子を妊娠したシンディは、ひとりロンドンから台湾に戻る。不安と悲しみに満ちた彼女が頼ったのは幼馴染の警官タイ。かねてよりシンディを密かに思っていたタイは、理由も聞かずに自分がお腹の子の父になると言うのだが、シンディの心は癒されない。子供を持って家庭を築きたいと願うシンディとジョアンがようやく待望の子宝に恵まれたのに、なぜ彼女はひとりで帰国したのか…。

作品タイトル:『バオバオ フツウの家族』
出演:雷艾美(エミー・レイズ)、柯奐如(クー・ファンルー)、蔭山征彦(カゲヤマユキヒコ)
蔡力允(ツァイ・リーユン)、楊子儀(ヤン・ズーイ)
監督:謝光誠(シエ・グアンチェン)≪第1回長編監督作≫
原題:親愛的卵男日記
英題:BAOBAO
2018年/台湾/97分/1:1.85/
協力:GENXY/ビームス
後援:台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
配給:オンリー・ハーツ/GOLD FINGER

コピーライト:(c)Darren Culture & Creativity Co.,Ltd

9月 新宿K’s cinemaにて公開


関連記事:
映画『バオバオ フツウの家族』9月日本公開決定&日本版ポスター解禁!主演のクー・ファンルー(柯奐如)来日情報も

↑上に戻る