「人は、人を浴びて 人になる」

natukari「人は、人を浴びて 人になる」 心の病にかかった 精神科医の 人生をつないでくれた 12の出会い 夏苅郁子著(ライフサイエンス出版)

夏苅先生の新刊を手に取り、もくじを開いたら・・・
私のことが書かれている章があり、読む前から非常にドキドキさせられた。

でも、読み始めると物語に引き込まれ、ドキドキは次第におさまり、ただ泣けてしかたがなかった。

自分の想いと重なる部分や体験が非常に多すぎて、色々な感情が心に沸き上ががり、改めて自問自答してみようと思う箇所に、付箋をはったら付箋だらけになってしまった

IMG_8113

同じような体験をしたけれど、正反対の行動をとった場面や、全然違う捉え方をしているのに最終的には同じ結論を見いだしていたり。色々と興味深い。
ほかの「子ども」たちは、この本を読んでどう感じるだろうか・・・。

夏苅先生はこれまで私が出会った人の中で、最も印象の落差が激しい人である。

消え入りそうなたたずまいと、蚊の鳴くような声の第一印象を、もう想像できないほど、今では明るく上を向いてハキハキと元気で輝いている
先生が人生を楽しめていることが、自分のことのように嬉しい。
「私を回復に導いたのは、「薬」ではなく「人」だった。
「人は、人を浴びて 人になる」
「回復に締め切りはありません」を自ら示してくれた、夏苅先生の「人薬」(と「時間薬」)について書かれたこの本を是非多くの方に読んでいただけると嬉しい

 

さいごに・・・
「ユキさんのお母さんが亡くなられて3ヶ月ほどたった頃、私は地元、静岡・焼津の障害者授産施設で作られた
大きなトートバックをユキさんへ送った。バックの全面には、今にも跳ね出しそうなカツオの絵があった。
「ユキさん!長い間ごくろうさん・・・これからのユキさんの人生が、誰かに縛られず、伸び伸びとしたものでありますように・・・」
そんな願いを込めて。(145ページより引用)

 

母が亡くなった後に贈られたトートバックの話が出てきた所では
本来は感動するような内容なのに、タキさんとのやりとりを思い出して思わずフいてしまった。(ゴメン、夏苅先生
「そんな願いが、あの鰹にこめられていたとは・・・!」

 

当時、大きな鰹が書かれたバックを見て、「美味しそう」と言った
タキさんに「うわ~!鰹だよ!一本釣りだよ!タキさんの実家の高知も鰹(が有名)だから、鰹のバックくれたのかな?」なんて、話していたのだ。

先生の想いとは全然違う方向で、主人と盛り上がっていたけれど
インパクトのある鰹のイラストに大笑いして、私は哀しみの中でも「笑える」自分が嬉しかった。そして、母が亡くなったら「天涯孤独」だと思って生きてきたけれど、気にかけてくれる人がいることが嬉しかった。

IMG_8104

夏苅先生、ありがとう鰹のバック、これからも大切にします