今年に入ってからずっと構成をしてきたマンガがようやく完成しました!
「マンガでわかる!統合失調症 家族の対応編」(原案・監修 高森信子/マンガ・構成 中村ユキ)日本評論社 1400円+税 10月31日刊行
この本は1989年から地域の作業所や保健所のデイケア、家族会などで当事者やご家族のためのSST(ソーシャル・スキルズ・トレーニング/社会生活技能訓練)でリーダーとして30年近くも活動してくださっている高森信子先生の「統合失調症の方の回復を高める接し方」についてをわかりやすくマンガで構成しなおしたものです。
統合失調症でよく聞かれる症状に「幻聴」というものがありますが、もし幻聴が聞こえている家族に「隣の住人が私の悪口を言っているの!」と言われたら、あなたならどのように答えるでしょうか。
私の家庭では・・・
「そんなことないよ。隣の人は悪口なんか言ってない。」
「それはね、病気の症状で幻聴っていうんだよ」
「大丈夫だから。」
こんなふうに答えていました。聞こえる怖い(嫌な内容の)声が、現実ではないことを教えて、安心させてあげるための言葉です。
でも、この返答の内容が、母と家族の「ボタンのかけ違い」のはじまりだったのです。
・・・では、どのように答えたらよかったのでしょうか・・・。
統合失調症の教科書では、家族の接し方について「高EE」に注意するように、とよく書かれています。
EEとは、「感情表出尺度」のことで、患者に対する感情を尺度化したものです。批判・敵意・心配のしすぎの感情が高い場合を「高EE」その逆を「低EE]といい、「高EE」で接するほど再発率が高いことがわかっています。
私は「高EE」という言葉を知ってからは、なるべくそれに注意するようになったのですが、毎日の母とのやりとりの中で、この抽象的なアドバイスでは、具体的にどのように答えたらよいのかわからないこともしばしばでした。
その点、高森先生のコミュニケーション術は、具体的でとてもわかりやすいのです。
私は統合失調症という病に巻きこまれ、ギクシャクしてしまった母娘関係を改善するのに、高森先生のコミュニケーション術にとても助けられました。そういった自身の体験と実感から、高森先生のお話をマンガにしたいと考えていたのですが、それがようやく実現しました。
「病気に関する(精神医療保健福祉全般の)知識」と「接し方」は、当事者の回復をよりよくするために家族が知っておくべき2つのこととして、「対の車輪」と表現されることがあります。片方だけでは、うまく進めないということです。
「マンガでわかる!統合失調症」は「病気に関する知識」の本ですが、第2弾の「マンガでわかる!統合失調症 家族の対応編」は「接し方」の本です。これで、ようやく対の車輪がそろったと、とても嬉しい気持ちです。
この2冊の本がみなさまの病気の回復とご家族の笑顔の役にたちますように・・・と願いを込めて。
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